ムイ

もはやクライミング日記

2023/08/13 暑いし辛い@御在所岳 砦岩

 

まえがき

お盆といえばお盆休み。

自分の勤務先にはお盆休みというものがなく、好きに有給取ったら?という仕組み。

特に予定もなかったので休みも入れていなかった。

お盆休みのあるクライミング仲間は多く、その人達に合わせて土日だけでも遠出するかな、具体的には瑞牆とか……という予定を大雑把に入れていたのだけれど、お盆は混むだろうし、台風が迫ってきていたりしていろいろ面倒なのでやめた。

 

さて、この暑い中どこに行くか?

また早朝の朝練か、あるいは……と考えて思いついたのが御在所岳にある砦岩だった。

行ったことはないが、夏場に登ったことがあるという話を仲間から聞いていたのだ。

ただアプローチが長めでしんどいというのもセットで聞いていた。

でもいつかまた行こうぜ、という話も。

 

ここ最近の沢登りからの下山で足腰の衰えを感じていたので、アプローチが長いのは鍛えるのにちょうどいいかもしれない。

そう思って仲間内で行ける人を探したところ、幸い一緒に行ってくれる人がいた。感謝。

ただ友人との飲み会と被ってしまい、昼過ぎくらいまでしか登れない。

うーん。でも行くっきゃねえな。

夜の予定は遅れて参加するという返事を入れた。

 

こういう時は率直に応対、行動するに限る。というかそれ以外に方法がない。

 

滝汗アプローチ

6時に集合して、7時半過ぎに鈴鹿スカイラインと裏道が交わる駐車スペースに到着

御在所岳は人気な山なので、この時間だともう駐車スペースが埋まってるかも……?と不安に思ったけど幸い数台の空きがあった。

これがお盆のおかげなのか、通常の混み具合なのかはわからない。

 

御在所岳に来たのは久しぶり……と思ったけどそういえば昨年の冬にアイスクライミング初体験のために来ていた。

kuramiya2.hatenablog.com

 

その時はロープウェイを使ったので、登山道を歩くのは久しぶりか。

たぶん2年前のマルチピッチ講習が最後か?

kuramiya2.hatenablog.com

 

この時も下山が辛く、足腰の弱さを実感したのを覚えている。

いつでも弱い。強かったことなどないのだ……。

 

藤内小屋までが遠いんだよなーと思いながら歩いていたら顔から汗が溢れ出てきて顔が痒い。

こんなにドバドバ汗をかくのは久しぶりだった。

これでいいのだ。これくらい汗が出ないと、熱中症になる。

汗腺が活発に動かなきゃ暑さに強くなれないぜ。

 

この日の最高気温は36℃。猛暑日

御在所岳の周辺は基本的に晴れており、午後から曇り、夕方から雨といった予報だった。

飲み会もあるし、余裕をみて15時くらいに下山開始するかなと考えていた。

 

四の渡しの近くでは新しい橋を作っていた。

こうやって近くで作るのか……知らなかった。

ご苦労さまです。

 

たぶんもっと長いだろ、辛いだろ。とか考えながら歩いていたら藤内小屋についていた。

あれ?もっと遠くなかったっけ?時間にして30分くらいか?もっと、1時間弱くらいかかる印象だったのだけれど。

 

一度荷物を下ろして休憩……といっても、それほど疲れているわけでもない。

仲間が休んでいる間にアプローチルートを確認しようと登山道を進んだ。

砦岩はあれらしい。藤内小屋正面から左を向くと見える。

 

ここからは急登で20分くらいという情報だけは知っていたので、その急登に入る入口を探した。

……見つからない。

電波が微妙な状態で他の人の記録を探って、どうやら勘違いをしていたらしいと気づいて藤内小屋に戻った。

 

アプローチの入り口は小屋の手前を、小川を渡って入る。

この渡されたワイヤーの先あたり。

登山者が間違えて入らないように、隠されているというか、目立たないようにしてあるっぽい。

こういう配慮は大切だよなあ。

 

 

急登に入ってからはテープもしっかり貼っており、フィックロープも要所要所にあるので迷うことはないと思う。



ただ油断すると大怪我をする斜度なので注意。

これは斜度は関係なく、山では当たり前のことか。

自分はヘルメットを付けて歩いた。

 

