ムイ

もはやクライミング日記

2024/03/03 ガンガンいこうぜ@宝塚新岩

 

まえがき

土曜はこの冬最後の寒波かも?と思われる感じの寒さで、チラホラ雪が舞うくらいの天気だった。予報でもそうだったので、まだマシそうな日曜をチョイス。仲間に声をかけた。「どこに行くか決めてませんけどどこか行きませんか」、と。

いや、本当は芹谷屏風岩に行きたかった。しかし最高気温6℃で前日雪、当日も最低気温が-4℃で風も強いとか行く気なくなるに決まってるだろ……。

 

なんか最近このパターンが多い。寒かろうがなんだろうが構わずそこにある目当てのものを登りに行きたい!という強い欲求が乏しい。

でもなんか登っておきたい、みたいな。こういうのはよろしくない。

「なんでもいい」は「どれもしなくてもいい」に近いものがある。

 

まあいざとなったら一人で地元の岩場でも行くか、と思いながらいくつか選択肢をあげたら宝塚新岩に行きたいという声が上がり、幸い交通費を抑えられる程度の人数が集まった。

宝塚新岩については人が多く来すぎて駐車場問題が生じていて、しばらく避ける予定だった。

kuramiya2.hatenablog.com

 

しかし別の岩場で聞いた話ではしっかり対策が取られて少し人が減ってマシになったという。

なら問題ないかな?と少しおっかなびっくりな感じで行くことを決めた。

 

当日5時半起き予定だけど、当日の0時からF1開幕戦のバーレーンGP本戦の放送があった。

ううむ。これを見逃す訳にはいかない。

レッドブル、というかマックス・フェルスタッペンの圧倒的なパフォーマンスと、タウリ改めVCARBのひどすぎるストラテジを見てから2時半に眠りについた。

寝不足不可避。

 

車内でコーヒーを飲みながらドライブ。

8時半頃に岩場に着くと駐車場が半分ほど埋まっていた。確かに前ほど混んでいない印象。

道の逆側には停車をしないようにという掲示が貼られていた。

開拓者の、岩場へのこういった細かな整備には頭が下がる。

貴重な岩場だ。迷惑のかからぬよう、大切に使っていきたい。

 

朝の冷たい空気と固い霜柱の残るアプローチをこなして岩場に着くとすでに10人ほど人がいて、それから10人ほど増えたような。自分たちを含めると30人くらい?

まあまあ多いけれど、そこまで混み合いを感じることもなく登ることができた。

この日の気温自体は最高で15℃くらいだったと思う。着込んでいて日差しが当たると暑い。

でもたまに涼しい風が吹いて、今までで一番快適だった。

 

ガーデンズ 5.10a

アップとして登ったことのないものに取り付いた。スラブな課題。

下部、出だしが一番悪い。早朝は日が当たらないので冷たいというのもあるかもしれない。

上に進むに連れ、快適になる。

スラッとしていて見た目がいいし、写真を横からきれいに撮れるし、ちょっとオススメかもしれない。

完登。

 

ドリームファクトリー 5.11c

今回の狙いのルート。

最初に来たときも、2回目に来たときも混んでいたりで触れていなかった。

これが混む理由は

  • この岩場のメインとなる奥壁の下部にあって取り付きやすい
  • 下部のアンダーカバー 5.10aだけを登る人もいる
  • 右隣のバッシライン 5.10cとルートが微妙に干渉しており、その際は待つ必要がある
  • 岩場の中で数少ない5.11+なグレード帯
  • トポに「エリア1の好ルート」と書いてある

などが原因と思われる。そりゃまあ混むよね。

 

なので、もう1本くらいアップで登るかという気持ちを抑えて早速取り掛かることにした。

すでに下部のアンダーカバーにはクイックドローが掛かっていたのでそれを借りつつ挑戦開始。

 

1本目

下部のアンダーカバー 5.10aが微妙にいやらしい。前も登ったけど棚から棚が高く、棚で休めるせいか妙に迷いやすくてリズムを崩される。

それを抜けてからがスタート。

 

