まえがき
「日ノ御子に行きませんか?」というお誘いが入ったのは1ヶ月くらい前だった。
来たな。毎年、冬に1、2回ほどやっていた日帰り弾丸四国ボルダー遠征だ。
ボルダー遠征に行っても大して登れないことはわかっているが、断るのももったいない。行けば必ずなにか楽しみがある。
というわけですぐに「OKです」と返事をした。
前回訪問したのは4年前。
とにかく良い岩場だったのは覚えていた。
課題も岩も豊富なのに、他の課題を全然触れていなかった。
今度こそ、火消し岩の初段などを触りたいとか思ったりして、焼け石に水的な感じで、前の週からボルダージムに通ってみたり。本当に焼け石に水である。
日ノ御子ボルダーのトポは持っているのだけれど、公式のInstagramがたまに新課題の情報を投稿してくれている。
https://www.instagram.com/hinomikoboulder/
これを見逃すのももったいない。けれど岩場ではほとんど電波が入らないことは覚えていたので、Pythonでスクリプトを組んでInstagramの投稿内容をスクショしてPDFにまとめたりした。
本当は生成系AIにやらせたかったのだけれどいい感じのものが出てこなかった。仕方がないので自分で組んだけどそれも微妙に動かず、いくぶんか手動になってしまったが……まあいい。
この経験や知識、技術は他のところでも役立つだろう。
天気予報は寒波が来ているものの、晴れ予報。よしよし。
日差しが入りにくいところもあるし、谷川なので防寒はしっかりして行くことにした。
仲間からは「1時50分に迎えに行くよ」という連絡が来た。
……早すぎる。寝る時間ないな。
この週は特に生活リズムが破滅的で、睡眠不足が頻発。その影響か体調も微妙に崩してほんの少し風邪気味、内臓がやられたせいか舌炎が起きて食べるのも喋るのも辛い状態になっていた。炎症が左耳のリンパ節にまで波及したのか、しんどい。
岩のコンディションの前に自分のコンディションを気にしたほうが良い。
前日も10時くらいに布団に入ったのだがあまり寝れず。
大丈夫だったはずの天気予報は、出発の前にWindyで天気予報を確認したら、降雪の予報が出ていた。
Windy: Wind map & weather forecast
……まあ、ギリギリかかってないし、大丈夫だろう。
そんなこんな、不安要素山盛りのまま出発した。
2時からF1サウジアラビアGPの予選があったので、DAZNアプリを使ってスマホで見たり。
マックス・フェルスタッペンが速すぎる。角田はよくやった。
徳島自動車道あたりから、雨、雪が車に当たるように。
これは思った以上に悪いのではと言い合いながらアスファルトがびしょ濡れな南国インターで降りて、東へ。そして岩場に到着。
基本的に、雨が当たるところは完全にダメ。
谷の上の方が雪が積もっているのまで見えるし。
何度か四国に遠征に来ていたけれど、ここまで天気が悪かったのは初めてだ。
火消しエリア、石舞台エリア、しずく岩エリア、風の谷エリアあたりを回って、比較的雨雪の影響のなさそうなしずく岩から取り付くことにした。
……妙にあたまがぼんやりする。
体の動作、感触にすべて膜がかかっているような感覚。デバフ感。
うん、これは不調というやつだな。
やれやれ。内的にも外的にもコンディションがダメとは。
祟り神 1級
本当はアップ(自分には限界グレードに近い)琥珀 2級という課題を触る予定だったのだけれど見間違えて見つからず、この祟り神 1級という課題から触ってみることに。
左のスタートホールドはベッタリと濡れていたのでティッシュで拭き取ったり。
SDスタートで、浮くのが精一杯。意味不明。
朝一発目、その上不調な状態では触りたくない系統の課題だった。
敗退。
雫 二段
完登できる気配など微塵もないが、仲間が取り組んでいるし、他に行き場もないのでとりあえず触って見るかーと触り始めた。
スタートから結構強度が高い。トポに記載されている「右足のロックがポイント」というのは仲間に教わらなかったら見つけるのに苦労したと思う。
かなり右ヒールが先行する感じの課題で、面白い。