20分ほどかけて岩場の1階に到着。

砦岩は1階と2階、それから地下1階という別れた構造になっているらしく、メインというかメジャーな岸壁は2階の方っぽい。

荷物を歩いてそこらへんを確認した後、景色の良い2階の方で荷物を広げた。

 

温湿度計をセット。

気温はずっと27℃前後だったと思う。日陰なのでまあ許容範囲。

しかし湿度が高い。ずっと70%前後を維持していた。

 

ジオグラフィカでログを取っていたのであとで調べたら駐車スペースが高度400mで、岩場は高度820mくらいだった。

気温の逓減率で考えたら平地よりも5℃弱低いのか。

 

この日は風があまりなく、蒸し暑かった。

もっと風が吹いてくれたら快適だったろうになあ。

 

景色はまあまあいい。

眼下に藤内小屋が見える。

 

レッゴークライミング 5.9

とりあえずアップ、簡単な課題からということで5.9のレッゴークライミングというルートに取り付いた。

 

1本目

1ピン目が妙に左にあるのが不可解。

なんでもうちょっと右にないんだろう……。

ビレイは左側よりも右側のほうが足場が良いのでしやすいと思う。

長めのクイックドローで対処した。

 

2ピン目の立ち上がりからさっそく難しい、というか怖い。

立った後にすぐつかめるガバホールドみたいなのがないのだ。

 

3ピン目をかけて……ん?これどっちから攻めるんだ?右?左?

左は顕著なフットホールドがないし、右は保持するホールドが乏しいぞ?

……と迷った挙げ句テンションした。

 

おいおい、5.9だぜ。

この岩場でいちばん簡単なグレードだ。

これが登れなきゃここじゃ何もできないぞ。

 

軽くショックを受けつつ、しっかり左側のスラブを踏んで突破した。

うーん、花崗岩のスラブ面をしっかり踏むクライミングが大切らしい。

メンタルが問われる上、下手くそすぎて辛い。

 

上部もそれほど気が抜けない。

なぜか顕著なガバの隣にボルトがなく、少し上がった状態でないとクリップできなかったり。

 

2本目

核心は2ピン目と3ピン目周辺。

確認したムーブを再現して完登した。

 

……この岩場のグレード、辛いな。

自分が花崗岩スラブがド下手なのを含めても、難し目な気がする。

あるいは正しくクラシカルな花崗岩グレードというのか。そう考えると適切なのかもしれない。

つまり、うっかり取り付くとえらい目に合うということだ。

くわばらくわばら。

 

上昇気流に乗って 5.10b/c?

少しだけ休憩を挟んで、次。

岸壁の真ん中にある見栄えのするルート。ボルト数も7本と比較的多めなので登りごたえがありそう。

 

1本目

下部のフェースはちょっと難しく見えるようでそうでもない。

身長の低い人にとっては、出だしが少し辛いくらいか?

 

しっかりとガバがあるので大丈夫なのだけれど、2ピン目の下にあるフレークガバを掴んだところ軋んだ音を立てて揺れた。

怖い。これは近いうちに崩壊すると思う。勢い良く取って壁から剥がす方向に引いたらすぐにでも壊れそう。

その次に保持するだろう右側のフレークも同様。

ヤバイヤバイ。足がすくみそうになりながら進んだ。

 

中間部はガバが多くて楽。上部にある座って休めるほどのガバ棚に乗り込むのに少し苦労するくらいか?

核心はそこから始まるスラブ。

トポには左が5.10c、右が5.10bと書いてあって謎だったが、おそらくこれは左側のカンテだけで対処するか、それとも右側のクラックから攻めるか?という違いなのだと思う。

とりあえず左側のカンテだけで攻略しようとするも、足が悪すぎてうまく進めない。

悪いところを左足で踏まないといけないのはわかるのだけれどバランスが悪すぎて踏めない。その後が続かない。

その上ボルトが遠く、フォールをするとおそらく足元にあるガバ棚に落ちる。

せめて6ピン目を掛けておかないとマズイのだけれど、それが届かない。

安全を取って左から回り込んで6ピン目にクイックドローとロープを掛けた。

 

