ムイ

もはやクライミング日記

2025/02/08-09 大寒波の大敗退@日和佐の岩場

 

まえがき

土日の週末、月曜は平日、火曜は建国記念日で祝日という飛び石連休。自分の勤務先はこれが4連休となっていた。

せっかくの連休なので遠出だ!という気持ちになるはずがそこまで燃え上がらない。誰かを誘うのが若干面倒くさい。というか誘い疲れた感じが微妙にある。

連休で遠出と行っても単に暇を持て余したくないのか、本当にその時間を使ってクライミングがしたいのか自分でもよくわからない。

なのでうだうだとしていて、誰からも話が出なかったら単独で四国あたりにノープラン車中泊スタイルで一人旅兼ボルダーでも行ってみるか……とか思っていたら仲間から「城ヶ崎行きますけど興味ある人いませんか?」と連絡が来た。

城ヶ崎。行ったことない岩場だ。去年の年末に城山の岩場に行って、伊豆でのクライミングの快適さ、意外な近さは把握できていた。

なら城ヶ崎も行ってみるべきだな、とすぐさま返事をした。こういう時は「下手に一人追加で参加したら邪魔かも……」とか悩む時間がもったいない。

 

ただこの週末はこの冬最大の寒波が来ているという天気予報になった。地元の天気は最高気温5℃、最低気温-4℃くらいが続き、毎日雪がちらつくような予報。

まあその前の最大寒波も大したことなかったし。と思って何も気にしていなかったら前日の昼に、深夜から名神新名神の通行止めになるという発表がされていた。

あれ、これは滋賀から東に行けないのでは?つまり城ヶ崎に行くのは無理では?

仲間と連絡を取り、中止にするのかそれとも行き先変更するのかなど話をした結果、目的地を東から西へ大転換。日和佐の岩場に行くことになった。

 

日和佐の岩場へ

前日は早めに寝るつもりが全然寝付けず。眠りの質が最悪のまま5時半くらいに家を出た。

地面は前日の夜のみぞれがしっかりとアイスバーンに変わり、その上に雪が積もってよく滑る路面に。

この冬で初めてスタッドレスタイヤが役立つシーンとなった。

 

名神の通行止めは続いており、滋賀から1号線を通って南下、逢坂を越えて京都東ICから名神に乗った。

このとき6時半くらいで、1号線が空いていて意外だったが、これは朝早いおかげらしく昼過ぎくらいになるととんでもない渋滞になっていたらしい。

 

そのまま名神を西へ、中国自動車道を経由して明石海峡大橋で淡路島へ。淡路SAでひと休憩を挟んで四国、徳島へ。

寝不足の影響か明らかに頭が回っておらず注意力散漫。結構運転で危ないところがあったり。仲間には心配をさせてしまった気がする。

 

淡路あたりでは雪がなかったのに徳島では一面で雪が積もっていたり、山間部の道は完璧に凍っていて軽トラが立ち往生していたりと、これまた意外な道路事情となっていた。

徳島も結構雪が降るもんなんだな。

 

10時半くらいに恵比須浜の埠頭に到着。

こんな日だから暖かい岩場の日和佐は混み合っているだろうなと思ったら車が全く無い。謎。

日は暖かいが、風が冷たい。

このとき気温3℃とかだったはず。この日の最高気温は8℃くらい予報。

日差しの下でないと厳しいよなーとか思いながらアプローチしたら誰もいなかった。

みんなどこに行ってるんだろう。大人しく家にいたのかしらん。

結局この日来たのは、自分達以外に二人だけだった。しかも自分達よりも遅く。

 

その代わり、やたらと釣り船を見かけた。

近くの宿は釣り大会のために空き部屋が確保されていたりしたっぽいので、これが釣り大会の釣り船だったんだろうか。

 

カノープス 5.10b ◯

アップに。

前に登ったことがあるので特に問題なく。

暖かくて心地よい。これぐらいなら最高だなーーってコンディション。

 

ひわさ丸 5.12d(?) ✕✕✕

ケーブの真ん中あたりのルート。

去年、初めて日和佐の岩場に来たときに宿題になっていた。

5.12dというグレードだけれど実際は5.12a程度というのはよく言われている。

 

前回登った時に大体ムーブは作れていたが忘れた、その代わりルートの全容は把握できていてまあ完登できるだろうという感覚があった。

その時は誰かのクイックドローを借りて登っていたので、まずはマスターで挑みつつムーブ構築のやり直し。

昔少し苦労したハング後のほんの少し悪目の手は問題なく保持できて、ガバトラバースも問題なし。

ただ、後半部のムーブ構築には悩んだ。

無理すればどこでも保持れそうな感じはあるけど繋ぐことを考えるとヨレていてもできるような手順、ムーブをしっかり作っておく必要がある。

寝不足の影響で頭が全然回らない。手足の感覚がない。分厚い膜に包まれているようなぼんやり感。こりゃどうにもならんなと思いながらとりあえずの手順を作った。

 

そして挑んだが、手が冷たすぎて後半核心入るところで止まってしまった。

ケーブ内は日が当たらない。気温自体は低く、風もそこそこあって温まる要素がない。

これはしんどいなー、それよりもこのぼんやり感はなんとかならんのかと日差しの下で寝転んだらびっくりするくらい眠いことがわかった。

感覚が鈍くて自分が今どういう状態かすら把握できていなかったっぽい。とりあえず仮眠をしてみるがこういう時はだいたい寝れない。

 