アンダーカバーからドリームファクトリーの間はロープが岩と擦れるので、ロープが痛みやすいかもしれない。

 

出だしからちょっと気持ち悪い。レイバック気味で対処。

その後のポケット、そこからの足上げやクロス出しあたりが第一の核心なのかもしれない。それをこなした後に行き場をなくしてテンションを掛けた。

その後にある、小さなアンダーホールドからのちょっとした飛び出しでのスローパー止めもなかなか小気味よい。このアンダーが欠けそうで少し怖い。

 

最後のガバ取りが遠い。

この時、ボルトはヒザ下にあるのが憎い。

古いリングボルトが目の前で連打されているのになぜここに新しいボルトがないのか……と思いつつ、それが味なんだろうと納得する。

これが第二の核心かな。メンタル的にも。

そこで何度か上に上がっては手順、ムーブを試して降りてテンションを掛けるということ繰り返した。

ガバが微妙に遠いのだ。距離を出せば届くけれど、体を引き上げるほどの余裕が出せない。

しかし右足を斜めのスタンスでしっかり踏む、少し勢いを出すということを試したらあっさりこなせるようになった。

自分の身長は168cm。それで遠く感じるので、おそらく160cm以下の人、特に女性には辛いだろうな……。

 

最後まで保持力を残せるか。それがギリギリの場合でも飛び出すメンタルを保てるか、というのが試されるルートだと思った。

まだ手順構築もムーブも甘い。次でこれをこなせるか……ギリギリ行けるか?と完登の確信を持てぬまま仲間のビレイをした。

 

2本目

混み合ってトライのタイミングを逃すのが面倒だったので、仲間が登ってすぐにトライをすること。

 

下部のアンダーカバーでリズムを崩されると面倒なので意図的に早く抜ける。

出だし、中間部のムーブは思ったよりも安定していた。そのおかげで上部まで余力を残せた。

なので伸び上がりでのガバ取りも苦労せず、完登。

 

もっと苦労する予感があったので、少し拍子抜けした。

 

トリトン 5.11b

昼飯を挟んで、防衛戦 5.12bでもやってみようかなと思ったけれど、混んでいてちょうどタイミングを逃した。

この岩場唯一の12台なので、これも混んで当然なのかもしれない。

 

待ってもいいけれど……時間がもったいないので別のルートに取り付いてみることに。

せっかちすぎるか?まあいいだろ。

というわけで選んだのは朝登ったガーデンズ 5.10aの右のカンテにあるトリトン 5.11bというルート。

これまた見栄えが良い。それで選んだというところある。

 

1本目

出だしは切り株から左のスラブに乗り移って、とあるのだけれど切り株は2つあり、どっちから行くのかよくわからない。

上の切り株だと1ピン目が掛けられるけど乗り移りが難しい。

たぶん1ピン目を掛けてから一度降りて、下の切り株から行くのが簡単なのだろうと思う。それでも上の切り株から行ったが。

 

左隣りのガーデンズと共有するようなホールドがいくつもあり、良いホールドを目指して左に行きがちだけどそれをせずになるべくカンテ側のスラブを登る。

ボルトが手の届く位置にある程度に。

 

4ピン目のボルトは右面だけれど、そこからいきなり右面を登るのはかなり厳しいと思われる。やや左面のカンテから行って、5ピンの下あたり(デカイ三角形の凹み)から右面へ行くチョイスをした。

この面移動、そしてそこからの数手が核心なんだろう。

これを左面のスラブでこなすと5.10dなので、ここだけで2グレード上がってることになる。

 

面移動に良い足がなくて、足ジャムでこなしたり。

その後足や体を上げるのに有効な右手が見つからずテンションを掛けて右往左往したり。

なんとかこれかな?という手順を構築して上まで抜けた。

 

限定があるし、ルートが近すぎて混在しているしどうかなーと思ったけど、結構面白いぞ、このルート。

 

