- まえがき
- ページターナー 5.10d
- 轍(ロングバージョン) 5.10c
- フォグカッター 5.11a
- ヌーク 5.10c
- 昼飯はどこで食べよう
- ロックブルー 5.11b
- サマーフェス 5.11b
- 帰る
- 駐車禁止の警告
まえがき
真冬でも登れる暖かいロープクライミングの岩場という選択肢を一昨年までは2つくらいしかもっていなかったけれど、去年の冬から選択肢が1つ加わった。
そう、宝塚新岩である。
昨年末に初めて行ったのだけれど、意外な近さ、驚くほどの暖かさに満足していた。
ただ滋賀から2人で行くと交通費が嵩む。せめて3人は乗り合わせて行きたい……と連絡を入れたら人数が集まり、決行となった。
ちなみにボルダーからの連登だが、まだ体力などなど残っている感じ。しかし運転などで無理すると危ないので車は仲間に出してもらうことにした。
駐車スペースの状態から相当人が多そうだなと思いつつ、どこに行くか……まあとりあえず岩場のメインエリアとなる奥壁に行って考えるかとアプローチ開始。
連登のわりにアプローチで体が重い感覚はなかった。
奥壁に着くとすでに30人以上の人がいて、自分たちの後も10人くらいのクライマーが訪れていたと思う。
岩場全体で50人弱くらい人が居たんじゃないだろうか。
人大杉、である。これはオーバーユースと言ってもいい状況なのかもしれない。
ページターナー 5.10d
(写真を撮り忘れた)
すでにいくつものルートにクライマーが取り付いてる。
何を登ろうと考え様子を伺う時間が惜しい。幸い仲間の中にも同じ考えのクライマーがいたので準備するやいなやとりあえずアップとして10台のルートに取り付く。
このルートは前回も登っていて「5.10dはないなー、5.10bくらいじゃないの?」とか思ったものだけど、朝一でやるとちょっとキツイ。5.10cくらいはある。
途中「これは握ったら取れるのでは?」という石がクラックに詰まっていて持ったところあっけなく剥がれた。手に取ってしまい置く場所もなく、どうしようもないので下に声を掛けながら投げ捨てた。
岩が安定するまではまだ時間がかかりそうだ。
轍(ロングバージョン) 5.10c
(写真を撮り忘れた)
轍 5.10aの延長バージョン。5.10aの終了点を越えた直後、広めのチムニー的(と言っていいのか?)な部分が少しトリッキーで面白い(怖い)。
上部のカンテのようなクラックの使えるスラブは難しいと思いきや意外と簡単だった。
完登。
フォグカッター 5.11a
奥壁に人が多すぎて落ち着かない。
平らな場所には荷物があるか他の人がいるかで、座って休むことすらままならない状態なので、ペアとなったパートナーと一緒に別のエリアに移動することにした。
行ったのは奥壁右下エリア。
エリア移動といってもすぐ近くにある。ロープとギアだけ持って行ったら幸い誰も居なかった。助かる。
トポには「関西では最もすっきりしたフェイス」と書かれている。
確かに平らですっきりしているけど、関西で最もなレベルかというとよくわからない。
この岸壁はビレイポイントの足場が悪く、1ピン目までの取り付きも良くない。
なのでビレイヤーは太めの木などにセルフビレイをした方が良い。
クライマーが1ピン目を取る前に足を滑らせると二人揃って下まで落ちる。
途中、4ピン目~6ピン目が核心だろうか。
そこら辺のホールドは大体がフェースにできた穴、凹みとなっており、これを踏むのが難しい。
ランナウトっぷりもそこそこで、クリップする時はボルトは足下くらいになる。迂闊に下を見て恐怖を覚えると厳しい。
「もう一回やりたくねー!ここで時間を使いたくねー!」とか思いながら、なんとか1発で完登できた。
核心部以外はそんなに難しくない。
核心部があと2倍くらい長さがあったらそこそこな名ルートになった気がする。
それにしても空が抜けるように青い。風もなく快適……どころか日差しの下では暑くなってきた。
ヌーク 5.10c
お互い休みを入れずにすぐ登る。なんかそんなペースになっていた。
ヌーク 5.10cはフォグカッターの右隣のルート。せっかくなのでこの壁のルートは両方とも登ってしまおうと取り付いた。
トポには「意外とバランスが悪い」「単調な外観に対して面白みのあるクライミングが体現できる」とあるけど、まさしくその通りだった。
うっかり突っ込むと「あれ?」となるところがいくつかあったような。ボルト間隔も程よい。
グレードに見合った面白いルートだと思う。オススメ。
昼飯はどこで食べよう
ヌーク 5.10cを登り終えたところでちょうど正午になったので荷物を置いてある奥壁に戻ったところ、混み合い具合は変わらず。
この日はよく乾燥しており、そのためか人が動くと細かい土埃が舞っていた。
こんな中で昼飯を食べるのは辛い。というか落ち着いて昼飯を食べられる場所がない。
なので荷物をすべて持って再びエリア移動。正面壁エリアに移動した。
幸いこっちも2人しかおらず、静かなもので助かる。
昼飯を食べるような場所がないかも、とか思ったけれど壁の右隅が使える。まるで秘密基地のような奥まった佇まい。(ただし、右端のルートであるロックブルー 5.11bに近いので注意)
昼飯はハヤシメシ!