夕方過ぎにもう一度トライ。

手の感覚がないまま無理やり核心に突入し、最後までたどり着いたが終了点にクリップするポジションを作る力がなくて迷って色々試しているうちに落ちた。

やれやれ。まあこれは明日のマシなコンディションでやれば行けるだろ……。

とか思っていた。この時は。

 

岩場の裏側はまだ氷が残っていたり。

やはりどこにいても寒波は寒波なのだ。

 

宿、風呂、飯、寝る

今回は宿の手配や飯処などはすべて仲間にお願いしていた。

宿は当日予約を入れたというホステルに。

ichithehostel.com

 

ここがなかなか良かった。

施設はオシャレで綺麗で、キッチンも使えて、米、パスタ、調味料が無料となっていた。すごいサービス。

朝は猫が訪ねてきたり。残念ながら無責任に餌をやるわけにもいかないと眺めていたらどこかに行った。すまぬ。

 

体が冷えたので宿のシャワーは使わず、近くにある薬王寺温泉に行ってから、居酒屋つくしという飲み屋へ。

和風な屋号と店構えとは裏腹にこれまた随分オシャレな系統の飲み屋で驚いた。日和佐はこういう若者層を取り入れているのかしらん。

 

後はホステルに帰ってリビングで備え付けの紅茶を飲んで体を温め、早めに眠りについた。

……寝る前に紅茶は、カフェインの影響があるのでどうかなーとか思いながら。

 

2日目

岩場に9時着を予定して、7時過ぎに起きて朝食。

オーブントースターがないかわりに、コンロのグリルで惣菜パンを焼いたら焦がした。やれやれ。

 

8時半に恵比須浜に到着したがまたしても誰もいなさそう。

そして実際自分達以外は、地元の開拓クライマーらしい二人組の他は誰も来なかった。

こんなに空いているのは珍しいんじゃなかろうか。知らんけど。

前日よりも風が弱く、暖かい。これはいい感じなのでは?とか思った。これまたこの時は。

 

ひわさ丸 5.12d(?) ✕✕✕✕✕

下部がガバガバだからそこがアップになるだろ、と、暖かい日の当たる場所では登らずいきなり取り付いた。

朝早い時間はケーブの奥の方まで日が入っていてホールドもそこまで冷えていない。ケーブ全体も明るくて見やすい。

スイスイと手が進み、これは朝の一発目で行けるかも?とか思いながら昨日踏んでいないところを踏んで少し体勢を整えようとしたら足が滑って落ちた。

舐め過ぎである。

 

この時左の中指の腹を強く擦って皮がベロンとめくれてしまった。まあ単に外皮が剥がれて少し血が滲む程度だろ、とか思ったのに次から次へと血が溢れ出てきて困った。

しかも血の色がかなり鮮やか。どうやら動脈が通るあたりまで削れてしまったらしい。待てども待てども血が止まらないのでチョークなどで誤魔化してとりあえずトップアウト。

降りてから絆創膏とテーピングでカバー、止血をした。

ハングドッグ中に拭き取った血で膝が染まった。

 

でもまあ幸い保持感に影響が出るところや痛みもないし、次で行けるだろと挑んだら、今度はホールドが冷たすぎて、その上妙に体の動きが固くて核心抜ける途中で止まってしまった。

風が思ったより強く、前日と同じくらい冷えていたのだ。

 

ここらへんから完全にドツボにハマっていたような。というかその前、あるいは前日からダメだったのか。

完全に手順はできているし、バラせばしっかりつながるのに繋がらない。その上言い訳というか反省点というか改善点が上手く見つけられない。

昼飯を挟んでもいくら休んでも異様に体が重い、全然回復して来ない。こういう感覚は久しぶりだった。

 

この状態じゃあにもならないなと悟りながらも3本目。

案の定核心で止まる。どんどん高度が下がっていく。

そうそう、これだよこれ。この何もかもうまくいかない感じ。足踏み感。久しぶりに味わうダメダメクライミング

これがクライミングの醍醐味だよなあと妙なワクワクを覚えながらも、やはりしんどいものはしんどい。

 

夕方に最後に希望を託してケーブ外で体を温めようとしたら、ちょうどその時雲が続いて全然体に熱を入れられず、そして高度は下がる一方。

最後にダメ元で登ったがやはりダメ。回収でヨレ尽きて終わった。

 

……いろいろ言い訳をしたいが、正直何がどういう理由でダメだったのか、うまく見つけられていない。敗因isどこ。

強傾斜ガバルートが苦手なことに加えて、後半、終了点を書けるまでずっと強度が高いのが続くのが苦手、というあたりかしらん?

あとは舐めていたというのもありそうである。各パートだいたい完璧だからこれは登れるだろうと。

 

 

失意のまま、岩場を後にした。

 

夕食、帰る

夕食は少し寄り道をして仲間オススメの阿南市にある定食屋、弘伸丸へ。

刺身定食。厚切りの刺身がうまい。

これだけボリュームがあって1000円ぽっきりである。

個人的には刺し身よりも味噌汁が美味かった。一人暮らしをしていると味噌汁を飲む機会がないのだ。

 

あとは特にトラブルもなく、スムーズに帰宅した。

 

翌日は仲間と別の岩場の約束をしていたけれどあまりにも疲れていたのと皮がないのでパス。

その翌日は家でダラダラと過ごした。

妙にアウトドアとインドアのバランスが取れたな……。

 

振り返り

なんというか反省点しかない、大敗退の遠出だった。

敗因をしっかり探さないと次にどこかに遠出する気にならないほどの。

 

少しあれこれ考えたい。

 

 

おしまい。