ムイ

もはやクライミング日記

悔いなし@芹谷屏風岩

 

コンディションとか

12月に入ったのに、最高気温が15℃近く。風はほぼなく、快晴。

屏風岩は南向きでありガンガン日が当たるので、日差しの下では+10℃になるって考えたらいい。つまり25℃近くになる。暖かすぎだろオイ!

待機中ですらダウンを着る必要がなく、長袖1枚で過ごせた。本当に冬なのかい?

 

平日の後半あたりで通り雨が来たはずだが、どこにも染み出しはなかった。

岸壁自体のコンディションは完璧。

ただ、暑い。

 

日曜の天気は悪いという予報が出ていたので、こんな良い天気の土曜日は岩場が混むだろうなと思っていたのだけれど、意外にも空いていた。

15人くらい?屏風岩の広間がちょうど埋まる程度。

 

この日は元々は別の岩場に行く予定だったのだけれど、翌週から多賀の天気に雪マークが見え始めたことと、仲間が「これで芹谷シーズンは一区切りかな」というアナウンスもあり、予定を変更して芹谷に来ることにした。

なんとかしてこの秋冬シーズンでバイタルポイント 5.11c/dを登ってしまいたかったからだった。

チャンスは掴みに行かねば。

 

アップとか

珍しくラ・バンバ 5.11aが空いていたけれど、無駄にヨレるのもなーと思いハングルーズ 5.10aでアップ。

2本目のアップとしてラ・バンバ……は、触らなかった。

バイタルポイントの下部がアップになるので。

 

ひたすらにバイタル

自分がバイタルポイント 5.11c/dに挑戦する時はたいてい他に登る人がいない。でも今回は珍しくいた。

自分よりも先にマスターで登られたので、クイックドローを借りて挑戦開始。

 

1本目

下部はまあ問題なし。

ただ微妙に悪目なホールドの持ち感が全然違う。熱さのせいか。

前回組み立てたムーブを確認し、やはりそのままでは難しいところがあるという結論を導きながらとりあえず上まで抜けた。

 

2本目

チラッと聞いていたノーハンドレストが可能なポジションを理解する。

ところでさあ、ノーハンドレストってさあ……疲れない?

個人的に両手を離して休むのは足に全負荷がかかって辛い。バイタルは基本フェースなので、足をしっかり踏むのが大切なのだ。自分としては両手を離して休むのは逆効果だった。

片方の手は軽くホールドを握るか置くかくらいがちょうどよかった。足の筋肉が足りないのかもしれない。

 

このルートには個人的に核心が3つあり、それぞれが一呼吸置いて連続で襲いかかってくる。

黄色の右から左へ移動、赤のハング攻略、オレンジのパワーゾーン。

黄色パートは安定したのだけれど、赤パートが迷う。ホールド、ムーブの選択肢が多数ある。

そして赤パートがスムーズでないとオレンジパートがこなせない。

 

前回見つけた赤パートでのオカモチムーブは再現性が思ったより低かった。不採用。

というわけで代替となるムーブを色々探した。

ハンガー下の豆カチみたいなやつを右手で無理やり保持して上がるのは可能なのだが、負荷が高すぎて多分繋がらない。

結局、ハング下の右端をフィンガージャムするように保持するのが一番という結論に至った。しかしクリップポジションが取れない。

オレンジパートは足の位置を修正。覚え込む。

 

3本目

黄色パートまではスムーズ。そして赤パートで止まる。クリップが出来ない。

右サイドガバ取りした後の右足の行き場がない……というか良いフットホールドがない。と思ったのだけれど、一つ下ろせば良いところがあるということに他の人のムーブを見てて気づいた。

上げることしか考えてなかったわ……一つ賢くなったな!

 

クイックドローを借りていた人が早めに帰ると聞いていたので、終了点でセルフを取って荷揚げで自分のクイックドローに入れ替えた。

入れ替えのために腰に着けて登ってなんかやってらんねえよ!

 

折り返して下ろしてロープが足りるかヒヤヒヤしたけれど、50mロープでギリギリ足りた。

このルートをやるためだけに新品の50mロープを持ってきてよかったー。(普段のロープは2回ほど切って45mほどになっていた)

 

終了点といえば前回ナットが緩んでいたのをホームセンターで買った500円の小さなモンキーレンチで締めておいた。

他にも後で2ヶ所ほど道中のナットが緩んでいたのに気づいたけれど、そこは締め直す余裕がなかった……。

 

4本目

16時過ぎて、日が山の向こうに沈んだ。SFT(Super Friction Time)である。

明日を予備日として確保していたのでクイックドローを残置して帰るつもりだったのだけれど、ムーブ確認的な意味合いで最後のトライ。

 

黄色パートヨシ!赤パートも……ヨシ!クリップもできた。

日が沈んで、ホールド感がかなり良くなってた。

そしていまさらながら気づく。このルートは垂壁であることに。足がガッツリ踏めていて、ある程度マシなホールドであれば手を軽く振って疲れを取れる。

各パートの区切りで細かくレストを挟んで、オレンジパート突入、ガバ取り、クリップOK。

「ここで落ちるとやっぱ嫌だよなー」などと思いつつ、普段膝クリップするか飛ばしてる終了点1つ前のハンガーも左のガバを頼りにクリップした。手を伸ばせばギリギリ届く。

そして完登。

 

登り終わった後、思わず声が出た。

完登して声を出すのは久しぶりだった。

だいたい「もうちょっと早く登れただろ」とか、まあいろいろ細かな不満があるのだ。

ずっと登りたかったルートを実質2日、7本目、しかも最後のトライで登れてよかった。

やりきった。悔いなし。

 

帰る

ヘッデンを点けて下山。

帰ってラーメンというか麺を食べた。疲れてたので、家で。

この手の流行りらしい完全栄養系のインスタント食品を食べるのは初めてだけど……味は、まあ、そんなに良くはない。

おそらく昔はもっと不味く、凄まじい企業努力でこの味まで引き上げてるんだろうけど。

 

せっかくなんだからもうちょっと良いもの食えよという意見もあるかもしれないけれど、まあこういうのが日常である。

完登が日常、いいじゃん。

 

おしまい。