2日目
起床
この日の天気予報は午後から雨。具体的に言うと13時から雨とのことだったので、事前にテントなどなど撤収して車にしまっておいて近くのエリアで登ることが決まっていた。
残された時間を有効に使うために早起きして出る……ということで、5時半くらいに起きて朝飯、撤収作業をして7時出発という予定。
念の為5時起きに目覚ましをセットしていたのだが、目が覚めたのは3時半。もう一度眠りにつくも、大して時間が進まない。
諦めてちょっとソシャゲをやったり、ダラダラとテント内に散らばった荷物を片付けたりして時間を過ごし、トイレに行きたくなったのでもう5時にテントを抜け出て朝飯を食べることにした。
朝食は前日の晩に食べ損ねたバターチキンカレーメシ、それとコーヒー。
いまいち食が進まない。寝不足なのか、前日食べすぎたのか何なのか。まだ朝からカレーは重いってほどの歳でもないはずなんだけど。
朝食を食べ終わって、テントやタープ撤収して、出発準備が整ったのは7時前くらい。
仲間の一人は6時半にすでに出発していたり。
まだ撤収準備が終わっていないメンバーもいる中、予定通り整ったメンバーで出発することになった。
いざ最終日の岩場へ。
雨が降るとはとても思えない空なんだけどなあ。
妹岩へ
この日は妹岩に行く予定となっていた。
比較的近いのと、仲間の一人がカサブランカ 5.10bやジャックと豆の木 5.10cといったクラシックな定番クラックを登りたいとのことだったので。
週半ばにたっぷり雨でも降ったのか、この週末はなぜか川の水量が多く、飛び石での渡渉が難しい。
諦めて靴を脱いで、サンダルを履いて堰堤を水に浸かりながら歩いて渡った。水の深さは足首くらい。それでも水が冷たくて心臓発作が起きそう。
この時ちょうど7時、先行した仲間からは連絡あり、カサブランカは2人待ちだとか。早いなー。
妹岩には7時半前には到着。すでに10人くらいいた気がする。
午後は雨だし暑くもなるから午前中勝負。みんな考えていることは同じだろう。
愛情物語 5.8 ◯
自分の狙いはジャックと豆の木 5.10c。
前に訪れたときとトップロープでいい感じだったので今回で登れるかもしれないという目論見。
幸い空いていて誰も登っていないが、下部は濡れており、クラックの中も湿気っている様子だった。
うーん、悩む。いきなりリードで行ける自信も勇気もない。
というわけでヘタれてアップがてらに昔登った愛情物語 5.8を登ってみることにした。
仲間からカムを借りて、C4の#0.3~#4をそれぞれ2個ずつまでをずらりとぶら下げて出発。こんなにいらないけれど慣れるためにも。
今回初めて肩掛けタイプのギアラックを使ったけど、かなり使いやすいなこれ。ハーネスにかけるよりカムが手にしやすい。持っていたけど持ってくるのが面倒で使っていなかったのだ。
当該のルートに関してはまあまあな感じで登ることができた。完登。
しかしこうやって落ち着いてカムを決められるのも顕著なガバがあったり、立ってられる場所のあるようなスラブだからなんだよなあ……。
ジャックと豆の木 5.10c ✕ TR ✕
パートナーはマラ岩にある帰ってきた開拓王 5.11cを登り、そのビレイをした。ビレイは下側でするが後半はビレイヤーから見えない。
てっきり乗っこしたらすぐ終わりかと思いきやその後のスラブが難しく、そして日が当たって滑るらしい。
見栄えの良いルートで色々詰まっていて面白いらしいけれど、自分の目当てはこれじゃない。
ビレイを終えてしばらくジャックと豆の木のクラックを眺めた後、覚悟を決めてトライ開始。
持って行くカムを揃えようとするが、中間サイズ、#0.75~#2くらいが1個ずつしかなかった。ちょうどそのタイミングでカサブランカを登っている仲間がいて、パーティーで3セットあるうちの2つを持っていっていたのだ。
まあなんとかなるだろ……と思い、とりあえず持てるだけ持ってスタート。
出だしは問題なし。下部のややワイド気味な部分も左側をしっかり踏んで、フィストを決めて進めた。
ハンドジャムがきき始める、傾斜がキツくなってきたところで進みが遅くなる。
というかジャミングが下手くそすぎて全然きまってる感覚がない。中がやや湿ってるっていうこともあるだろうけど、それよりも下手くそさが勝る。
力が入りすぎて、左側で踏んでいるスラブの踏み感が曖昧になっていく。
あ、これはイカンわ、となりテンションを掛けた。前にトップロープでやったときも、この少し先で落ちたんだっけ……進歩ねえな。
しかし実際は進歩がないどころか退化していた。
想像以上にパンプしてしまっていて、しばらく動けなかった。指先に力が入ってしまっているのはジャミングが下手くそな証拠。
