ムイ

もはやクライミング日記

2023/07/15 初めての瑞牆(リード)

 

まえがき

7/17(月)が祝日で、会社のカレンダー上でも休みだということに気づいたのは前の週の月曜くらいのことだった。

7月って祝日なんかあったっけ?

「海の日って何の日?」「海の日は海の日だよ」みたいな素っ頓狂な会話をリードジムで交わした。

 

月曜が休みということは、三連休じゃん。

予定は特にない。せっかくの連休がもったいないな……ということでジム仲間などに予定を聞き回った。

小川山に一緒に行ったことのあるリード仲間が所属している山岳会の人と瑞牆にリード(クラック)とボルダーをしに行くという。

ふむ。瑞牆。ボルダーはトポを買ったきりで行ったことがない。

リードの方のトポも買ってない。

 

瑞牆のリードといえばクラックメイン、しかもワイドばかりで素人が行くととんでもないことになる……みたいな印象があった。

そしてボルダーの方は花崗岩で厳し目とか。

でも話を聞いたら普通のボルトルートもあるし、ボルダーも高グレードを狙いに行くというわけでもないらしい。

 

よし。

お願いして便乗させてもらうことにした。

 

ジムで唯一残っていた瑞牆のルートのトポ(下巻)を急遽購入した。

役に立ったので買ってよかった。

 

道中一人、みずがき山自然公園へ

宿泊をどうするか、集合をどうするかなど考えた結果、一人で車を運転していき、車中泊することにした。

テントとか寝袋とか持ってないのだ。山や岩に行く癖に。

どうにもテント泊というものにあまり興味がない。面倒くさいし落ち着かない印象が強い。

寝るときや起きるときくらい安心できる個人的なスペースにいたい。

たぶん根本的にはインドア派なのだと思う。

それなのになんでここまで外で岩を登っていたりするのか……コレガワカラナイ。

 

木曜はジムで登っていて、その後家事をしたりで時間がなく準備ができず。

金曜の仕事帰りに一泊二日の朝昼晩朝昼の食事を買って帰り、準備開始。そして夕食を食べて風呂に入っていざ鎌倉。

どのみち準備に時間がかかり、集合時間に間に合わない感じだった。

一人で行くという選択肢は正しかった気がする。

 

道中のほとんどは高速で、クルーズコントロールシステムのおかげで一人で運転してようがかなり楽だ。

休みを取るタイミングも自由だし。

車内で大音量でアニソンを流したり、ゲームのエンディングでしか流れないような曲(ブレス・オブ・ファイア3、4、5)を流しても怪訝な顔されないし。

やくしまるえつこのヴィーナスとジーザス流してその後LOVEずっきゅん歌ったりしても誰も困らないからな!

 

これを書くついでに久しぶりに荒川アンダーザブリッジのアニメOP見た。

懐かしい。まさしくシャフトって感じ。

www.youtube.com

 

話を戻す。

結局バタバタして家を出たのは22時半ごろだった。

養老SAでトイレ休憩を入れて、そのまま次は諏訪湖SAへ。

昼の諏訪湖というのもの未だに見たことがない気がする。

いつも夜景ばかり。

 

須玉ICで降りる頃にはもう眠気が限界で最後の山道を「もういい加減ついてくれ!」とか祈りながら飛ばしていたのを覚えている。

 

道中は雨がぱらついていた。

まあ天気予報では深夜と朝方パラつくくらいですぐ止むということなので大丈夫だなって思ってたのに、近づくに連れてよく降っている。

アスファルトは完全に濡れていた。

え?これ大丈夫なの?

大丈夫だよな、いやこれ大丈夫じゃないわ。

 

みずがき山自然公園に着いたのは3時過ぎだった。

駐車場はガラガラ。

とりあえず上の方のトイレに行ったら蛾が多数飛び回っていてなかなか落ち着いて用を足せなかった。虫嫌いな人は無理なんじゃないのこれ。

そして3時半くらいに寝た。

 

天気悪し、どうするかな

8時頃に出発と聞いていたので6時半頃に起きて朝飯など食べたり準備を始めた。

夜は見えなかった瑞牆山がよく見える。

ほほう。岩塔の集合といった感じの山だな。

……それよりも雨だよ雨。ずっとパラパラと降り続けており、全面的に濡れている。

天気が悪いせいなのか、駐車場やキャンプ場はガラガラ。

 

