ムイ

もはやクライミング日記

2023/09/09 広い世界、雨ばかり(瑞牆夏合宿1日目)

 

まえがき

先々週に行った小川山メンバーに近い構成で、今度は瑞牆山でのクラック・ワイド・マルチピッチ合宿が計画されていた。

ようやくクラッククライミングに足先を突っ込んだくらいで、ワイドクラックはほぼ未経験。

マルチピッチも長らくやってない。

歳を取れば取るほど出足は鈍る。経験していないことに積極的に手を出さねば、世界は広げていかねばな。

ということで参加することにした。

 

元々の予定は金曜~日曜だったのだけれど、金曜は台風が日本列島に最接近しており、瑞牆山周辺は大雨。

土曜日曜も午後の天気が悪そう……ということで土曜~日曜または土曜~月曜の予定に変わった。

自分は平日に休みが取れないので土曜~日曜で参加することに。

 

金曜に仕事が終わったら地元にスーパーに行って、食料品の買い出し……をするのだけれど、仕事が終わった後はたいてい頭がまわっていないので何を食べたいのか、何を買えばいいのかわからなくなる。

ついつい半額の食料品に手が出そうになったり。

違うだろぉ?それは日常の買い物だろ。

これから非日常に突入するんだぞ。もっと心躍る良い物買えよ。

 

だが、うろうろした挙げ句結局割引のおにぎりとかパンとか買った。

あと先々週の小川山合宿ではいろいろいただいたので酒を買っていくことにした。

 

どうにもこだわりというものが足りない気がしている。

クライマーというのはこだわりの塊であり、それがある種のクライミングに対する推進力のはずだが、自分にはそれがあんまりない。

たぶんクライミングに向いてない。

 

などと鬱々と考えながら準備を済ませて、9時半頃に出発。

今回は相乗りの面子が居なかったので一人、瑞牆に車を走らせた。

 

カーステから流れてきたのはやくしまるえつこの「少年よ我に帰れ」。

www.youtube.com

 

我に返る?もう少年という歳ではないので我に返ることもない。ないのだ。

輪るピングドラムは飛ばし飛ばしでしか見てないのでいずれしっかり見たい。

 

いつも通り一気に諏訪湖まで行って、その後須玉ICで降りてコンビニに寄って、それからみずがき山自然公園へ。

……なんか霧だらけでびしょびしょ……だけど見ていないふりをした。

前に瑞牆に行った時もこんな感じだったし、それでも楽しく登れたしな。

 

着いたのは2時過ぎだったか。

そのままさっさと車中泊開始。

 

そういえばみずがきではテントサイトや施設の利用が有料なので、車中泊をすると微妙にあちこちで支払いが発生する。

今回は仲間のタープを使わせてもらったので、タープ代や水道代を支払ったりした。


朝から雨、ずっと雨、不動沢の屏風岩へ

6時に起きてタープの仲間と合流、朝飯。

天気予報は良くない。さっそく小雨が降り始めていた。

しばらくすると止むらしいけれど、また10時ごろから降り始めるとか。

だが雨雲レーダーの予報がコロコロ変わって全く当てにならない。

 

ダラダラしていても状況が改善しなさそうなので、予定していた通り入門なワイドやクラックがある不動沢の屏風岩あたりへ向かうことになった。

駐車スペースまでは車で。

ホンダのフィットに乗ってきた仲間がいたけれど、底を擦らなかったらしい。マジか。

 

屏風岩着。思ったより近い。

これが☆☆☆なフェイスルート、百獣の王 5.11cか。

タイミングがあったらやってみたいな、と思っていたがそんな余裕も、そして何よりそんなコンディションでもなかった。

後から来たパーティーが触っていたけれどすべてのホールドが濡れていて、とても登れなものではなかったっぽい。

 

雨の当たらない岩小屋で荷ほどきして、一通りあたりを確認して。

もうどこもかしこも濡れていてどうにもならない状態の中、簡単なものから取り付き始めた。

屏風岩には絶えず水気を含んだ靄、というか雲がやってきて、岩をどんどん濡らしていった。

個人的には過去一番悪い環境だったと思う。


おしん 5.8

トップロープで触らせてもらった。

 

出だしが一番難しい。

というかクラックとかワイド課題ってだいたいそれな気がする。

微妙にクラックが浅くて広くて、ハンドジャムが決めにくい。結局自分は最初はレイバックのような形でスタートした。

 

中間部はちょっとだけフィストだったり。

上部のチムニーの中にはハンドジャムの決まるクラックやガバがあり、ワイド的な要素はあんまりない。

まんべんなく濡れており、濡れていないところがない。

なので泥だらけになった。

 

