室内ボルダリングから入門して、外岩のスポートルートまで。
ハマりにハマって気づいたら5年が過ぎていた。
気分的には「マジかよオイ。まだ3年くらいでしょ。まだまだ5年に見合う技術も経験もないぞ……。」みたいな感じではあるが、時間は無情なもので。
上級者の仲間入りするどころか中級者すら危うく、5年が過ぎ去っていた。
怪我と故障
去年(4年目)はとにかく怪我故障に悩まされた。
右手中指根本の痛みが抜けずに1ヶ月休み、再発してから3ヶ月間まるまるクライミングを休んだ。
1年間の1/3はクライミングから離れていたことになる。こんな長期休暇は初めてだった。
休んでわかったのは、だいたい3ヶ月くらいで元の水準には戻るということだった。
そして周りも驚異的に成長して絶望的に置いていかれるということもなかった。(もちろんびっくりするほど伸びる人もいた。たいてい若い人。)
体を整えるためにクライミング頻度を下げて、休みがちになることは怖くないのだ。
痛切に登りたいのに登れないという状態だけが怖い。
進捗どうですか?
グレードの進捗はあんまりない。
正直、ここ2年くらい進捗がない。
室内ボルダリングでは2級くらい、外岩ボルダリングでは初段くらい。
外岩だけは欠かさず行ったおかげでボチボチな成果が出ているのが救いだけれど、これも「強くなった、上手くなった」というより「慣れた、自動化した」が正しい。
5年やっててもこれくらいな人もいるってことだ。
なので1年目で3級の壁にぶつかってる人とかは自分の成長度合いに絶望しなくてもいい。むしろすごい。自分を褒め称えよ!
時折「3年やってて室内で初段登れないwww俺カスすぎワロタwww」みたいな煽り気味な自嘲をSNSとかで見かけるけど、香ばしすぎてウケる。お前がカスなら俺はなんだ?塵かな?
上を見ればきりがないけれど、下を見てもきりがないのだ。
気にしてもしょうがない。まあ気にはなるけど。
スイッチ・オン
最近よく言われるのは「さっきまで苦戦してたのにいきなりスイッチが入ったみたいに完登してしまうのは何なの?狙ってるの?」だ。
無論狙ってるわけじゃない。そんな余裕は一切ない。
苦戦しているのは事実で、自分なりに最適になるまで調整を繰り返していて、それが運良くすべてハマると登れるのだ。
この運良くというのが問題で、つまりは自分は自分の制御しきれてない要素にパフォーマンスを左右されすぎてる。
技術なのかメンタルなのか、もうちょっと自分の制御範囲を広げたい。
制御
制御、制御、制御。
自分を制御する精度を上げたい。
工学的な話で考えると、制御精度を上げたければセンサーとアクチュエーターの精度を上げれば良い。レベルを上げて物理で殴るスタイル。
それは簡単に望めない。
となると理論で、アルゴリズムで精度を上げるのが筋だ。制御工学バンザイ。
確度の高いオブザベと、経験の正しいフィードバックが必要なのだ。
ただ、自分の頭の中の制御工学学会は打ち出す理論がことごとく現実に反し、そのせいで信用を失墜している。論文誌はもはやジャーナルとは言えず「ムー」レベルだ。あの幻のムーブは存在した!とか。あのホールドは実は持てた!とか。
そのせいで野蛮な「考えるより感じろ」派が主流となってる。いや、彼らが悪いわけではない……。
ここらへんの派閥バランスを直したいところなんだけど……どうすればいいのかさっぱりだ。
リード再入門
春頃に近所にリードジムができたおかげで今はリードにハマっている。
今までは1時間半かけないと行けなかったリードジムが、今では10分以内で行ける。最高にありがたいロケーション。
リードでの進捗も芳しく無く、5.11cくらいでヒィヒィ言っている。
リードは基礎的な技術、正しい体の運用、メンタルがボルダリングよりも早い段階で試される感じがある。
自分より後からはじめた人に追い越され、年配の方に追いつけず、自分のセンスのなさ、ヘタクソさに2週間ほど凹んだ。そしてもう治った。
凹んでもクライミングをやめたいと思うことはない。やっていれば手は進むのだ。そして時間をかければ完登できるレベルにある。
成長の余地があるってのは嬉しい。
ちょっと方向転換
去年、指を痛める前は成長を図るためにバリバリ追い込んだ。その割にあまり成長はなく、それどころか指が壊れた。
それ以来、無理に追い込むのをやめた。
鍛えるより、コンディションを整える方にシフトした。整体に通って姿勢を整えたり、硬い筋肉をほぐして柔軟性を上げたり。
さらには新しい刺激を求めに行った。
ボルダリング一辺倒だったところをリードを挟んだり、負荷の高い強傾斜のホームジムの課題から時折離れて垂壁やスラブのあるジムに行ってみたり。知名度に左右されず、自分の好きな課題を登ったり。
そうすることで以前よりも成長できる気配がある。
自分にあったやり方を
若い頃から運動をしていなかったので、体そのものが高負荷に耐え育つようになるにはもっと時間がかかるみたいだ。適応する前に老いが訪れそう。
それより、新しい刺激を増やしたほうが自分の成長につながる感じがある。
ちょっとボルダー課題が体にキツイなーと思ったらリードに逃げ、たまにはバランシーで気持ち悪い(褒め言葉)スラブ課題を登ったりすると、思わぬ形で足感、指感が上がったりして景色が広がってくる。
寄り道と思いきや、それがいい感じでレストになってくれたり。
目の前の課題に真正面から時間をかけて向き合うのも大切だけど、それが完登までの最短距離じゃないんだなーと改めて思ったり。
新しい刺激を
しばらくは愚直に鍛えるよりも、いろんなことやって行こうと思う。
リードジムにはクラック練習用のルートがあり、いつかはやろうと思いつつも避けていた。
最近はこれに取り組みつつある。
クラックでジャミングなんて楽しみ20%痛み80%くらいだろ……みたいな思い込みがあったけれど、やってみれば面白い。
目下の目標は5.8のハンドジャム課題をノーテンで抜けることだ。
さらには、この秋には遠方の岩場に泊まりで行ってみようと思う。
初めてのクライミング旅行。楽しみだ。
5年続けてもまだまだ新しい刺激を得られる場所がある。
いや~クライミングって奥深いなあ。
死ぬまで楽しめそうだ。