1日目
起床、岩場へ
7時半起きの予定だったけれど、5時には一度起きた気がする。睡眠薬を飲んでもそこまで長く眠れないのだ。
何度か寝直して、トイレに行ったり、でももう諦めて7時くらいに起きることにした。
キッチンでお湯を沸かしてドリップコーヒー、インスタントスープ。オーブントースターでパンを焼いてご機嫌な朝食を取った。
自分は岩場に行く際はなるべくお金を浮かすべく行く前日にスーパーで値引きの惣菜パンなどを買い求めるのだけれど、最近それを見直したほうが良いのではないかと思っている。
クライミングはメンタル要素が大きいので、気分がアガる飯というのは大切なのだ。
値段と値引きで選んだ妥協の飯でテンションがアガるわけがない。
やっぱり良いものを食わねば。
それはともかく大体8時半にすべての準備を終えて、宿を出た。
この日の行き先は2ルンゼエリア。
天気予報では快晴、最高気温は24℃まで上がるという。
日差しの当たる場所では登ってられないだろう、なら日差しの当たりにくいエリアへ、という目論見だった。
ウルトラ染み出し状態な2ルンゼエリア
用瀬小屋の駐車場に車を停めて2ルンゼへ。
写真を撮り忘れたが、前日見た権現谷エリア同様にひどい染み出し状態だった。
ほぼすべてのコルネから染み出しがあって、どこも登れそうにないくらい。
目当ては人気ルートの半分バナナ 5.11cとかだったのだけれど、全然ダメ。
一応ルンゼの奥まで入って眺めて、諦めてすぐルンゼを降りた。
これはじゃろう岩の写真だけれど、これよりひどい感じで染み出していた。
ちなみにじゃろう岩の上部にあるルートは染み出しが少なく、登れるらしい。
PUMPの公開している備中の岩場のトポには、各エリアにマークが書いてある。
https://pump-climbing.com/areaguidedata/japan03.html
岸壁から雨が落ちる、染み出しを意味するマークがあるエリアは、週半ばに雨が降ったら基本的に厳しいって考えたほうが良いのかもしれない……。
ニューエリアへ転進、アプローチがキツい
ここから近くにあるエリアというと、ニューエリアというのがある。前日杉田商店の杉田さんに聞いた話では前日ニューエリアで登っていた人もいたそうだ。
……という話を思い出して、そこに行ってみることにした。
よく日が当たるところらしいけれど、登れないよりはマシである。
ニューエリアのアプローチについては「TCNet 高梁川流域クライミング交流会」のサイトに写真リンク付き画像で丁寧に紹介されている……のだが、最近のブラウザと相性が悪いのか、画像内の写真のリンクがズレていて上手く見れない。
https://takahashigawa-climb.net/iwaba_manner/newarea_approach2021/
赤丸で囲んだのが駐車スペース。
岩場にいた人によると、秋頃になると獣除けの電柵が貼られて入れなくなることがあるらしい。その時は用瀬小屋の駐車場に止めて遊歩道を歩いてアプローチするのだとか。
自分達は用瀬小屋に車を停めたままで、遊歩道からアプローチをした。
用瀬小屋から山のアプローチ入口まで、10分くらいだろうか。
画像の矢印あたりから山に入る。アプローチは踏み跡がしっかりしていて、フィックスロープも張ってあるので迷うことはないはず。
そこそこな急登で疲れる。
登りだとここで15分くらい使うと思う。
途中でトラバースな山道と交わるのでそこを右に行き、涸れ沢にあるケルンが出てくるところまで歩く。
この区間は3~5分くらいだろうか。
ここから、急登な涸れ沢をひたすら遡って登っていく。
しっかり踏まれているために足元がぐらつくなんてことはないのだけれど、とにかく急で辛い。
公式サイトには、急登10分書いてあるけれどこれは相当健脚でないと厳しいだろう。
自分達は帰りにそこそこテンポ良く下っても10分かかった。登りだと20分はかかる気がする。
久しぶりのキツいアプローチだった。
合わせて50分は掛かったはず。(近くの駐車スペースからだと40分)
おそらく、地図上のこの岸壁がニューエリアなのだと思う。
標高50mからスタートして標高350mあたりまで、計300mも上がるので辛いのは当然だ……。
ニューエリアにたどり着くと案の定暑かった。日が良く当たる、冬場向けのエリアなのだ。
さらに暑くなるのを覚悟していたけれど、幸い薄曇りな時間が多くて助かった。
幸い染み出しはほとんどなし。
岩場には最新のトポが置いてあったり。
水の湧き出す場所があって、手洗いや手足を冷やしたりするのにちょうど良い。自分は飲み物を冷やしたりしていた。(水がそこまで冷たくなく、それほど冷えはしなかったけれど……)
休憩スペースも広く、よく整えられていて過ごしやすいエリアだった。
吟じました 5.9
アップに岸壁左側のフェイス 5.10aかフェイス 5.10bを登ろうと思ったら、もう少し取り付きやすいものがあったのでとりあえずそれから登ってみた。
