前日はリード
朝
8時に出発という話だったので、6時半に目覚ましをセットしたが5時頃には起きたと思う。
後部座席とトランクを繋げて、マットを引いて寝ているのだけれど微妙な段差が苦しい。気にならない時と気になる時があり、今回は気になる方だったみたいだ。
これは何か挟んで改善したい。
二度寝、三度寝を挟んで朝食を食べて、マットを出したりしながら準備を完了。
8時よりも早めに出た。
今日は昨日と打って変わって快晴。
朝8時の時点で20℃くらい。日差しの下だと焼けるように暑い。日焼け止めはしっかりと塗った。
昨日晩飯を食べている最中「植樹祭エリアの二ノ谷セクターにあるあかね雲 3級からやりに行こう」という話をしていた。
アプローチは快適。道がよく整備されていて、迷うことなく15分~20分ほどで着いた気がする。
今日は完全なエンクラ気分だった。
いつもそうだけど、それ以上にエンクラ・オブ・エンクラという感じの気持ち。
自分のRPグレードは初段くらいだけど
- 昨日たくさん登って疲れた
- 久しぶりの外岩ボルダー
- 全然やってないクラシカルな花崗岩課題
- 暑い、コンディション悪い
というわけで4グレード差し引いて4~5級が登れれば御の字だろ、とか思ってた。
クリネズミ 4級
あかね雲 3級にはすでに取り付いてるパーティーがいたので、近くにある岩から触ってみることに。
リップトラバースな課題。ヒールを駆使して重心を上手く整えてかかりの悪いリップを止めて、そして最後は頂点を掴む……典型的な課題だな!
そしてこういうのはどハマリして、皮を無駄に使ってしまうということもわかっていた。
案の定悪い。
3人でいろいろ試していたらあかね雲 3級に取り付いていたパーティーが去った模様だったので固執せずに敗退した。
これを専門用語で戦略的撤退という。
まあ湿度高い(80%)しね、暑いしね、しょうがないよね。一日は長いからね、大切に使いたいよね、などなど言い訳はたくさんあるぞ!
あかね雲 3級
仲間曰く、「瑞牆ボルダーの3級のテストピース」だとか。
テストピースって要するに標準サンプルみたいな言葉だと思ってたけど改めて調べると建築用語だった。供試体。強度試験を行うための部材。だそうな。
つまり強度試験を行うための課題、ってことなのか。
まあつまるところ「これが登れたら3級登れまっせって言い張れる」ってことなんだろう。
スタート足が悪い。エッジで踏むより面で踏んだほうがいい。
一手目の左手のカチがなるく、滑りやすい。というか昨日の雨の影響なのか、朝方は湿度が高くて参った。速攻でチョークが剥がれる。
核心は高い左手のカチ取りだ。
これさえ取れれば終わるらしいのだけれど意外と高く、ビビって腰が引けたり右腕をロックして距離が出ない。
2時間弱くらい触って全員登れず「これ、無理じゃね?」って空気が漂い始めた。
左手のカチがヌメる。
仲間が乾いて粉末状になったペースト系チョークを使って登ったところ、完登。
それを借りて自分も登ったところ、完登できてしまった。
遠い左手のカチが取れれば、あとは落ち着いてこなせば難しいことはない。
ペースト系チョーク、すげえ。
今度ジムに行ったら買おう。
ジムでも売ってて周りで使ってる人が多いのはPETZLのパワーリキッドだけど、これ生産終了なんだな……残念。
どれ買おうかしらん。
黎明期 5級/黎明期SD 3級
東雲岩にある課題。
5級は真ん中のガバから始まるらしく、まあパッと見簡単だろと思ったのでSDから触り始めた。
この岩は課題の面自体はともかく、周りに木陰がなく日当たりが良くて参った。
持ってきた気温計は28℃を指して、湿度は一気に50%くらいまで落ちた。
よく乾いてる。でも暑すぎる。
どういうわけかSDのスタートではない一番下のガバにもチョークがついてる。
なんでだろう。
スタートのホールドがちょっと悪くそれだと体が浮かしにくいのでさらに下からスタートしている人とかがいるのかもしれない。
スタート自体はそれほど難しいというわけでもなかった。外岩ではよくある一手。
保持の仕方に少し悩んだけど自分はクロスで持って右手を出すことにした。
何度かやって取れて、あとは上のリップを取るだけだろ、と思ったらリップの様子が全然見えず、手を出しても止まらず落ちた。
意外と傾斜しているのだ、この岩は。
5級舐めたらいかんね。
5級パートのムーブを確認してから再挑戦。何度か一手目で失敗したけれど取れた後は問題なく登れた。完登。
暑すぎるので涼しいと思われる計算岩のところまで降りてみた。
木陰が多くて涼しい。でもジメジメしている。
近くに沼があるせいで虫が多い。そのせいかホールドは蜘蛛の巣だらけだった。
いろんな意味で不快指数が高い。
三ノ谷セクターに移動しようと話をして離れた。
桜坂 5級
ここは木陰が多そう、涼しそうということで一番近い一本桜岩に寄って昼飯を食べた。
全員の動きが鈍い。というか暑すぎるのだ。
日陰でも26℃。湿度は55%くらい。たぶん東雲岩のところで日に当たりすぎたのかもしれない。
ダラダラしていたら別のパーティーが来て登り始めたので、ノロノロとマットを広げた。
まずは桜坂 5級から。
スタートの左手用のカチが薄い。すぐとなりにあるカチはさらに薄く、スタートが難しい。
特にスタートホールドが指定されているわけでもなさそうなので、自分はちょっと離れた薄いカチを右手の親指でプッシュするようにしてスタートした。
一手目で狙うのはリップにあるポケットなのだけれど、全然見えない。
一回取りそこねた。二回目は木陰の形を目印に取った。
直上はホールドがなく難しい。左にそれてクロスでガバを取り完登。
一本桜 3級
この岩の名前の課題。
見た目からして面白そうで、実際面白かった。
シンプルな花崗岩のカンテの周りにカチが散りばめられているのだけど、これを攻略するのに様々な手順やムーブがあり、花崗岩の魅力がギュッと詰まった課題だった。
上部のマントルも気が抜けないらしい。
間違いなく名作。
あかね雲 3級よりも3級のテストピースなんじゃないの?とか思った。
そして敗退した。
いやー暑さで体が動かないし指皮ないし、カチは辛いしヌメるしね?
