まえがき
2月半ばと季節としては真冬のはずなのに最高気温が15℃超えの日々が何日か続き、週末も16℃くらいまで上がるという予報になっていた。
週半ばに雨は降ったが、もちろん雪は降っていない。
これは芹谷屏風岩に行けるのでは……?と思っていたら同じことを考えていた仲間がいたので、それに便乗することにした。
芹谷でハマっているものといえばデッドライン 5.12cである。悪い意味で。
昨年の秋に挑戦し始めたけれど、トップアウトするのにヒイヒイ言っている体たらくで全く可能性が見えない。
えーっと最後に行ったのはいつだったっけ……?
12月の頭だ。2ヶ月経っているけれどその間、目立った成長などはない。
ならまだ登れる見込みはないだろう。
まあ行って気分が乗らなかったら過去に登ったものの再登とかしようかなと思って岩場に向かった。
駐車スペースには9時頃に着いた。
普段クルマを置く空き地には除雪車と謎の木材が積んであるので注意。
アプローチには新しい倒木があったり、道中にはアイゼンで引っ掻いた跡のついた岩があったり。
雪が積もった中でも登りに来ている人がいるらしい。気合いがすごいぜ。
この日は自分たちしかいないかと思いきや知り合いのクライマーが3人組で来ていた。
考えることは同じということなのかしらん。
アップにラ・バンバ 5.11a
週半ばに大雨が降った影響か、象鼻は景気よく水が染み出していた。
それどころか下部のコルネなども泥で汚れており、なかなか根深い染み出しに感じた。
気温が高めなおかげか、染み出している水がそれほど冷たくないのは助かった。
問題なく完登。
確認のために舞姫 5.11a/b
デッドライン 5.12cをやるつもりは全然なかったのに、いざ壁に向かうと「まあやらんとな」という気持ちになる不思議。
とりあえず舞姫 5.11a/bを登って、フェースクライミングの調子を確かめつつデッドラインの中間部以下(10ピン目まで)クイックドローを掛けて降りよう決める。
ただ、舞姫で詰まったらもう今日は見込みがない、と思いながら取り付いたらまあなんとか登れてしまった。
何とか登れてしまった、じゃあダメなんだよなあ。これを鼻歌交じりで2回連続で登れるくらいじゃなきゃ。
舞姫の終了点からデッドラインの10ピン目までトラバースするのはずいぶん慣れた。
こういうことばかり上達しても仕方がないのだが。
デッドライン 5.12c
さぁ~始まりました、無謀なる挑戦。
ノートにメモってある手順足順は何を書いてあるのかわかんねえし後半はあまりにも可能性が見えなさすぎてメモるのをやめていた。
というわけでやり直しだやり直し。
ビレイヤーに「めちゃくちゃ時間掛かりますよ」と声をかけてスタート。
1本目
2ピン目前から早速テンション。
スロットの1本指ポケットの感触が思い出せない。もう一回やったら無事できたけれど。
その後もたびたびテンションを重ね、核心部ではさらにテンションを重ね、もう大テンション祭りである。
……こんなもの昔に作っておいて何だけど、古の香りのする画像過ぎるな。
せめてなにか進捗をと思い、核心を抜けた後の上部、5.9くらいのパートの手順を完璧に構築して、改めてメモった。
簡単とはいえ、迷うと間違いなく詰むのだ。
2本目
意外にも7ピン目までノーテンで進むことができた。
感覚的には、そこまでで5.11b/cくらいある気がする。そこからが本番なのだが。
そしてその入り口に足を踏み入れようとしたところでもう保持力と正確にフットホールドを捉える余力がないことが明確だったのでテンション。
たぶん下部で力が入りすぎている。
もっと力を抜かないとどうにもならない。
以降の核心部でもそれほど進捗なく、ただ上部だけはヨレていてもノーテンでこなせるのようになった。
ほんの少しだけの進捗かな。
3本目
指皮がヒリヒリする。指の力があんまり戻らない。
全力でホールドを握って、ムーブを試して、それでまたテンションを掛けるということを繰り返しているので消耗が激しいのだ。
リードで抜けられる予感がなかったのでトップロープで最後に確認を行った。
その予感は当たっていて、結局核心部のムーブはまるでダメだった。
指だけでなく、豆みたいなジブを踏むと足先が痛む。アンパラレルのRSラバーに張り替えたTN-Proでは柔らかすぎるらしい。
もうちょっと硬いシューズを使ったほうがよいのかもしれない、とか思った。
手持ちだとレグルスくらいか?
……この世界は美しい。
美しいが、ルートが完登できるのとはあんまり関係がない。
帰る
結局微々たる進捗しか得られず、17時頃に下山した。
この日はバイタルポイント 5.11c/dが大人気だったのだけれど、それを登ったときの自分は一日に4回トライを重ねていた。
一日にそれくらい回数はトップアウトできるようになっていないとダメってことかもしれない。
まずは下部の握り込みによる指を消耗を抑えて、回数登れるようになってからだな。
まだ土俵にすら上がれていない感が強いぜ。
おしまい