2ピン目あたりにぐらつくガバがあり。
上部で少し迷った。完登。
二度目の春 5.11b
★★なルート。
仲間が「一緒に親の心子知らず 5.12a登りませんか?」と言ってくれたけれど、とりあえず5.11台のこれを登って余裕があれば登りますと答えた。
前日の体たらくからして、余裕などあるわけがないことはわかっていたのだけれど。
1本目
トポにテクニカルと書いてある通り、かなりいろんなホールド、ムーブ、スタンスが出てきて惑わされる。
石灰岩特有のツルツルがこれでもかと出てくるところがあり、全く気が抜けない。
下部のサイドガバを取りに行くところで一苦労。
そこから核心パートが始まる。
チョーク跡がついているホールドが細かく散らばっていて、それを馬鹿正直に正対で刻んで取っていったら非常に疲れた。
右手で悪い滑るホールドを握って左ヒールをしたり、狭い手の間隔の間でなんとかデッドで次の手を出したりと、緊張、力が入りっぱなし。
ようやくたどり着いたガバもそこまでガバという感じではなく辛い。
5.11bだし、この核心パート抜けたら終わりだろ……と思ったら最後まで気が抜けない。
終了点下が結構難しく、ヨレていたらここで落ちるだろう。
とりあえずなんとかトップアウトして、仲間にバトンタッチした。
2本目
仲間が中間の核心部でいくつかのホールドを飛ばす方法を見出していた。
チョークの付いているホールドを全部使う必要なんてないんだよなあ……最近チョーク跡に惑わされすぎている気がする。
悪い右手を取ったら先に右足上げ、そしてやや高めに左ヒールを掛けたら一気に上部の良い左サイドに手が届く。
リーチのある仲間だとサイド上部の一番良いところまで手が届くのだけれど、自分は少し距離が足りないので下部をピンチ気味に保持して誤魔化した。
最上部は余力がなければ持ちにくいブロック部分を左手再度持ちして誤魔化し、右側の剥がれそうな薄いフレークに指を突っ込むように保持る。そこがしっかりしていないと最後の左足上げが厳しい。
ロワーダウン時にしっかりムーブを確認して降りた。
3本目
15時半頃から壁に日が当たらなくなっていった。SFT(スーパーフリクションタイム)到来である。
栄養剤投入して20分ほど待機、カフェインが効き始めたタイミングでトライ開始。
構築したムーブをしっかりと使って、ある程度余裕を持って完登することができた。
苦労したけれど、とても充実する、とても面白いルートだった。オススメ。★★は納得。★★★でもいいくらい。
岩場にいた他のパーティーの人いわく、5.11台としては結構辛め、難しめらしい。
正直5.11cはあると思う。
(というか、TCNetのトポと100岩のトポ、PUMPのトポでグレード表記が違うの結構あるんだよなあ……)
結局、というか当然というか、仲間の挑戦していた親の心子知らず 5.12aを触る余裕はなかった。申し訳ない。
ないんと思います 5.10b
二度目の春 5.11bの右隣にある、ガバが多く、中間部にクラックのあるルート。
トポにはMRSA 5.12bの右と書いてあるけれど、正しくは二度目の春の右だと思う。
もう16時半を回っていてヨレきっていたけれど、最後クールダウンがてらに触るか悩んでいたら「なかなか来れないんだし触ったら?」という仲間の言葉に従い登ることにした。
2ピン目周りが一番迷う。それ以外は基本ガバ。
ヨレてるので途中ハンドジャムとか使ったりした。
17mくらいあるんだろうか?長くてアップに向いている気がする。完登。
下山、帰る
17時半から下山開始。車にたどり着いたのは18時過ぎ。
普段足腰鍛えるのを怠っていたせいか、アプローチが相当足にきた。フラフラ。
コンビニに寄ってコーヒーではなくココアを購入。
自分はカフェインに弱いのである程度一日の量をコントロールしないといけないのだ。もっとガバガバとコーヒーが飲みたいぜ。
高梁市はどういうわけかガソリンが安いので給油して帰った。
途中、龍野西SAで夕食。
疲れていてそれほど量が食べられなさそうなのでミニかつめしを頼んだら、カツが明らかに冷凍食品な代物でがっかり。
最近の冷凍食品の質が上がっている、ということなのだけれどね……。
特に渋滞などもなく、家に帰ったのは23時頃。
さっさと後片付けをしてF1日本GPの本戦をそのまま見た。
結局寝たのは3時過ぎ。こういうことをしているから、睡眠障害が治らないのである。
振り返り
5.11台はせめて2本で完登できるようになりたい。
あるいは、5.12台をささっとトップアウトできるくらいの力をつけたい。
そうでないと遠征に行っても十全に楽しむことができないんだよなあ……。
特に備中の岩場は5.12台から楽しい、名作ルートが多くある。
もうちょっと実力を上げていかないと美味しいところを味わえずじまいだ。
とりあえず、まずは全体的な心身の不調を治していかねば。
おしまい。