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もはやクライミング日記

2023/08/27 クラックメインな夏合宿~2日目~@小川山

 

1日目

kuramiya2.hatenablog.com

 

まあまあな目覚め

目覚ましを6時にセットしていたけれど、4時半とか5時とかに起きては二度寝三度寝を繰り返していた。

普段の睡眠時間は5時間とかなので、長く眠れないのだ。

6時になったあたりで仲間の張ったタープのところに行き、朝ごはんを食べた。

パン、カップスープ、コーヒー。やはりお湯があるのはいい。

 

清々しい朝。

今日は1日中晴れの予報だった。

 

パーティーの大半はピクニクラ 5.10bなどがある兄岩あたりに行くという。

自分はパートナーと一緒に妹岩へ行く予定だったのだが……パートナーは昨日の夜にアルコールを飲みすぎて早々に寝てしまっていたので、起床時間などなど約束ができていなかった。

起こしに行ったところ幸い起きていて、事なきを得た。

もし起きてこなかったらそのまま兄岩へ向かうチームに混ぜてもらうところだったわ。

 

妹岩へ

妹岩へは何度か行ったことがある。渡渉が必要だということも覚えていた。

昨日はそれほど雨もふらなかったし渡渉は余裕だろと思ったら意外と水量が多い。

飛び石を恐る恐る渡った。

ちょっと不器用な人はおそらく滑って水に浸かると思う。

 

あとは踏み跡を頼りに急登を登ったら無事マラ岩の麓、妹岩にたどり着いた。

すでに複数人パーティーがいたり、自分の狙いであるカサブランカ 5.10bトップロープを張るために取り付いていたりで、なかなか混みそうな予感がした。

昨日みたいに空いていたのが珍しいのだ。

 

……と思ったけど、結局それ以上極端に人が増えることはなく、空いている時間が多かった。

よくわからないけどラッキー。

 

愛情物語 5.8

カサブランカは埋まっていたので、アップも兼ねてグレードの低い、しかし侮れないらしいクラック課題に挑ませてもらうことにした。

左に斜上するクラックの入ったスラブ。周囲にはガバが散りばめられており要所要所で休める。

カムはC075~C4まで各2本ずつ、ただしC4は1つのみ持ってスタートした。

 

登攀自体は問題がないのだけれど、意外と長くてカムの決め所に困った。

ヤバイ、このままだと足りなくなる。クラックが大きめなのでC4をもう一つ持っていけばよかった。

徐々にカムを入れる間隔が長くなって行って、でもまあなんとかなるかなと思いつつ先を見た。

クラックが終わったところに灌木があって、たぶんそこを左に抜けたら終了点があるのだろう。見えないけれど。

あの抜けあたりに使いたくても取っておいた虎の子のC3を打ち込んで、その後は灌木にスリングで取って……などと思いちょっと周囲を見渡したら右の下の方に終了点が見えた。


ん?あれが終了点……か?

ビレイヤーに声をかけたところ、どうやらその可能性が高いらしい。

同じような斜上クラックが続いているので、気づかなかった……。

 

なんで途中で右に行くんだろう。抜けきってからでも良さそうなのに。ロワーダウンに問題があるのかな?

これが愛情かしらん。

幸いクライムダウンができる程度のものなので、クライムダウンをして改めて元のラインに戻った。

 

終了点手前の乗り込みはほんの少し怖い。

完登。

 

ルート間違いで行き過ぎ、こういうミスもあるよな……。

勉強になった。

 

これを書いている今、改めてトポを見たらクラックの最後まで抜けていた。でも灌木みたいなものはない。

トポに記載されているけど使われていない終了点があったり。

100岩場の方を見ると、ラインは書いてあるが名前の付いてないルートとなっている。

???……よくわからない。

今度誰かに聞いてみよう。

 

ジャックと豆の木 5.10c

仲間の狙いのルート。


小川山レイバック 5.9カサブランカ 5.10bジャックと豆の木 5.10c、そしてクレイジージャム 5.10d。この4つのルートを小川山クラック四天王と呼ぶらしい。

そうなの?詳しく知らないけれど。

 

仲間は以前カサブランカを完登済み。昨日小川山レイバックとクレイジージャムを完登している。

今日ジャックと豆の木を完登すれば四天王コンプリートとなるリーチ状態。

 