ただ強傾斜で右ヒールを効かせつつ、バランスを取りつつ耐えるという力も技術も今の自分にはなく、結局前半部を解決することすらできなかった。
まあわかってはいるさ。それぐらいなことは……。
もちろん敗退。
10時頃から雨がやみ、日が出て風も吹き始めて徐々に岩が乾いていくのがわかった。
石灰岩は染み出すけれど乾くのも速い。
表面がすべすべしているから、微細なギザギザ部分で保水されることがないことからかもしれない。
福の神 初段
祟り神より可能性を感じたけど、一手目の次がマッチなのか左側を保持るのわからないけれど強度が高い。
ここで消耗し切るわけにもいかんと諦めた。
敗退。
石舞台の岩へ
朝は上面がびっちょびちょだったのだが、乾いていた。
仲間の一人が舞 1級を目当てとしていたので、自分もとりあえず触ってみることに。
しかし再登に苦労するとあからさまに過去の自分との比較、成長の無さを実感させられそうで嫌だなあとか思った。
全体的に思考や感覚の鈍いデバフ状態は変わらず。
食欲もないけれど食わなければさらに落ちる一方だととりあえず無理やりカレーメシ。
この後コーヒーも飲んで、さらに時間をあけてしばらくして栄養剤も飲んでみたけれどカフェイン過多になったのか、内臓が踊る感じになってさらに不調が深刻化した。
いろいろダメ。
前座 4級
食後の運動的にとりあえずなんか触るかと、マット1枚だけ持って、石舞台の岩の山側にあるチョーク跡のついた岩を触ってみることに。
トラバース課題。基本ガバだけど出だしあたりがよく分からなかった。でもそこまで困ることもなく完登。
裏方 4級
落ちたらヤバイ場所はここら辺か?とマットを引いたら、SDスタートでミスった場合尻を岩に打ち付けることがわかったので諦めてスタートに敷いた。
スタート周りが一番悪い。少しミスった。
ダイナミックと書いてある意味がわかる、ちょっとだけ爽快感のある課題だった。完登。
舞 1級
この調子だと新しい課題を触る気すら起きなかった。
ひとまず舞 1級の再登を狙ってみることに。
細かいところは忘れているのでやり直しである。
昔は苦労したスタート足は、リードで石灰岩を踏み慣れたからだろうか。特に滑る感じがなかった。
ポケットの右手寄せが自分にとっては一番の核心。
上部はみんな「強度高いし遠いわ」と拒否する左手クロス出しで解決する……のだが、この動作の成功率が低い。
ちゃんとサイドで引ける感じに取ってしまえばそれでおしまいなのだけれど。
昔は上部の抜けとかも気が抜けなかった気がするけれど、リードのおかげか、足を探したり、なんでもないところを落ち着いて抜けることに負担を覚えることはない。
結局下部の寄せとクロス出しで苦労することに。
この後火消し岩に行くし……と思いながらダラダラ触っていたが、仲間はみんなしずく岩でヨレた影響なのか、それぞれが触っている課題でドハマリしていた。
気づいたら時間が結構経って、移動する余裕がなくなる顛末。
あーあ。前も時間配分に失敗していた覚えがある。
まあ仮に火消し岩に行けたとしてもまともに登ることはできなかったろう。
腹を決めて舞を触り続けていたらなんとか登れた。
やれやれ。
狂言 3級
石舞台の岩の右面にある課題。
ほんの少し時間があったので登った。
ムーブを完全に覚えていないので迷いながら何度かやって完登。
帰る、振り返り
帰りは淡路島のSAで玉ねぎまるごと鶏白湯ラーメン。
美味い……はずなのだが舌炎の影響で堪能できず。
その上内臓の不調で若干嘔吐感の予感を覚えて焦った。
22時くらいに帰宅。
風呂に入って、そのまま2時まで起きてF1サウジアラビアGPの本戦を見た。
マックス・フェルスタッペン強すぎ。このままだとF1の人気は落ちるかもしれない。
場外のレッドブルのお家騒動はさっさと収束して欲しい。そんな話題でチャンピオンチームが没落とか見たくないわ。
VCARBはレースペースダメだな。去年より車がいいというのは錯覚だったみたいだ。今年特に悪いアルピーヌに抜かれるようじゃポイントを取れるとは思えん。
翌日はずっとサボっていた庭木の剪定をした。
もうなんか疲れた……。
今回の遠征はいろいろ糞味噌な結果に終わった。
切り替えていくべ。
……どこに?
おしまい