とりあえず準備を終えて、仲間に挨拶にしに行ったら朝食の最中だった。

一人はボルダーに行くらしく、もう一人は自分に任せますとのことなので彼らの準備中にボルダーの様子を知るため散策に向かった。

一番近い言葉岩に行くつもりが川の筋を間違えて皇帝岩までたどり着いてしまった。

 

岩も地面も基本的に濡れている。簡単な課題なら登れないわけではないとは思うけれど……。

それよりもボルダーの場合、シューズを履く、トライする、シューズを脱ぐ、休むの繰り返しが多いので地面が濡れているとシューズが汚れたり、腰を下ろすと汚れたりして神経質な自分には辛い。

ということで戻って仲間に「今日はリードをしましょう」と声をかけた。

 

カサメリ沢の岩場へ

仲間の狙いはクラックだったのだけれど、コンディションが悪いのでフリーメインにします、ということらしく、雨天でも登れるところのありそうなモツランドのあるカサメリ沢に行くことにした。

トポ曰くそこは濡れないルートが多いらしい。

 

幸い不動沢駐車場は空いていた。

が、数台車があったのでやっぱりみんな雨に強いモツランドにいるのでは?混んでいるのでは?などの話をしながらアプローチ開始。

 

落ちた人がいるらしいという噂の渡渉ポイント。

木が濡れていて滑る……けど、まあ余裕だろ、いやそういう油断が良くないんだよなどごちゃごちゃ考えながらさっさと渡った。

Twitterか何かで見たけどこれにビビったり滑ったりしてるのに、もっと危険で怖い岩を登ってるのはチグハグ感があるのは事実だと思う。

 

モツランドのアプローチは近くてちょっと拍子抜けした。

メインウォールには人がいるらしい。

ダラダラ様子を伺っていても時間の無駄だ。登らなきゃ。

というわけでとりあえず空いていて登れそうなルートから取り付くことにした。

 

ミルクミルク 5.10b

トポには「カサメリ沢で最初に開拓された1本。☆☆」と書いてあった。

幸いほとんど濡れていない。

というか取り付くどのルートも基本的に濡れていなかった。

雨は時折パラつくけど深刻に濡れるほどでもない。

 

1本目のボルトが高くてビビる。

え、これ真正面から行くの無理じゃね?

どうやら右からトラバース気味に行くらしいのだけれど最初の左足が悪目で結構怖い。

斜めに走っているクラックも若干しけっていて滑りそうな、いや滑らないけど不安になる。

微妙にジャム気味に手を使いつつ、進んだ。

 

上部は程よいガバがあったり、微妙に向きが悪かったり、インカットが甘かったり。

最後の抜けはアンダーがありこれをどう使ったものか、左から攻めるのか右から攻めるのかかなり悩んだりした。

完登。

面白いルートだった。

 

改めてメインウォールを見に行ったら人だらけだった。10人以上いたような。

ちょっと触ってみたいなと思っていたモツクラック 5.8にはトップロープが掛かっている。

これは登りたいと思っていた人気ルートであるレーザーズエッジ 5.10dはトライ中で、待っている人もいるという。

うーん、これを待って時間を使うのはもったいない。

仲間の提案に従い、カサメリ沢の奥の方へ移動することにした。

 

トータルリコール 5.10b

姐御岩、コセロックなど案内をされながら進むと☆☆なトータルリコール 5.10bがドローが掛かったまま空いていた。

仲間は以前これを登って1テンだったらしく、ドローを借りて取り付いてみることにした。

 

2ピン目からやや左から直登するのか?と思ったけど負荷が高い。よくわからない。

ちょっと降りてレストして考え直していたら右から巻くのが一般的かも、らしい。

確かに良くチョークがついたガバが並んでいた。アドバイスに従い右から上がった。

上部の核心らしいトラバースポイントはあちこちにチョークが付きまくっていてそれに惑わされる。人によって使うホールドが違うんだろう。

足が良いので適当に保持して伸び上がったら問題なく届いた。

完登。

 

