
まえがき
近畿で梅雨入り宣言が出された。気象庁の発表では6月21日頃となっている。
大体10日前くらいの話だ。平年と比べると15日ほど遅いらしい。そんなだっけ?あんまり覚えていない。
梅雨に入っても変わらずになんとか登っていたような……くらいの感覚しかない。
ただ今回は明確に2024年上半期シーズンが一旦打ち切られた。
新型コロナウイルスに掛かったのだ。2年ぶり2回目くらい。
先々週末の土曜に岩場に行って、翌日の日曜に喉が痛かったのは逆流性食道炎ではなく新型コロナウイルスの症状だったらしい。
喉の痛み→全身の痛みと倦怠感→咳→発熱(でもそんなに高くない)となって病院に行ったところ、抗原検査で発覚。
結局この週はまるまるダメになった。やれやれ。
現状、新型コロナウイルスの症状自体は怖くない。怖いのは後遺症だ。
前回掛かった時は嗅覚がなくなってある程度戻るまで半年以上掛かった。クライマーの知り合いの中には3ヶ月くらい全くパワーが出なくなった、という人も数人いる。
医療機関に言われた通りに念の為発熱から5日間ほど自宅療養して、10日ぶりにリードジムに行ったらすぐパンプする、新作の5.10dくらいのルートのRPに3回も掛かってしまった。
家でほぼずっと寝ていたのでこの有り様はまあしゃーなし。
これでシーズン終了だなーと、週末もクライミングジムに行く日々の始まりか、とか思って天気予報を見たら金曜大雨、土曜日曜は場所によって登れそうな気配を漂わせている。
……これ、ワンチャンあるな?
で、ジムで仲間に「週末行きます?」と半分冗談のつもりで声を掛けたら「行きますか!」と乗り気な返事が来てビビった。え、マジで?
「もう梅雨入ったし、やめときましょーよ」とか、そういう流れではなくて?
まあ、乗り気なのならこちらも乗り気ならねば失礼だ。
かと言ってもまだ病み上がりでRPグレードを狙いに行くのはキツイ。■■の岩場は雨に強いのはわかっていたけれど、正直やれることがなさそうなので蝙蝠谷を提案。
一緒に行く仲間も集まって決行となった。
コンディションとか
蝙蝠谷が雨でも強い、というのはなんとなく知っていた。
特に正面壁には染み出しの跡がないし傾斜があるしで大丈夫そうだろうと。
天気予報では前日の金曜の夕方から雨は止み、以降は曇り、稀にぱらつく程度。
でも翌日土曜の湿度があまり下がらないのと、風が弱いのが気がかりだった。
朝、滋賀で集合時は雨が降っていて路面もびちゃびちゃで正直不安だったけれど車を西に走らせるほどに路面は乾いていく。これは行けるな。
遊歩道、サイクリングロードの日陰はよく濡れていたけれど、湖面近くに降りるアプローチは特に浸かっているということもなかった。ダムが放水をしているからかもしれない。
ただ、谷の中から聞こえる水音がいつも以上にデカい。


おお、立派な滝じゃないか。
アプローチ途中に降りてくるクライマーとすれ違った。忘れ物かな?と聞いたらあまりにもコンディションが悪いので転戦するのだという。
そんなに。

普段アプローチに使っている部分に水が流れている。え、こんなところも流れるの?とビビった。

飛び石での渡渉が必要なレベルで水量豊富。
朝一の岸壁は谷の左側(子年のエリア、川原エリア)は全然ダメで、右側も森エリアはダメ。震災エリアは染み出し多し。
無傷なのは正面壁の梯子までといった様子だった。
そんな環境なのにたくさんのクライマーが来ていた。駐車場はほとんど埋まる程度。
正面壁には20人くらいいたような。そこしか登れないのでみんなそこに集まってきているのだ。
なかなか窮屈な状態だった。
復活 5.11c(下部のみ)

