薄曇りながらも暖かく、ほどよく乾燥した日。
四国の日ノ御子ボルダーで外岩ボルダリングを楽しんできた。
日ノ御子ボルダーは前々から行ってみたいと願っていた岩場。
行きつけのクライミングジムで、その充実した内容のトポを衝動買いして以来、「今シーズン中には必ず来てやる!」と誓っていたのだ。
それがかなって嬉しい。
今回も前の仁淀川ボルダー訪問時同様に、日帰り弾丸ツアーである。車を出してくれたAさんには毎度のことながら頭が下がる。足を向けて寝られない。
朝の3時に出発して、8時に岩場に到着。
道の細さと駐車場所の狭さにおののきながら、トポと地形をにらめっこしつつ無事目当ての岩にたどり着けた。
石舞台の岩。
★付き課題が多数ある名物岩だ。
普段あまり触る機会のない、水流で複雑怪奇に削られた石灰岩。
岩場は変わった侵食痕を持つ岩で満ち溢れていた。
少し前にSNSで人が多い写真が投稿されていたので、もしかしたら混雑核心かな……と思ったけど、石舞台には他のパーティーは来なかった。
まずは「アップに人気課題、ようこそ石舞台へ」とトポに記載されていたお接待 6級から。
案外気が抜けない。始終気持ち悪いと言いながら一撃。
次に、石舞台の岩の右面にある狂言 3級。
これまた癖がある。仲間が一人登りきったのを参考に自分なりのスタンスを考え二撃。
よーしよし、幸先良いな。
そして、この遠征最大の目的。★★★課題の舞 1級に挑戦開始。
スタートのジャグホールドが右手の指を圧迫して痛い。普段慣れていない石灰岩のツルツル具合に足が滑る。
これから何とか逃れることはできぬか……?と試行錯誤を繰り返し、ムーブの迷宮に迷い込んでいった。
仲間は早々に指の圧迫に耐えながら左手を送り、キョン足を体幹で抑え込んで残すムーブを決めていたが自分には厳しめ。
迷いが焦りを呼び、焦りがさらなる迷いを呼ぶ悪循環。
……ヤバい。ここには気軽に来れない。宿題にしたくない。ヤバいヤバいヤバいよヤバい……。
日頃コツコツと自分の感覚、自分のムーブで登ってた経験は無駄ではなかったらしい。
右足をスタートのジャグホールドにぶち込んで、左足をトゥフックで挟むムーブで解決。
その後のポケット取りはさらにその足を逆にして解決。狭く腹筋にやや負荷があるものの自分に適したムーブが出来上がった。
仲間が苦労していた中間部は得意目な左手出しの倒れ込みムーブですぐに解決。
よし!繋ぐぞ!
うん!繋がんねえ!
焦る!ヨレる!
強制的にレストするためにお昼をとることに。
フリーズドライの牛玉丼、豚汁に家で炊いてきたご飯をいれて食べた。
精神的な問題かあまり美味しくない……。
しっかり休んで、再開。
なぜか一手目が決まらなくなって焦りが加速するものの、右足の置き場を見直して……完登!
舞を奉納できた。
すべて自分の考えたムーブで解決できたのが一際嬉しい。少しは成長してるのかな?
(家に帰ってからYouTubeで他の人の完登動画を眺めてみたら、自分だけ全然違う変態的ムーブを繰り出している。成長というよりガラパゴス的進化をしているのか……?行き着く先が袋小路なんてことは勘弁してほしい。)
続いて、これまた★★★課題のいざなぎ 初段に参戦。
ちょっと可能性が見えたけど、右かかとの打撲がまだ痛くて、しっかり右ヒールを掛けることに躊躇がある。やめておこう。敗退。
さて次はどうするか……。
どこに行こう?どこに行きたい?どこでもいいよの問答を繰り返したあと、ジムの知り合いから聞いていたオススメ課題のあるピラミッド岩を覗きに行くことにした。
想像以上にデケえ!
これは迂闊に手を出せないぞ……。
ついでに隣あるカピバラ岩も見てきた。
魅力的なルーフ。そそるぜ。
最後。日が沈む前の1時間。
これまた★付き課題の多い火消し岩に行くことにした。
うーん……蠱惑的な岩が多すぎて参ってしまうな。
ヨレていたけれどせっかくなので、地元のクライマーに混ぜてもらいつつ鬼火消し 初段に挑戦開始。
ムーブに迷い、周りからのアドバイスを聞いて手を進めた。
しかし途中のクロスムーブ後のスローパー取りあたりで時間、体力切れとなった。
もう暗くてホールドがよくわからぬ……。
最後の最後、見ていて楽しそうだった中間部のランジだけやってみた。
おもしろ~い。上部のカチは取れず。敗退。
次来たときはまずこれを登りたいな。
なにはともあれ、目当ての舞 1級が登れてよかった。
充足感とともに家路についた。
コーヒーを服にこぼして車内をコーヒー臭くしつつ、淡路SAでたまねぎラーメンを食べた。
うまい。
これが今年の登り納め、のつもりじゃない。
あと1回は行けるはず。
次はどこに行こうかな。