2本目

面移りのときのホールド感を忘れていて少し戸惑ったけれど、そこからは構築した手順をこなして完登。

面白いのでオススメ。

個人的にはこの奥壁にある5.11b、ホビット、坂武者とある中で一番面白かったような。

 

ホビット 5.11b

時刻は15時半。防衛戦 5.12bに掛かっていたクイックドローは回収され、空いていた。

今から取り掛かるか?うーん、マスターだと抜けられない場合が怖いな。それにそこそこ登ったし気づいていないヨレがあるだろうし……。

 

ということで奥壁左端にあるホビット 5.11bをチョイスした。

短い、ボルダリーなルートらしい。

 

1本目

今日触ったルートのホールド感とは違い、ツルツルな岩で戸惑う。

左のカンテ側からもスタートできそうだけれどそっちは簡単そうに思えたので、右側から取り付く。

 

このルートの一番の核心は、2ピン目のマスタークリップだと思う。

右手左手ともに挟み込むようにホールドしており、手の力が抜けない。

自分は右ヒールを掛けてなんとか右手をフリーにしてクリップ、ロープを掛けたけれど、たぐり落ちをしたらと思うとゾッとする。

 

その後の足上げやガバ取りムーブが核心なのだろうか。バランシーで面白い。

そこから左のカンテから行くと5.11cになるらしいけれど、そこらへんにこだわる余裕も時間もなさそうだったので右のガバを使う5.11bルートで登った。

上部の足上げ、悪いホールドも少し戸惑う。

 

2本目

2ピン目のクリップが核心だよなー、とか思って取り付いたら下から苦もなく届いてちょっと拍子抜けした。

マスターとそうでないとで色々違うんだよね……。

 

その後は足を滑らさないように気をつけて、核心部をこなした。そして完登。

 

余談だけれど、「ホビット」という名前は指輪物語の権利を管理する団体によって商標登録が行われている。作品に登場させるのはOKだけれど、製品名などに使用するのはNGらしい。

ルートの名前の権利ってのはどうなってるんだろうな。

初代ミッキーマウスの権利も切れたらしいし、そろそろミッキーマウスって課題やルート名を容赦なく使ってもいいのかもしれない。

ハハッ

 

バッシライン 5.10c

16時半頃になると他のパーティーは岩場から帰って行った。仲間も終戦の気配。

うーん……でももうちょっとだけ、余裕があるぞ。

そう感じたので少しワガママを言ってクールダウンがてらにもう1本登らせてもらった。

岩場に来たからには全部出し切るスタイル。

この岩場に来たら基本、数を登っている気がする。

 

長いルートで、ロワーダウンしたら50mロープでちょうどになる。つまり25mも登ってるってことなのか……。

ロープが短いと一回で降りれなくなるので注意。

途中、振られ止めのためなのかカラビナが入った支点があるので、そこで一度セルフを取ってロープを抜くという方法もあるのかもしれない。

 

全体的にガバなルート。傾斜もない。

上部の凹角は右面が岩がボロボロに見えて少し怖いし迷う。でも落ち着けば問題ない。

完登。

 

長いので、爽快感がある。気分転換にいいかもしれない。

 

帰る、振り返り

帰りのアプローチは心地よい。

寝不足の割に特に不調もなく、しっかり登れたような気がする。

というか仲間の中で一番回数登っているような。他人を差し置いて登り過ぎか?でもタイミングがあるのに待つのは性に合わぬ。

 

5.11ノーマルあたりをしっかりオンサイトできる力を身に着けたい。

最近1本目はテンション、ハングドッグしまくってムーブ解決して、2本目で完登ということばかりなので。

オンサイトグレードを上げていけばもっと楽しめる要素が増える気がしている。

 

次に宝塚新岩に来たら防衛戦 5.12bへの挑戦だな。

あと、取り付くのが面倒なあまり登られていないっぽい5.11後半あたりのルートも触ってみたい。

 

おしまい