自分はまだ一つしか完登しておらず、今日ようやくもう一つに挑戦する予定。

土のスカルミリョーネを倒し終わって、次が水のカイナッツォってことだな。愛情物語はさしずめベイガンってことか。

グレードからするとジャックと豆の木風のバルバリシアで、クレイジージャムが火のゴルベーザということになる。

なるほどなるほど。じゃあジャックと豆の木にはジャンプが必要だな。

……FF4ネタなのでついてこなくていい。

 

登攀の話に戻る。

仲間は出だしで右の壁に取り付いてしまって、そこで行き詰まってしまった。

カムもC5がゆるく決まっているくらいで非常に不安。

 

壁をよく見るとクラックの左側にチョーク跡のあるサイドガバなクラックがあった。

自分はチョーク跡を探すことに関して抜け目がないのだ。\

……これ、左から取り付いたほうがいいんじゃないのか?

こういうアドバイスはオンサイト時にはどうかとやや躊躇ったけれど、思わず声をかけた。

危ないので一度降りて左からアプローチしたほうが良いと。

仲間はクライムダウンをして今度は左から取り付いて、それで高度を上げていったけれど最初の試みが体力気力を奪ったのか途中でテンションとなった。残念。

そしてトップアウトした。

 

元々このジャックと豆の木 5.10cを登って、さらに上にあるパピヨン 5.10aを登る2ピッチのマルチピッチをやる予定だったのだけれど、やめておくという。

このとき1組待ちがいたけれど、それほど急がないということなのでお言葉に甘えてトップロープを張ってもらった。

 

そしてトップロープでトライ。

下部はオフウィドゥスじみているけれど意外と左のガバや左のスメア、クラック内のカチなど使えるものが多い。

ただこれをカムを決めながら……と考えると辛そうだけど。

 

下部がなにげに傾斜しており、疲れる。そして下部の抜け周りのクラックが細く、ハンドジャムが決まりにくいところがあったり。

そこで一度テンションを掛けた。

ここに関しては落ち着いて手順足順を組む必要があるのを感じた。

 

中間部でひと休憩可能。

あとはスラブに変わって比較的簡単めなクラックだがめちゃくちゃパンプしてもう一回テンション。

パンプはしばらく抜けなかった。

 

この遠征の直前にジムの店長から「ハンドジャムは親指の付け根の筋肉を使って決めるので、ピンチが強いと有利だよ」と聞いていたけれど、その意味がわかった気がする。

ピンチよわよわクライマーなのだ。

まあどれも弱いけれど。

 

残りはパンプをかばう感じで左右のホールドを使いクラックに真正面から付き合わないようにしながら抜けた。

もうちょっと体力ができたらやってみてもいいかな、という感じ。

下部の傾斜が辛いなー。

 

しかし自分の今日の目当てはこれではない。

やってパンプしたのをちょっと後悔した。

 

カサブランカ 5.10b

何度かトップロープで触ったことのある超人気ルート。

超人気ルートなのだけど、先に取り付いて登っていたパーティーはいなくなり、誰も登っていなかった。

過去の感じだと完登できる……気がする。

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ジャミングがバチバチに決まることは覚えている。あとは体力勝負と、それからカムを決める位置だ。

長いしC04~C3までを2本ずつ、ただし仲間のC04は調子が悪いとのことでC04は1つだけ。

別のパーティーが登っていたときはC075を4本とか言っているのが聞こえたけどそんなに持ってないよ。

どのルートも2セットで登れるようになるといいよ、というのはジムの店長の教えだったのでそれに準じる。

 

途中のデカい足場まで1本で行くつもりが、やはり怖いのでC05を2本使ってしまった。

これはミス。後々でデカ目のは使えなかったので、早めにデカいのを使うべきだった。

足場に乗り込んだあと、右の弧状のフレークにC075を決めてスリングで伸ばしたりしたけれど、思えばこれもいらなかったよな……。

C075は後になってめちゃくちゃ欲しい代物だったのだ。

 

その後は要所要所でレストを入れつつ、適度にカムを入れていった。

C1とC2を貴重に使おうと思ってC2を残しておいたのだけれど、これも失敗だった。

最後の方は浅くフレアしていて、あんまり入らなかったのだ。

 

長いのでヨレる、けれど普段のジムの練習がかなり生きていた。

ジムにあるジャミング練習壁ではいつもハンドジャムの入れ替え差し替えを練習しておいたのだ。

順手から逆手、ウォーキングからスライド。

左右交互どの体勢も切り替えるトレーニングをしておいたおかげで、疲れたら別の形になってレストをした。

 