混み合っている中、前から触ってみたかった超人気ルート、復活 5.11cが空いていた。
お、ラッキー。どこも埋まっていて登るところないし、手持ち無沙汰に待っていてもしょうがないし、とりあえず取り付いたろ。
激しい染み出しがあるけれど、たぶんガバだしなんとかなるだろ。
上部はよくわからないけれど途中に回収用の鎖付きの中間支点があるからアップを兼ねて様子見で登ってみよう。
と、人が多い中で圧迫感を感じつつ、勝手に急かされるような気持ちでトライを開始した。
1本目
出だしからあちこち濡れていて辛い。中間部の染み出し部分はもう持ったらチョークの意味がなくなるレベル。いくつか選択肢があってそれのどれも濡れているので余計迷う。
以降は意外とフットホールドが悪く、テンテンになりながら中間支点までたどり着いた。
これで上に進む気には流石にならない。ぬぬう。
2本目
混み合う前にもう一回登ってみた。慣れてくるとまあマシなのだけれど……中間支点手前でスタンスを見失った。
覚えて決めたらガンガン負荷が下がるけれど、決めておかないとかなり迷うなあ。
結局まだ下部なのに1テン。こりゃひどい体たらくだ。病み上がりとか関係なく。
それ以降は仲間が触ったり、周りのクライマーもドローが掛かったので触ってみようという気配があったりしたのでその場を離れた。
どうにも人が多いところが苦手だ。待つのも、順番に配慮するのも窮屈でたまらない。
人見知りここに極まれり。
登れるところを探して散策
30分ほど他に登れるところがないかと岩場をウロウロしていたら、子年エリアの上部、イボコロリなどのある岩塔が白く無傷なことに気づいた。
これ、行けそうだな!
自分と同じく人が多いところが苦手な仲間がいたので、一緒に子年エリアへ向かった。
雲に乗る 5.11b

前に登ったことのある猫の渡り廊下 5.10b/cは上部をトラバースして上がるが、これは下部をトラバースしてから上に上がるルート。
ボルト11本、24mとそこそこ長めなルートとなっている。
幸い染み出しは一切なかった。下部の1ピン目までが湿っぽいくらい。
1本目
下部でトラバースを初めて途中、このルートとまっすぐ上がるルートの間にさらにボルトがあることに気づいた。
トラバースの途中でも上がれるらしい?トポにないルートなのかな。よくわからない。
トラバースまではアプローチという感じで、そこからルートの開始。
中間部のフェースはほんの少しだけホールド、ムーブが見つけにくいけれど基本しっかり保持れるものが多いので問題ない。
ルート全体からすると要所要所にガバ、休めるポイントがありメリハリが効いている。
ただ、とにかく岩が脆い。フレークガバなどは、「これそのうち崩壊するだろうな……」というものばかりで、スタンスは足を踏み込んでねじるだけでポロポロ欠ける。そういう緊張感込みのルートだと思う。
下から見ると大きなハングが一つに見えるけれど、ルートの中では二段ハングの構成になっている。
一段目のハングを抜ける際に左に行き過ぎてテンションを掛けた。その後も二段目のハング抜けのところでこれまた左からアプローチしすぎてテンション。
雲に乗る、というルート名の由来はおそらく一段目ハングを乗っ越した後の感覚から来ているんじゃないだろうか。
一段目ハングを抜けると傾斜はないものの少しホールドが乏しく、バランスを取ってこなす必要がある。ボルトは足元。このヒヤヒヤする浮遊感は確かに雲を乗る、かな。
ムーブが多彩で、立体的な動きが多くて面白い。
ただ覚えることが多くて、こりゃ次でも登れないかも。とか思った。
2本目
ガバでしっかり休めばどうということはなかった。
ほんのわずか必要になる大胆なムーブ、恐怖感をコントロールすれば問題なし。
完登。
長さもあり、繰り返しになるけれどムーブが多彩、立体的な動きが多くて色々楽しめる。
個人的にかなり面白かった。オススメ。
イボコロリ右足 5.10

正面壁に戻っても混んでるだろうし、登ったことがないので登ってみることに。
下部の最初のハングがビッチャビチャ。若干焦る。
中間部のフェースは使えるホールドがどこにあるのか探すのが少し難しい。こう起伏に飛んだ岸壁だとそうなるのかしらん。
基本ガバが多いので困ることはない。ただ、最上部のハング抜けが悩ましい。ボルトのあるところを左から攻めると顕著なホールドがない。汚れていたり。
仲間がやや右から攻めて登ったけど、ロワーダウン中に「これはまっすぐ抜けたほうがいいんじゃないか?」と挑んで諦めてた。自分も試したけれどうーん、難しい。
同じ用にやや右から攻めて登った。
完登?
ルートが隣接していると限定ホールドなどを疑ってしまうなあ。
かっこよさ、より困難をというクライマーの姿勢に正しくあるなら真っ直ぐ攻めるべきだったか。
ところでこの日、このルートでホールドの欠落、落石があったらしい。
自分たちが登った前なのか、後なのかわからない。
この岸壁は脆いので気を緩めずにいなければ。
ハットトリック 5.11b/c

