ようやく秋を感じられるようになってきた晴れの日。
初めての遠方への外岩遠征。四国の仁淀川ボルダーと黒潮ボルダーに日帰りで向かい、外岩ボルダリングを楽しんできた。
連休に計画した四国ボルダー遠征が天候不順により潰されること数回。仲間との予定が合い、ようやくのチャンスが到来。
ただし翌日仕事の仲間もいたため、日帰りの弾丸遠征となった。
もはや早朝とは言えぬ深夜に集合、出発。いつも車を出してくれるAさんには頭が下がる。
自分としてはトポを購入した日ノ御子ボルダーに行ってみたかったのだけれど、仲間から仁淀川ボルダーに行きたい!という意見があり、それに賛同することにした。
自分は仁淀川のトポを持っていないので、良い機会だと思ったのだ。
道中、早朝の高知自動車道は濃密な霧で覆われていた。
……あ、これはきついんじゃね?でも霧の出た日はよく晴れて乾く証拠だし……と心を落ち着かせる。
Googleの経路検索では国道439号を西進するようなルートを紹介していたが、濃霧の下道は怖い。高速に乗り続け、高知市経由で向かうことにした。
8時頃に仁淀川ボルダー、フューチャーエリアの駐車場に到着。
連休で混雑しているかも……という不安は杞憂だったようで、車は一台もなかった。
トポには河原に降りて10分ほど歩けば岩があると書いてあったけれど、アプローチにはそれ以上かかった気がする。足元が岩や水で気が抜けない。
そして見えてきたのが岩の城塞。
さながら戦艦のような佇まいだ。
近づくと……。
ファッキン、ラージ。(クソデカイ)
ファッキン、ハイ。(クソ高い)
これが四国の岩の規模か……圧倒される。
気温13℃、湿度80%でスタート。霧による結露などはなかった。
とりあえずアップに、アップライン 4級。
最近買った新メインマット、moonのウォリアーパッドのデビュー戦だった。
このドスッと受け止めてくれる弾力性……安心感が違うなあ。
オンサイトした後、トポに書いてあったバリエーションの右アンダーカチも使って登った。
次……次は……。
雪月花 3級に挑戦する。
この高さで3級なのか。下地もそれほど良くない。アップライン 4級から1グレード上がっただけの課題とは信じがたい。
高度核心という概念は四国にはないのか……?
トポには下記のように記載されていた。
Futureの中では入門編だが、「岩登り」を理解する上で、とても秀逸なラインである。
(NIYODO LOVER Bouldering Guide 02 p121)
つまり基礎中の基礎ってわけだ。四国の岩場にはこれを超えるハイボールがいくつもある。これぐらいこなせなければ門前払いを受けても文句は言えないってことだろう。
これから様々な岩を堪能していくためにも、こいつは登るしかないと思った。
……一緒に来た仲間は目当ての超時空 二段に夢中で見向きもしなかったり、途中で諦めたりした……。
ムーブ、ホールドを探っている途中でガバに突っ込んだ左足キョンがフォール時に抜けず、反転してうつ伏せに落下した。
下半身がマット外の岩の上に落ちた。
ラッキーなことに、深刻な負傷はなし。運が悪ければ足首か膝が逝っていたと思う。
ビビってやめるか……?
やめねーよバーカ!こうなったら意地でも登ってやるぞ……という覚悟が決まった。
10時頃になると日差しが岩に日差しが当たりはじめ、チョークが取れてヌメるようになった。
途中から来た地元のクライマーに混じり、長めのレストを挟みつつトライを重ねる。
ハート型のガバホールドまでのムーブは自動化できたものの、その後が悩ましい。
どれもピンチ気味に持てるけれど、ヌメリ気味の手とその高さでムーブを起こす自信が出てこない。足置きの選択肢も多く、悩まされる。
マットは十分。スポッターも十分。
後は自分の保持を信じる、確信できるようなムーブを作って登るだけ。
町役場から昼のチャイムが鳴り響く中、何とか完登できた。
3級とは思えない達成感。
ようやくハイボール課題に一歩踏み出せた気がする。
お昼を食べた後、超雪月花(雪月花 Low) 初段に挑戦開始。
比較的手が進む。
後半にチョークない手でまたあの雪月花をこなさないといけないのか……と思うと気が重いが、それはともかく前半部を確認していく。
ガバマッチした後、振られた足をどう処理するか……と思っていたところで左腕が攣りかけ、敗退となった。
疲れた体に活を入れてアプローチを逆走し、時刻は14時過ぎ。
仁淀川ボルダーでもう1エリア行くかな?という話も出たけれど、「松風を登りたい!」という意見を聞いてもらい、海を目指した。
仁淀川の流れと並走して下り、黒潮ボルダーのある海に向かうというのはなかなか趣があった。
川から海へ。ロマンある。
1時間半弱、16時15分に到着。日の入りは17時15分。
松風 1級に1時間の勝負開始。
なるほど。美しい。
黒潮ボルダーの代表的課題となるのもわかる。
海辺のボルダーというのは初めてだったけれど、想像以上に心地良かった。
周期的な波音が耳に優しい。
(内陸の民なので、海なんてめったにこない。あるのは湖だ。)
ランジムーブではカチに触れるくらいで、止められる気がしなかった。
別のパーティーの女性がやっていたサイドで保持ってレイバックで上げるムーブをパクらせてもらったところ、かなり良かった。
それほど強度もなく、落ち着いたら決まる予感がした。
しかし、焦りからかムーブが雑になったり手順を間違えたり。
最後の最後でカチを止めることができたものの、すでに暗く、次のホールドがわからなかった。
その上左腕が完全に攣った。二の腕の筋肉が別の生き物のようにウネウネと蠢く。ヨレか……?
いや、ヨレは言い訳にならぬ。チャンスは何度もあった。
敗退!
松にかかる三日月を眺め、帰った。
完登の予感があっただけに悔しい。次は絶対に登るぞ。
途中南国SAでおみやげを買いつつ、夕食を食べた。
土佐カツオ丼。うーん、普通。
仲間の食べた黒潮ラーメン(味噌鰹カツラーメン)のほうが美味しそうだった。
次はいつ来れるだろうか。
待ち遠しい。