お湯を入れて5分待って、さあ食べるぞという段階でスプーンを持ってくるのを忘れたのに気づいた。箸すらない。マジかよ。
パートナーも持っていなかった。奥壁に残った仲間に聞きに行けばあったのかもしれないけれど、もう面倒なので落ちている枝を使うことにした。腹を壊す覚悟を決める。
ワイルドハヤシメシ。
湯を多めにして、かき混ぜることだけに使う。後は流し込みながら食べればいい。
……もしこの枝が夾竹桃の枝だったりしたら大惨事だなとか思った。確か夾竹桃の枝で作った箸で中毒になったケースがあったような。
パートナーは早々に食べ終えて、次に登るルートにロープを置くなど準備万端。やる気十分、体力十分だなーとか思いながら食後のコーヒーも飲んでチョコパイなど食べたりした。
直後、パートナーが次のルートを登る際に「もうヨレているのでこれが最後かも」と言って少し安心した。
お互いのビレイ時間があるとはいえ、休みなしノンストップで登るこのペースは結構余裕ないぜ、とか思ってたのだ。
ロックブルー 5.11b
(写真を撮り忘れた)
正面壁の右端のルート。
トポには「エリアきってのトリッキーなルート」と書いてあるけど下からだと全くわからない。そのトリッキーさは2ピン目からいきなり現れた。
1本目
2ピン目周囲はホールドがあるけれどどれも微妙に使い勝手が悪く、どのような手順足順、ムーブで体を上げていけばいいのか戸惑う。
たぶんパワーがある、保持力がある人はゴリ押しでサッと抜けることができると思う。そうでない場合、ムーブを考えるのが難しく、楽しい。
左側にあるガチャガチャとした部分が見た目脆そうで、欠けそうで怖い。
テンションを挟み、ムーブを確かめながら登った。上部は比較的簡単だけど、汚れていることもあったりで油断できない。
ルート全体が緑色のコケで覆われており、これがルート名の由来かなとか思った。
ロワーダウンしている最中に2ピン目周囲のムーブを徹底的に調べ尽くして降りた。
2本目
構築したムーブを容赦なく繰り出して、完登。
このルートは下部のムーブ構築が面白い。発想力とそれを実行する力が試される。
オススメ。
サマーフェス 5.11b
この岩場では珍しい、ハングのあるルート。
これで今日は〆て、最後になにかクールダウンを登って……とか思いながら取り付いた。
1本目
ハングに入ってすぐ、というか核心のガバ取りが遠い。
左側にいくつか保持できそうな場所があるので刻んで取ろうかと思ったけれどどうにも辛い。
オンサイトしたパートナーに習って覚悟を決めて飛び出したら止まった。
実際はそれほど難しくはないはずだけれど、これは苦手なムーブ。特にヨレが来ているとちょっと辛い。
ハングの抜け部分はホールドが分かりにくい。わかってしまえばなんてことはないのだけれど。
その後は終了点までボルトがないので注意。落ちるような場所ではないと思うけれど、万が一もあるので。
少し終了点が分かりづらい。上がりきって左側に見えてくる。
2本目
核心部のムーブの前のクリップでヨレたり、飛び出しでまごついていたら終わる。
なのでクリップはニーバーを繰り出してなんとか負荷を落としたり、飛び出しで無駄に引き付けないようにして一気に出した。止まって、その後はスムーズに完登した。
ワンポイントのムーブだけの課題なので、面白いかというとなんとも言えない。でもそのどムーブを決めたときの爽快感は良い。
こういうルートやムーブを初見の一発で決める力は大切だよなーとしみじみ思った。
帰る
4時を過ぎた頃に日が沈んだので荷物をまとめて、奥壁に戻った。
もしかすると他の仲間はもう自分たちを待っていたりするかもとか思ったけど、まだ登っていた。元気だ。
いや、登った本数なら負けないぜ。たぶん。
帰りのアプローチがなぜか楽。というか最近アプローチに苦しさを感じない。
大して山歩きとかしていないはずなのに、なんでだろう。
どこが鍛えられているのかよくわからない。
駐車禁止の警告
駐車スペースに戻ると、置いてあるすべての車に駐車禁止を警告する紙がワイパーなどに挟まっていた。
調べたところによると、点数加算や罰金などが課される駐車違反対処ではないらしい。注意という段階とか。
うーん。これはアクセス問題だな……。
あまりに岩場を訪れる人の車が多く、トポに記載されている駐車スペースをはみ出して停車してしまい、それが問題になりつつある。
事態が落ち着くまで行くのは控えることにする。
※開拓関係者からのアナウンス(2024/01/16)
おしまい