なんとか傾斜部分を突破するが、今度は中間部で都合の良いカムが足りないことがわかった。一番欲しいのは#0.75、#1、#2あたり。#0.75は下部で2個使ってしまっていて、使えるものがない。
こまめにカムをきめないと進める自信と余裕がまったくない。
カムを固め取りしてセルフを取り、なんでもいいので小さめなカムを荷上げしてもらって再挑戦したが少し進んで再び止まり、カサブランカで仲間が使っていたカムを再度荷上げしてもらってまた進んだ。
上部のクラックが細くなったところは問題なく進めた。ここらへんはスラブで、傾斜がないからだろうか。フェース登りで対応できる部分があるからだろう。つまりクラック登りが全然できてない。
這々の体でトップアウトして降りた。
回収したカムは何本だったか……持って行き過ぎ、きめ過ぎであった。
あまりにも疲れたのでしばらく寝転んでいた。
完登できる自信がなくとも練習のためにもう一度リードで挑戦するつもりだったが、全然体が回復してこない。これだとさっきの二の舞いで周りに迷惑をかけるだけだ。
ということで、ヘタレてトップロープで触らせてもらうことにした。
この時、12時頃。ほんの少し雨がパラついたタイミングがあったが、雨雲は14時までは来ないらしい。まだ時間はある。
トップロープの準備をしていると別のパーティーの人から時間が怪しげなのでバックロープを引いてそれでトップロープを張ってほしいと頼まれたので快諾。
カムをきめたり、ロープが足の邪魔になるのに対処したりとか、ちょうどそういう練習がしたかったので渡りに船である。
話によると普段通ってるリードジムのスタッフの知り合いだったらしい。世の中は狭いもんだな。クライマー界隈なんて特に。
トップロープでは1回目で失敗したところの少し先で左足が滑って落ちた。あーあ。
1回目よりはマシではあるが……大人しくトップロープで練習してからリードするべきだったかしらん。それでやっても登れなかっただろうけど。
中間部とかカムを決める余裕がなかったので。
カムは#0.3~#5の2セットを使って、後は落ちることなく登り切ることができた。
うーん。前登ったときはちょうどカサブランカを登ったりと、クラックにやや打ち込んでいた時期だったし……やってないものの実力がそのまま保たれたり、上手くなったりすることはないよな……。
敗退!
届け手の平 5.10d ✕
時刻は13時前。雨が降るまでまだ少し猶予がありそうだけれど、登るものが見当たらない。5.11台は厳しいし、5.10台で気になるカシオペア軌道の1P目 5.10bは明らかに怖そうで気合がいる。
その気合を出す余力がない。
どうしようかなーと思っていたら仲間が最後に届け手の平 5.10dを登るというので便乗させてもらうことにした。
そこそこ昔に触ってある程度手順は作ったものの、結局完登できていないルートである。
といっても手順なんて完全に忘れているし、日が当たっていてコンディションは微妙だし、クラックをやったりで足が疲れていてトップアウト自体が怪しい状態でトライ。
結局手の平は届かず、時間も微妙なのでそこで降ろしてもらい次登る仲間にバトンタッチした。敗退。
帰る
13時過ぎくらいに渡渉前まで戻ってきた。
登ったりなんだりで足が熱いので川の水が気持ちいい……!なんてことはなく、気持ちいいのは渡っている最中の1/3くらいで残りはやっぱり冷たいわ。
結局雨に降られることなく廻り目平キャンプ場を後にした。果たしてあの後降ったのかどうなのか、わからない。
帰りにルーフロックに寄ってジェラートを食べたり。
北平さんからトラックが突っ込んでテラスの屋根が壊れてしまっている話を聞いたり。
そして川上村のヘルシーの湯に寄って汗を流したり。ここのお湯は相変わらず熱い。
途中、中央自動車道の車線規制で発生している渋滞に引っかかりながら帰ったのは21時過ぎくらいだった。
猛烈に疲れた。猛烈に疲れてたけどすべての荷物を片付けて、お酒を飲んでダラダラしてから寝た。
振り返り
あまりにも登れていない。パフォーマンスの低さはひとまず置いておいて、登れないと思ってるから最初から完登しようという気概がないのがよろしくない。
とりあえず登れそうなの触ったれ~、で触りまくってるのはあまりにも志が低いだろう。
まあ、今までずっとそんな感じだけどさ……。
帰ってきてジムに行って登ったら相変わらず登れなさすぎて笑える。いや、笑ってる場合じゃないんだけど。
何がどうなってこうなってるのかわからないけどとにかく一からやり直しである。
それはともかくやはり小川山の滞在、クライミングは唯一無二のものだなあと改めて実感した避暑の時間だった。
それをもっとかけがえないものにするべく、もうちょっと登れるようになっておきたいね。
おしまい