最後はやはりカムが足りず、残るはC2とC3それぞれ1本ずつのみ。サイズ的にC3は使えない。

切られた木の根っこ近くに気休め的に無理やりC2をぶち込んで、あとは一番の核心と思われるクラックへの乗り移りをこなした。

これはジャミング技術だけでなくスラブの技術も必要になるような。

右足を落ち着いて踏めるか、それができるジャミングが決まってるか、それをこなす体力と精神力が残ってるか……。

 

上部は日が当たって暑い。体が熱を持っているのでヌメる。

滑らないようおっかなびっくりな気持ちで最後のセクションをこなした。

 

完登。

やったぜ。大満足。

登れてよかった。

そういえば木の根っこを踏むか踏まないかでグレードが変わるみたいなことを聞いたことがあって、昔トップロープで触ったときは木の根っこの扱いにめちゃくちゃ悩んだことがあったけれど。

今回はむしろ「ハンドジャムに邪魔だな」くらいしか思わなかったような。足で使うという考えもなかった。

不思議なもんだ。それだけ集中できていたってことなのかもしれない。

 

この後はしばらくダラッとして過ごした。

たぶんこの時点でいろいろ使い切っていた気がする。

 

JECCルート 5.10d

仲間は再度ジャックと豆の木に挑戦し、傾斜の抜けの部分で失敗。

気づけば13時頃になっていた。

 

何もしていないのは時間がもったいない。

以前挑んだものの結局1テンのまま完登できていない届け手の平 5.10dに挑んでみるかなと思ったら、下部が被っているルートを挑戦している人がいて取り付くのをやめた。

その代わりに、右隣にあるJECCルート 5.10dに触ってみることにした。

届け手の平は5.10cだったのが5.10dに格上げされている。それと同じなら、なんとかなるかもしれない。

そう思ったのだけれど……甘かった。

 

トポには1ピン目が高いのでC02のカムを決めるといいと書いてあったのだけれど、間違ってC2を持ってきてしまった。

隣を登っていた人に指摘されて気づいた。ありがとうございます。

情けない。

 

なんとかなりそうな気もしたけれど怖いのでクライムダウン、仲間にC02を持ってきてもらった。

 

改めてスタート、1ピン目まではOK。

さて、2ピン目へ……。

 

???なんじゃこりゃ。

右から攻めるのか左から攻めるのかわからない。

最初は左から攻めたのだけれど次に保持できるものがなく諦めて右からやり直した。

それで上がったのだけれど、そこから先がよくわからない。

2ピン目はどうやら上部の棚じみたところにあるポケットを取るまで掛けられないらしい。

遠すぎるし、怖すぎるんだけど。

 

出だしでこれなら、これはダメだ。

花崗岩のどスラブに全く対応できていない。

届け手の平は右手左手、右足左足どれか2つは必ず良いことがあったけど、このルートだと1つしか無いことが多い。キツイ。

時間を掛けて解析して慣らしていったらなんとかなるかもしれない。でもその場合1時間くらいかかるだろう。

もうそれをやる気力、体力、時間がない。

時間を掛け過ぎたら仲間の登攀に影響が出てくるかもしれない。

 

諦めてトップアウトして回収することだけを考えて、とにかく上を目指した。

テンションを何度ももらいながら、ハンガーを踏んだり、つまんだりしながら。

酷い有様だ。

とんでもなく醜いクライミングでトップアウトして、ドローを回収して降りた。

 

敗北。大敗退。

反省。

次やるならもっと真摯に挑みたい。

 

卒業試験 5.10b

仲間が無事ジャックと豆の木 5.10cを完登して、時刻は15時半。

結構疲れてるし指皮もないけれど、せっかくだしなにか登ってから終わろう、と思って姉岩にある卒業試験 5.10bをチョイスした。

☆☆☆なルートで、過去に講習の参加者が登っているのをチラッと見たくらいで、触ったことはなかった。

トポに掲載されている写真は随分と露出感が激しい。

まあこれは写真マジックだろうと思いアプローチしたら、写真の通り結構露出している良いロケーションの岩だった。

景色がいい。日がよく当たるので暑そうだった。

 

1本目

高く長いけど要所要所にガバがあるのはわかるのでたぶん大丈夫だろうと思って取り付いたら……思ったよりも難しい。

そりゃそうだよな。マラ岩のレギュラー 5.10cですらあの難しさなのだから、それより1つ下のグレードが難しくないわけがないのだ。

 

2ピン目のトラバースからさっそくヒヤヒヤした。

この水平クラック、指が太い人だと入らないんじゃないの?