このルートはガバ棚が多く休めるところが多数。

それほど安心して休めないミルクミルク 5.10bのほうが難しく秀逸な気がする。

 

気づいたら周りが知り合いの関西クライマーだらけになっていた。

備中や小豆島の赤獄に誘ってくれたクライマーや、リードジムでよく顔を合わせる人や、岩場でちょくちょく会う人など。

この遠方の岩場でこんなに出会うとは思わなかった。

 

漁師の娘 5.11c

☆☆☆で、仲間曰くいつもは激混みなルートらしい。

それが誰も取り付いておらず空いていた。

 

前日から来ていたクライミング仲間によると昨日は濡れていて触れたものではなかったとか。

でも、見た感じよく乾いている。

この時は12時前くらいだったけれど、未だに時折雨がパラついていた。

 

うーん。5.11cというグレードは自分にとっては1日仕事か、それ以上だ。

特にトップアウトできるかどうか不安。できなきゃ残置になってしまうし。

ボルト間隔的に最悪スリングで鐙を作ってA0したら抜けられそう……それならまあなんとかなるかと挑戦開始。

 

1本目

どうせ各駅停車だろと思ったら意外と進む。

下部で足ジャムを使ったり。

カサメリ沢のボルトルートは細々とクラック技術が使える、使ったほうが楽、使わないと厳しいとあって面白い。

 

あれ?これ行けるか?とか思ったけど上部の核心で詰まって落ちた。

大股開きからの伸び上がりでカチを取るらしい。トポに書いてあったけれど確かにこれはリーチのない人には辛いだろう。

168cmの自分でちょうど、といった感じ。

 

しかし個人的にはその後のほうが難しかった。よくチョークの付いた右手で使うであろうホールドが悪すぎて体が上げられない。

結局いろいろ試した結果、「そのホールドは使わずに左手と左足だけで一気に体を上げる」という選択肢に至った。

たぶん間違ってる。でもそれが一番楽だったのだ。

あとで挑んだ仲間によるとホールド隣のシワでピンチ気味に保持すると良かったらしい。

ロワーダウン中にムーブをしっかり確認して降りた。

 

2本目

回数やってないので記憶が曖昧な下部で変にハマると困るな……と思ったけれど最初よりも上手くできた。

核心部も手順に詰まることなく決めて完登。

 

やったぜ。5.11cを2本目で登れたのは嬉しい。

このルートは短いし、下部も難しくない。

核心部のムーブとその構築が難しく、わかってしまえば楽な系統のルートだと思う。

 

……それにしても、15mを短いと感じるようになったのは不思議だ。

柏木の岩場とかに行きまくっているせいだろうか。

 

ぞうりむし 5.11a

5.11cが登れたのでホクホク。あとは何でもいいや。せっかく瑞牆に来たしクラックやワイドを触っておこうか……とか思っていたら☆☆なぞうりむし 5.11aがちょうど空いているという。

出だしがワイド気味。ガバが多いけどボルト間隔が遠い。

仲間にオススメされて登ってみることにした。

 

1本目

出だしのワイドは恐怖感があるけれど、いざ取り付くとかなり楽。

下に足場があるので入ってしまえば落ちることはない。

人によってやり方は様々みたいだけれど自分はレイバック気味に入って左足打ち込んで、その後で右半身に差し替えて登った。

楽しい。これくらいのワイドなら楽しい。

 

中間部でめちゃくちゃ休んで、後半に進む。

それにしても人気ルートのせいか、ドン引きするくらいチョークが乗っている。こんなにチョークの詰まったルートは初めてかも……と思うくらいに。

そして上部の核心でそのチョーク跡が急になくなる。

なんで?いままであったのになんでここからさっぱりないんだ?と悩んだ。

 

どうやらハンドジャムを決めるらしい……いや、もっといい方法があるのか?右から攻めることができる?