トポには終了点は後述する不動沢愛好会ルートと同じと描いてあるけれどチムニーの終わりの左側に別途終了点がある。

 

出だしの登りがイマイチ納得がいかなかったのでもう一回登ったけど、二回目のほうが下手くそだった気がする。

雨がひどくなり、濡れが激しくなったせいかもしれない。


不動沢愛好会ルート 5.10a

これもトップロープで触らせてもらった。

右側のびっちゃびちゃなワイドからスタートするのかと思いきや左のフレークから取り付いて、上部で右に入る感じのルート。

上手い人ならワイドで登ることもできたりするんだろう。

下部は快適だけど、上部の棚あたりからが微妙にクラックが閉じていたり、開いていたりでハンドジャムを決めるポイントを試行錯誤する必要があって面白かった。

もちろんこれもすべて濡れている。

乾いていればバチバチに決まるのだろうけれど、濡れているせいで効きが悪くイマイチ信用ならなくてテンションを何回か掛けた。

かなり楽しかったし、どうせこの天気ならどこに行っても同じだろうし、ここに滞在するだろうと思ってもう一回登らせてもらった。

結局この時も上部でパンプしたり、周りを使う余裕がなかったりで2テンション。

乾いてたらリードでやってみたかったなあ。

 

昼飯休憩を挟んで、屏風岩の隣のエンペラーの東面へ。


エンペラークラック 5.9

こいつはマジのワイドなルート。

右に弧を描くクラックから岩頭の上部へ……と思いきや、そのクラックは上部で奥にトンネル状に続いており、よろめきクラックの終了点と同じ場所に出る。

胎内くぐりと呼ばれているらしい。

途中にトンネルがあるってのは体験したことのない異色のルートだけど、ワイドではそれほど珍しくないのかもしれない。

この形状だとロープ流れなどが悪く、ロワーダウンをしたりトップロープを張ったりするのが難しいので、リードで登った人が上からビレイして、それをフォローする形で登ることになった。

自分はもちろんフォロー。こんなのリードやれるわけがない。

 

岩頭と岩頭と岩の間にあり、水気を含んだ風、というか雲が通り抜けて行くので冷える。

左入れで登るらしいので左足を奥に入れて立ったはいいものの、動けない。クラックのサイズが中途半端で、腕が決まりにくく、そして右足を入れる場所がない。その上左足が効きすぎていて動けない。

何度かモゾモゾやってみたがどうにもならず、ゴリ押しなフェイス登りな感じで上がっていった。

 

後半のトンネル手前の立ち込み部分は濡れたせいでツルツルとなっているホールドで難しいし怖い。

トンネルの中にはフットホールドが微妙なところがあり、足を滑らせると落ちて挟まるかもしれない。フォローで回収したギアが邪魔で挟まる。ヘルメットがぶつかるので首をそこまで自由に動かせず、何がどうなっているのかわからない。苦しい。

トップロープ状態なのにひいひい言いながら終了点までたどり着いた。

 

最後は懸垂下降で降りたのだけれど、その際久しぶりにバックアップ付きの懸垂をやろうとしたら思いっきりやり方を間違えていた。

これは致命的。真の意味で致命的。最悪。

普段使わないと忘れるな……復習超大切。


よろめきクラック 5.10b

ワイドクラック入門として名高い☆☆☆☆なルート。

これもトップロープで触らせてもらう。

あれこれトップロープを張ってくれた仲間には感謝してもしきれない。

というかこのコンディションでリードできるの凄いわ……。

 

まず出だしから難しいだろと思ったら意外と足場やガバがあって入ることはできるのだけれど、その後が続かない。

いろいろ教わりながらやる。

右足の膝、足裏で固めるのはわかった。でも左腕のアームバー、アームロックが決まっている感じがない。チキンウィングじみた感じでようやく固まった感じがしたのだけれど、動けない。

フリーになっている右手で体を押し上げたいのだけれど触れるところ全てがびっちゃびちゃで押し上げることができない。

何度かやってみたけれど大した進捗がなく、諦めた。

 

でもやるべきことはわかった。

コンディションの良い時にまたやってみたいなあ。


キャンプ場に戻る

17時頃。あちこち濡れて汚れた姿でキャンプ場に戻ったら、意外と乾いてた。

瑞牆山には雲が掛かってるけど、キャンプ場にはそれほど雨が降らなかったらしい。

たぶん不動沢は特に湿気や雨雲の入りやすいところなのだろう。

場所を選べばまだマシなコンディションのところがあったのかもしれない。

 

特に着替えることなく、夕食に突入。

そのまま酒を飲んだり、焚き火を囲んだり。

 

風呂には行かず車に戻って体を拭いて、着替えて。

天候の回復を祈りながら23時頃に寝た。

 

2日目に続く。