そして右のボコッとしたブロックまでが遠い。足も悪いし。

 

なんとかそこはこなしてブロックの上に立ってクリップ。

その後が……よくわからない。

足が悪い、バランスが悪い、そして思った以上に手が悪い。

えぇ……。こんな迷わせるルートなのかよ……。


なまじ立って考えられる分、めちゃくちゃ悩んだ。

そして手順足順を構築してやってみたのだけれど……一つ手順ミスをして失敗。行き詰まってテンションを掛けた。

 

その後はもうヨレヨレでテンテンで進んだ。

4ピン目のクリップがちょっと怖い。

4ピン目上のガバトラバースは足がないので両足スメアで踏む必要があるし、6ピン目のトラバースは足が悪い。

 

左右に3回もトラバースをさせられる、よくできたルートだった。


全体的に、悪目なフットホールドをしっかりと踏む必要がある。

悪い足でもしっかり踏んでいくようにというメッセージを感じる。確かにクライミングスクールの卒業試験として開拓されたという内容にぴったりだ。

そして自分にはそのスキルがない……。

卒業失敗。

 

2本目

悔しかったのでドローを残して降りた。

仲間は自分の様子を見て、やめておくという。

 

降りてから後悔した。もうやめておいても良かったんじゃないかと。

気づいたら時刻は16時半くらいになっていて、他の仲間からはもう撤収して帰宅途中という連絡が来ていた。

 

あー、なんで残して降りた俺。

もう完登できる可能性低いのに。

 

しかしせっかく時間があるのに登らないのはもったいない。

たとえ完登できなくとも触って、時間を使い切るのが自分スタイルなのだ。

 

休んでも回復しないのはわかっていたし、回復が問題ではないこともわかっていたので15分ほど休んで体の熱が抜けたあたりで再挑戦。

1本目で確認したムーブをすべて再現して登りきった。

……わかってしまえば、難しいというわけではない……ような。

 

しかしオンサイトはいろいろ余力がないと難しいルートだなこれは。

特に繊細なフットホールドを捉えることに躊躇う。

なにはともあれ、登れてよかった。

 

下山、帰宅

18時に撤収、ナナーズの隣りにあるカラファテにちょっと寄ったりしながら車を走らせた。

今回はお風呂はもう面倒なのでなし。

 

夕食は仲間のすすめで中央道原PAで食べた。

これ、前も食べたよな?とか思いながらとろろかけ唐揚げ丼を注文した。

美味い。疲れた体に染みる。

 

あとはクルーズコントロールシステムをフル活用しながら帰宅した。

 

振り返り

こんなにクラックを登ると思っていなかった。

それと同時に、こんなに人気の高い有名なクラックを登れるとも思ってなかった。

 

成長云々、実力云々よりもラッキーだったな!という感じが強い。

まあ運も実力のうちよ。そう思うことにする。

 

クラックリードに足を踏み入れたので、クライミングの選択肢というか世界がさらに広がった。

もう十分広かったのに、広がり過ぎである。

ライミング、内容が無限過ぎる。

 

しばらくしたら同じようなメンバーで瑞牆編があるという。

今度はワイドやオフウィドゥスがメインか?

うーむ。ワイドに関する忌避感も最近は減ってきた。

参加してもいいかもしれない。

 

今年の残暑は厳しいらしく、近畿周辺の岩場はなかなかシーズインしなさそうだし。

右手の指の疲労を抜くのにも、ちょうどいいかも。

高強度なボルトルートから逃げてる?

まあ、そういう側面もなきにしもあらずかな……。

 

最近漫然と登ってる感があるので真面目にやるならもっと指トレとか体幹トレとかジムのパフォーマンスレッスンを受講するとか、基礎から固めたほうがいいのだろうけど……面倒くさいんだよね。

楽しいことだけやっていたい。(ダメ人間)

 

とはいえ遠征ばかりやってると充実感がデカすぎてその後の数日間虚脱状態が続くのでほどほどにしたい。

シーズンインまでに鍛えるというのはうまくいかなさそうなので、せめて怪我をしないことを目標にするかな。

低いハードル。

 

おしまい