などなど少し探しては降りて休んでを5分以上続けていたような気がする。

途中「全然わからん!」とか叫んだりしてた。

 

レストする体力やスキルは着いてきたのだけれど、やはり無傷とはいかない。じわじわと体温が高くなっていく感じがした。

そうすると手汗が増えてヌメり、進んでも保持が効かなくなってムーブの良し悪しの判断ができなくなっていく。

結局テンションを掛けた。

 

下から左のルートの金のわらじ 5.12aを登ってくる人がいたので邪魔にならないように降りた。

 

2本目

かなり疲れたので、もう一度登るか悩んだ。

隣の金のわらじ 5.12aとも微妙に干渉しており、どちらとも人気ルートなので混み合う。

しかし取り付くチャンスもある。

まだ上部解決できてないし……ぐだぐだ悩んだ挙げ句結局もう一回やってみることにした。

上部の核心前までは問題なし。

 

左側の角みたいなガバの持ち方次第で楽さが変わる。ちょっとラップ気味に持つと良い。

それでクリップして、右足上げ、左足を傾斜にスメア、左手を高めに、つまむような形でハンドジャムを決めた。

これは正しくはフィンガージャムというのか?よくわからん。

あとは他の人のムーブを参考に右足をキョンして右手出しの距離を稼いだ。

完登。

 

良かった良かった。

宿題にならなくてホッとした。

 

この時15時過ぎくらい。

もうこの時間と残った体力からするとエリア移動が難しいので、コセロックにある面白そうな青龍 5.10b(漁師の娘 5.11cと白虎 5.10cの間にあるルート)に取り付いてみようかなと思ったけど混んでるので諦めた。

見ているとかなり難しそう。12台を登るクライマーがテンションをかけていたので、5.11bとかの記載ミスじゃないのか?と思うくらいで、実際登った人もそれくらいだと言ったりしていた。

 

レイザーズエッジ 5.10d

朝は激混みだったレイザーズエッジが空いていたら、登る。空いていなかったら志賀ランドの方に行くという話をしてモツランドに戻った。

16時位だったか。

ラッキーなことにレイザーズエッジは空いていた。

せっかく瑞牆に来たのにクラックを触らずにボルトルートばかりやっていて仲間に申し訳ないしもったいない気もしたが……まあOKと言ってもらえてるのでそれに甘えて登ることにした。

 

1本目

もうヨレているのでムーブが雑。

ゴリ押しで登る。

中間地点手前くらいで右腕の二の腕を刃こぼれなガバにはさみこんで休んだりしていた。

 

核心部っぽい中間上部地点でのムーブに悩む。

これもまたチョークがわんさかと乗っていて使うホールドがわかるのだけれど、どう使っているのかわからん。全体的に付きすぎてる。

左の壁面にあるがちゃがちゃとしたホールド群はどれも素直に持てず、そのわりにえらくチョークがついてる。

わからん。わからん。

結局詰まってテンションした。

 

悩みまくった末、「こんなテクニカルなムーブで合ってるのかよ?」みたいなムーブを構築してトップアウト、確認してから降りた。

 

2本目

わがままを言ってもう一回トライ。

ビレイしてくれた仲間には頭が下がる。

 

構築したテクニカルなムーブというのは、左の面の微妙な部分を摘むように保持、エッジに右トゥを引っ掛けて荷重を殺してマッチ、そして左手の上部をカチで持って足変え、左足を上げる。

そして左手をアンダーに返してそのまま立ち上がっていきエッジのガバを掴む……というムーブで解決した。

アンダーへの切り替えと立ち上がりがなかなか痺れる。テクく楽しいムーブだ。

 

後でYou Tubeで見たら左から回り込むのが主流派なのかな。アンダー切り替えなんてムーブやってる人はどこにもいない模様。

何はともあれ完登。

目当てのが登れて満足。

 

18時前に岩場を降りた。

まさか8回も登るとは思ってなかった。

でも初めての岩場はこれくらい触れたら満足。

 

買い出しに行く仲間と別れて車に戻り、後片付け、明日の準備など。

夕食はすべて買っておいたので車の中で一眠りするなどした。

 

しかし、もっと美味しい夕食が買えなかったのが辛い。

消費期限過ぎたサンドイッチや冷えたコロッケなどもさもさ食べてた。

やはり熱が欲しい。温かいものが食べたい。

せめてバーナーくらい買うか……。

あるいは加熱式容器の弁当とか買えればよかったんだけどそこらのスーパーでは売ってないしなあ。

 

21時頃に車に戻って、少し冷えるので着込んでゴロゴロしてた気づいたら意識がなくなっていた。

 

翌日、ボルダー編に続く。