そういやおにぎり岩も空いてたし、ちょっとコンディション良くなってる気配あったなーと思って15時頃に正面壁に戻ったらそこそこ人が減っていた。
そのうえ、ルートもいくつか空いている。
仲間をそそのかして、ハットトリック 5.11b/cというルートを取り付かせてみた。
見るからにカチカチなルートで、そのうえ足が悪そう。
自分より強い仲間がテンテンになりながら登ったのを見て、あ、これはヤバイやつだと判明。
しかし「これどうです?」と薦めておいて自分が登らないのもな……と思い、でもリードで挑んでトップアウトできずに回収失敗になるのも問題なのでヘタれてトップロープで触らせてもらうことにした。
志の低いクライマーですまない。
下部は意外となんとかなる。綺麗にホールド、スタンスがつながってる感じ。
中間部は右の哲学の道のクラックの形作るカンテを使って良いものだろうか?真ん中にある悪いカチだけではかなり厳しく、諦めて使用して抜けた。

上部のスラブはきっと簡単だろうと思ったらここがさらに悪い!
保持感悪いホールドの三連発くらいで、フットホールドが見えにくくてもう集中力も切れたし指皮もヒリヒリして痛いしでゴボウで突破。
うーん、難しい。
しっかりムーブを固めていったら登れる気もするけど。
パインヒル 5.10c

暑さで足がむくんだのか、シューズを履いて足先に荷重をかけるのが辛い。指先もひりつく。
この時確か16時過ぎくらい。もうあと1本くらい?
仲間を見ても終戦ムードだったので、最後にパインヒル 5.10cという★★★なルートを登ってみることにした。
このルートから派生するルートが多く、いつも人気で取り付けたことがなかった。
1本目
1ピン目までの下部のスラブが完全に濡れていて緊張する。おっかなびっくりという感じでなんとかこなして、2ピン目まで。
ガバカチが心地よい感じであるので、これはちょうどいいなと思ったら急にホールドが悪く乏しく遠くなって混乱した。
???え、ナニコレ?
よくわからん。思わずテンション。
あるのは右手で保持れるサイドじみた薄カチ、その右隣に小さく悪いカチ。
探すとチョークのついたギリギリ指が2本入るサイドポケットがある。
……こいつらでこなすの?マジで?
いろいろ試した結果自分はポケットを使うムーブで抜けた。
その後も容赦なくそこそこ悪い。
下部のフェースを終えてハングの左隣の棚まで来たら、以降はそこまで難しくはない。
ただ、下部が難しすぎる。5.10cとはとても思えない。わかったら5.10cの負荷になるのかしらん。
続いて仲間が登るというのでクイックドローをそのままにして降りた。
気づいたら自分たちのパーティーだけになっていた。
2本目
2本目をやる予定はなかったのだけれど、「やります?」と聞かれたら「じゃあやります」と答えるしかない。
「いやーもうヘロヘロなんでやめときますわー」とかそういうスタイルではないのだ自分は。
正直全く完登する予感なく取り付いた。そのせいか1ピン目までの濡れたスラブでヒヤリハット状態になったり。
無理だろうなーと思ってた核心部分はムーブが固まって足が落ち着くと途端に負荷が落ちた。作った手順やムーブを丁寧に繋いで、完登できた。
帰る
帰りに新しくできたつくはらキャビンなる小屋によって、手を洗った。

新しい木の匂いが心地よい。
「登山・サイクリングの休憩にご利用ください」と記載されている。フリークライミングも登山のワンジャンルなので、利用しても問題ないだろう……たぶん。
帰りの車内で「明日リードジム行きます?」といつものように聞かれる。
……明日のことを考えずに出し切ってるんだよなあ。たぶん仲間の中で一番本数登ってるはず。
病み上がりのわりによくやったと思う。というか体力などなどを戻すためにリハビリ的に数を登ったところある。
前回も同じような状態で、翌日ジムに行ったら指皮ないしヘロヘロで2時間で帰った。
「余力があれば行きます」と答えるだけにとどめて、結局行かなかった。
朝起きて買い物で歩いているだけで疲れを感じるのに登りに行くのはおかしいだろ!
競馬は春シーズンが終わってしまって少し寂しい。
F1はヨーロッパ3連戦で、王者のレッドブル・マックスをマクラーレンが追い詰め始めたり、角田のいるVCARBはアップデートが大失敗したりで、なかなか見どころ豊富で楽しい。
さて、梅雨は続くが来週は外で登れるだろうか?
Let's wait and see. (どうなるか見てみよう……F1風の締め)
おしまい。