春の陽気を先取りした暖かさ。午後から雨のはずが、少しパラついただけの日。
初めて行く芹谷屏風岩でルートクライミングを楽しんできた。
芹谷屏風岩は滋賀の北部にある石灰岩の岩場だ。
ロープクライミングを始めた頃から存在は知っていたのだけれど、行ったことはなかった。
「中級者におすすめな岩場」という紹介文と、5.11台がメインということもあり、自分が行くにはまだ早いと思っていたのだ。
リードジムが近所にできて、そして通うようになってリードがメインのクライマーの知り合いも増えた。
今回誘ってくれたMさんともジムで知り合い、「芹谷はすごく面白いのでぜひ一緒に行きましょう!」と何度か声をかけてもらっていた。
自分はというと「ぜひ行きましょう」と答えつつも、気後れしていた。ジムの5.11台ですらヒィヒィ言いながら登っていて、RPグレードは未だ5.11cだ。
とても芹谷に行けるような実力じゃない……もっと強くなって、慣れてから……そう思いつつ半年くらい経った。
その間スポートルートの講習を受けたり、指をパキったり、レストしたり、そしてリードジムに復帰したり。
再び芹谷に誘っていただいた時も、まだ指が全快じゃないし、弱々だし……とやや適当な感じで「また行きましょう」と答えていた。
その気持ちが伝わってしまい、「それ絶対行かないやつじゃないですか」と指摘されてしまった……。
ハッとした。確かにそうだ。いつになったら行くんだ?どこまで強くなれば行けるんだ?大して登れなくても突っ込んで行くのが自分のポリシーじゃなかったのか(そんなことは書いたことはないけど)。
そもそもルート講習は何のために受けてるんだ。
そんな気持ちの流れを経て、上記の講習中に「次の機会に芹谷に連れて行ってください」と連絡を取った。
長らく誘っていただき、今回案内してくれたMさんには本当に頭が下がる思いだ。
予定が一度雨で流れ、翌週。
自分は前日の外岩ボルダリングでそこそこ体がくたびれていた。全体的にダルい。指皮がない。
いや、初めての岩場なので本当は全力全快な状態で行きたかった。しかし自分の「(予定を)突っ込んでいく」ポリシーに逆らえなかったのだ……。
広めで快適な駐車場に停めて、急登を15分進み岩場に到着。
デカイ!高い!今まで来たルートの岩場の中で一番大きかった。
こりゃ通い詰める人がいるのもわかるぞ。
岩場やルートについては詳しい人に聞けばオススメを教えてくれるだろうと思い、ほぼ前調べをせずに来ていた。とりあえずラ・バンバ 5.11aがこの岩場の入門かつ看板課題らしいので、今日はそれに挑むことに決めた。
……5.11aって、外のルートで登れたことがないんだよな……。自分の外のRPグレードは5.10cくらいだったはず。
マスタースタイルは厳しそうなのでクリップを掛けておいてもらうことに。
その間、何か簡単なものはないかと尋ねたところ岩壁右端のハングルーズ 5.10aを紹介してもらった。
途中、手順がわからなくなり無理やり進んで、にっちもさっちもいかなくなり1テンション。こりゃ先が思いやられる。
悔しかったのでもう1回……ロープの確認に問題があったのか、結び目ができており2ピン目でストップ。一度降りた。
そして3回目でなんとか完登。こりゃマジでないな……。
石灰岩の岩を触ったのは椿岩以来だった。ガバはガバでも素直さがなく、どこか持ちにくいサイズや形だったり、妙にトゲトゲしていたりで手が満遍なく痛めつけられる。
基本辛いけれど、絶妙な持ちポイントがわかった時は快感があった。
これに時間を掛けたせいで、ラ・バンバのルートは混み始めていた。
時間がもったいないので他にオススメがないかと聞いて、ムササビ小僧 5.11cを勧めてもらった。
短い傾斜ルートで日頃からボルダーをやっているだろうし簡単にできるよ!と言われたのだけれど。
ウルトラ苦労した。3ピン目まで1ピンごとに5回くらいハングドッグした。弱すぎる。
そして諦めて降りた。
ビレイをしてもらっていた方にクリップ回収を兼ねて登ってもらい、ムーブを観察。あ、そこ、左に行くのか……。
わがままを言ってもう1トライ!3ピン目まではすぐ繋がり、以降はピンごとに1~2ハングドッグで進み、なんとか上までたどり着いた。
……ムーブがわかれば行ける……ような……?それは何でもそうか……。
次。屏風岩の隣りにある小屏風岩を見学しに行った。
つる植物の影響でこう育ったんだろうな。あまりにも美しい螺旋っぷりでつい写真を撮ってしまった。
ボーイズマインド 5.11aのビレイをし、登っている感じがとても面白そうなので「登ります?」と聞かれて二つ返事で「登りたいです!」と答えた。
出だし好調。こりゃ行けるか?と思った矢先、左手の親指が攣った。ムササビ小僧で粘りまくった影響なのか、そもそも連日でボルダー→リードと行った疲れが出たのか。
なんとか痙攣を治めて、以降は1ピンごとにハングドッグで進み上まで。
しかしこれは次で行ける気がするぞ!もう1回!と思った矢先、雨が降り始めた。
当初の予報では雨はやまないはず。
帰り支度を兼ねて屏風岩に戻り、ラ・バンバの残置クリップを回収してもらったりしていると雨が止んだ。雨雲レーダーを見た感じではしばらく雨が来ないらしい。
……せっかく回収してもらったけど、やるか……。
ラ・バンバ 5.11aをマスタースタイルで挑戦開始!
途中までは問題ないものの、右面に出るあたりで完全に詰まった。声を出しながらムーブを探り、違う!ないわコレ!→ビビってテンションが繰り返された。
……下から見守る人達がみな帰って、ようやく登りきった。
こいつは苦手だなあ。時間がかかりそうだ。
結局夕方まで天気はもち、大して雨に振られることもなく一日通してルートクライミングを楽しむことができた。
初めての芹谷屏風岩は全くと言っていいほど成果がなかった。でも、この岩場の魅力の一端には触れることができたと思う。
もう少しその魅力を知っていきたい。そのためには登りこまないとな。
宿題もたくさんできたし、また来たい、というか絶対行くぞ!
まずはボーイズマインド 5.11aから!
……ますますボルダーとリードの比重が悩ましいなあ。