などと言い訳をかましたいが単純に実力不足だったと思う。
いずれまた来る機会があるのなら、もう一回挑戦したい。
この頃になると仲間全員の動きがとんでもなく鈍くなっていた。
トライ回数が明らかに少ない。
自分は体が熱く、若干頭がふわふわしていて集中力が乏しく、トライ回数を増やせなかった。
微妙な熱中症だったのかもしれない。
トライを重ねてもたぶん進展はなかったと思うが。
教訓。一度25℃以上の環境で直射日光を浴びていたら、しばらく行動不能になる。
……おかしいな。昔はこれくらいの暑さ余裕だったのに。
老いか。おいたわしや。
ガリガリ君 1級
最後、帰り道の途中にある四ノ谷セクターのガリガリ岩に寄って帰ろう。あそこは影があって涼しいから。
ということで、寄った。
この時期の岩場でいちばん大切な情報は日当たりの状態だな。
正直日が当たってたらなんもできんどころか熱中症リスクが高すぎる。
てっきり締めに5級とか3級とか触るのかなと思ったらこの岩の看板課題のガリガリ君 1級をやるのだという。
ええ……マジで?
この時間から1級とかできるのか?3級でヒイヒイ言ってたのに?
などと思いつつも便乗。
ムーブがよくわからない。
左面に出れない。
You Tubeで部分的にカンニングをした仲間が右トゥフックムーブを披露してそれは真似できたのだけれどその後が続かない。
気温が25℃以下になったことで体も動くようになってきた。ホールドは結構ポジティブで指皮もこれ以上は削れない。しかしわからない。
悩んでは触ってを繰り返しているうちに17時を回ったのでお開きとした。
敗退。
改めて眺めるとすごい素敵な岩場だ。
ここが早期に開拓されたのがよく分かる。
開拓は岩の魅力だけで進むものではないのだなあ。
帰る
最後に瑞牆山の写真を石碑と一緒に撮った。
後片付けをして仲間に挨拶をして下山。
まずは風呂だ風呂。前日は結局濡れタオルで体を拭いて、ドライシャンプーで髪を擦った程度なのだ。
一番近い入浴施設はどこだ?
何度目だ、たかねの湯。
それほど温泉とかスーパー銭湯とかに行かない自分にとって、ここが一番行った入浴施設になってるかもしれない。
勝手知ったる場所というのは気が楽だ。
長坂ICから高速に乗り、八ヶ岳PAでご飯を食べてお土産を買った。
汗をかいた体には良かったのかもしれない。
帰りはガソリンの残量との勝負だった。
最近の車は航続距離が表示されるのだけれど、それがナビ上の家までの距離にギリギリ足りない。
走らせていくと改善していったけれど、+3kmくらいから縮まらない。
ギリギリで家についてもその後動けなかったらしょうがないので途中のSAでガソリンを入れた。
189円/L。クソ高い。
車の燃費表示には20km/Lとあるので1Lも入れれば航続距離は20km増えるはずだ。
念のため2L入れてもらった。ガソリンスタンドの人は2Lという注文を聞いて不思議そうな顔をしていた。まあそうだよな。
エンジンをかけたら、航続距離が全然伸びていない。
……???なんで?俺の計算間違っていた?
そもそもこの航続距離はタンク重量とかで単純に計算しているのではなく、何か時間的な移動平均でもかけてやってるのか?
しかし家までもうガソリンスタンドがないのでエアコンを切ったりクルーズコントロールシステムの設定速度を下げたりして燃費改善に努めつつ、ヒヤヒヤしながら帰った。
危うく0時前にICを出そうになって、深夜割引のために手前のPAでちょっと休んだりした。
今思えば休日割引が効いてたので同じだったのかもしれない。
結局家についたら航続距離は20kmほど残っていた。
よくわからん……あんまり車の電子情報を信じちゃいかんね。
振り返り
瑞牆を知る、という上ではいろいろ登ることができてとてもいいクライミングトリップだったと思う。
怪我も故障もなかった。ささやかな成果もあった。
ただ瑞牆の真の魅力といえばクラック、ワイド、マルチピッチだろう。
いずれはそこらへんも体験しに行きたい。
一度知ってしまえば再来のハードルはぐっと下がる。
また来たい。
おしまい。