まえがき
「1月末に瑞浪に行きますよー」という話があったので、「天気が良ければ行きます、というかたぶん行きます」的な返事を前からしていた。
いつも前日かその週半ばになってから週末の予定を決める自分としては、こうやって前から予定を決めて行くのは珍しい。
クライミングは天気に左右されるので、基本ノープランなのだ。そして同じような行動パターンの仲間もいるので、とりあえずギリギリに声かけて揃えばゴー、みたいなスタイルである。
フリー過ぎるか?フリークライミングだから当然だろう?
そんな遠征プランの考え方はともかく、幸い週末の天気は良く、計画どおり瑞浪に行くことにした。
瑞浪屏風岩は滋賀からは少し遠い。2時間半ほど。そして交通費もそこそこかかる。
なので人を集めて行きたいなーと思っていたら5人乗り合わせで行くことになり助かった。帰ってきて計算したら一人頭1850円くらいになったのでこりゃお得だ。
次行く時も人を集めて行きたい。
今回はゲストメンバーとして日本有数のワイドクラッククライマーが来るらしい、という話を聞いていた。
著名なクライマーに関する知識が乏しい自分ですらなんかそういう人がいるっぽい、ということを知っているくらいの。
といって上手すぎる強すぎる人の動作は大抵参考にならないし、運動音痴の極みな自分にとって、「言われたとおりに体を動かす」というのはとんでもなく難しいことなのだ。すごい人に教えてもらっても変化が出にくい。
これが実感できないやつは運動音痴を名乗るんじゃねえよ。ぺっ。
なのであんまり意識することとかもなかった。もったいない。
この週の週半ばは関ケ原近辺に大雪が降り、名神高速道路で立ち往生が発生するほどだった。
若干ビビっていたけれど、路肩に雪が残っているくらいで問題なし。
現地10時着予定で少し早めの9時くらいに瑞浪ICにたどり着いた。他の仲間と合流待ち時間に恵那川上屋の栗まんじゅうを食べる。(写真を撮り忘れた)
蒸したてで美味い。100円ちょっとで確かな満足感。オススメ。
10時頃に行くと案の定駐車スペースには車が沢山。少し上の広い場所になんとか停められたくらいだった。
気温は日陰で最高8℃くらい。わずかに雪の残っている場所もあった。
晴れ、風もなく日が当たるところは快適~暑さを感じるほど。
総じてクライミング日和だった。
ロンパールーム 5.8
パーティーの大半がワイドマスター 5.12aに行くという中、前に一緒に来た仲間が「原住民 5.10b/cやエースをねらえ 5.10bをリベンジしたい」という話だったのでそれに付き合う。
正直5.12aのワイドクラックなんて遠すぎる世界で見当がつかない。
ほどほどでいいよほどほどで、という意識低いムーブ。
今思えばせっかく著名なクライマーの動きを見る機会だったのでもったいないことをしたのかもしれないけれど……前述。
人が多いので様子を伺いつつ、瑞浪に初めてきたという仲間がロンパールームを登ったのでアップがてらについでに登った。
普段通ってる花崗岩の岩場と違い、ツルツルしてる頑丈な花崗岩なので、少し躊躇う。
まあ問題なく完登。アップになってるのかよくわからない。
原住民 5.10b/c
前来た時敗退したフェースのルート。
空が青い。そしてここは特に日が当たり、暑い。
自分としてはせっかく瑞浪に来たのだからクラックを触りたいところだったけれど、仲間が登っているを見ると登りたくなる。優柔不断。
1本目
ムーブの思い出しから。やはり2~3ピン目のホールドが悪く、ムーブや手順足順にもいくつか選択肢が多く悩む。
いろいろ試して「まあこれかな?」というムーブを採用してトップアウトした。
そしてロワーダウン中にそれの省エネバージョンを確認してから降りた。
入念過ぎる確認。無駄なミスで時間を無駄にしたくなかったのだ。
2本目
核心で上記の省エネバージョンのムーブを使った右手がスっぽ抜けて落ちた。
その前にホールド感が微妙だったのを「南無三」という感じで飛び出たのが不味かった。
ふい落ちは久しぶり。微妙に左足首を痛めた。やれやれ。
3本目
これ以上時間は無駄にできん!と15分ほどレストしてから再挑戦。しっかり保持れていればどうにでもなる。完登。
これで苦労しているのは先が思いやられる。
でもこれ5.10b/cじゃないと思うんだよなあ……。辛いぜ。
新人クラック 5.9
仲間がエースをねらえ 5.10bに悪戦苦闘したのをビレイしたりして、気づくと14時頃になっていた。もうそんな時間?腹が減ったぜ。
タイミング的に昼飯を食べる余裕がないままトップロープを張って取り付く。
下部が全然できない。ハンドジャムはともかく、フィストジャムが下手くそ過ぎる。やはり傾斜になると辛い。
思えば最後に岩場でクラックをやったのはいつだっけ……去年の9月くらいか?
それ以来全然クラックを触っていないので、できないのは当然である。
ジムでフィストジャムを練習できるのだから、もっと真面目にやらないと進歩もクソもねえよということを叩き込まれて、上まで抜けれず撃沈。
腹が減った……。
ということでカレーメシを食べてコーヒーを飲んで疲れを癒やした。
カレーは癒やし。当然である。
アームロックききますか 5.10a
他のパーティーメンバーと合流して、全員でアームロックききますかに向かうことに。
岩塔が立ち並ぶ風景はなかなか壮観。
名ワイドクライマーのお手本な登りを見せてもらってから、トップロープでそれぞれ触って、教わってみることに。
気づけば夕方になっていたので手短に。
離陸50cmくらいで終了。
でもわずかにずり上がれたし、やること意識することは教わってわかった。
それはともかく膝とかかとで抑えるというワイド系の基本ムーブが下手くそ過ぎる。未だによくわからない。
全員「ワイド筋が足りない」と言っていたけれど、正しくその通りだった。
ちなみにルート名はアームロックききますかなのに結局やっていたのはチキンウィングだった。ウケる。
まあいい経験になったと思う。
こういうのをもっと練習したいが……その機会がなかなかないんだよなあ。
本格的にやるならそのための取り組みをせねば、というのを実感させられるものだった。
あ~らよ! 5.8
日が沈みつつある中、慌ててトップロープで触らせてもらう。
下部フィスト、上部リービテーションを使う。リービテーションなんて初めてやったけど本当に使えるもんなんだなとちょっと感動した。
さっきのアームロックききますかで少し基礎的挟まり経験値が増えてレベルが上がったのか、意外とそれほど苦労することなくノーテンで登れた。
低レベルだと何をやっても成長できる。
これをカムを決めてリードで、となると話は別なんだろうが……。
もう一度新人クラック 5.9
もう暗くなる中、ちょっとのスキマ時間を見て最後に触った。
これも挟まり経験値向上のためか、テンションを掛けつつもなんとかトップアウト。
クラックは経験が大切。
下山、帰る、振り返り
荷物と整え終えると17時半を過ぎていた。
まさかヘッデンを使うことになるとは。暗闇の中を下山した。
帰りの道も特に混雑することなく、スムーズに帰れた。
……実はガソリンがギリギリで、家につく頃には車の情報ウィンドウに表示される残りの航続可能距離は3kmくらいになっていた。セーフ。
ちゃんと給油しておけば良かったなー……。
次いつ来るかわからないけれど、ワイドの練習はともかくフィストジャムだけは練習しておきたい。
おしまい