改めて攻略法を考えたけれど左のカンテだけではかなり一か八かみたいなムーブになってしまう。

いろいろ試した結果、左のカンテから取り付いて右にトラバースし、右にちょっとあるサイドガバからクラックを使ってから上がる方法を採用することにした。

このトラーバースが結構曲者。ハラハラする。

最初から右のクラックだけで攻めたらいいのかもしれないけれど、そっちの場合後半までクリップができなくて辛い。

難しいよう。おぅおぅ。

 

2本目

昼飯を食べてからトライ。構築したムーブを再現して完登。

これで5.10bなのか。

これが本来の花崗岩グレードか。

地元で整備に関わっている花崗岩の岩場のグレード感からすると納得だが……。

何はともあれ甘くはないってことだな。


三毛猫 5.10a

15時ごろに下山しようと考えていて、その時間が近づいていた。

なのでグレードを上げず、短めなルートをチョイスした。

 

顕著なガバが続いた感じに見えるルート。

見た感じ抜けが難しそうかな?でもガバが多そうだしなんとかなるかな?などと思いながら取り付いた。

 

取り付く前にガバをしっかりと見た。

中に虫とか、特にムカデとかがいると嫌なので。

幸い虫はおらず、ガバをグイグイと掴んで登った。

わずかに傾斜しているけどフットホールドもしっかりとしており勢いよく進める。

上部は簡単。

 

完登。

これは他の岩場の5.10aと変わりがない感じ。

傾斜になった途端グレードが比較的甘めになるのは、やはりクラシックなグレーディング感覚なのだろうな。


ジャンプ 5.10c/d

ちょっとだけ時間が余ったので取り付いてみることにした。

ルートの名前が不穏。ジャンプってスラブでジャンプをさせるのか?

スラブでジャンプと言うと、備中の岩場の長屋坂にあったTTハイスクール 5.10dを思い出す。

あのTTが「飛んで飛んで」という意味だとわかっていたら取り付かなかったのに……というやつだ。

kuramiya2.hatenablog.com

 

念のため調べたらどうやら元々はトップアウトするルートらしく、その時のマントリングにジャンプが必要になるためらしい。

……エグいなおい。

今ではその下部に終了点が入っている。

 

下部はアプローチみたいな扱い……とはいえ、ところどころ持ち感の悪いホールドがあるので気が抜けない。尖ったホルードとか欠けそうだし。

1ピン目も高いし。2ピン目はロワーダウン中にハンガーが回転していた。

古い岩場あるある。

 

上部のスラブは右のカンテとその周辺をうまく保持して踏んでいくのが大切なんだろう。

時間がなかったのでスリングで足場を作ってA0で抜けたりした。

核心のムーブは2箇所くらいか?

もう一回落ち着いて取り組めば登れそうな感じがした。

 

上部に行って残置のカラビナにロープを通そうとしたらカラビナがロープを通すくらいに開かずに焦った。

何度か開け締めをして開くようにして、ロープを通した。

終了。

未完登のまま、宿題となった。


下山、そして飲み会へ

15時過ぎから下山開始。

藤内小屋まで降りて水を飲んだり、荷物を少し整えてから再び歩いて。

車についたのは16時過ぎだったと思う。

車のドアを開けたら温まった空気に惹かれてかアブが何匹かやってきて参った。

まあ群がるというほどではなかったけど。

汗でびちょびちょになった服を着替えて、再び鈴鹿スカイラインを通って滋賀に帰った。

 

帰ったら意外と日焼けしていたことに気づいた。

日焼け止めを塗って日陰にいたはずなのに。汗で流れ落ちたのかも。

 

その晩は雨が降るとのことで、駅まで車で行ったので酒は飲まなかった。

緑茶ウーロン。緑茶ウーロンってなんだよ。

炎天下の中登っていたら夜は疲れて脳内はもはや酔っているのと違いがない。

飲まなくて正解だったと思う。

たぶん飲んだら酷いことになっていたような。


振り返り

砦岩、なかなか良かった。

アプローチも1時間くらいなので近いといえば近い。

足腰の鍛錬という点ではちょっと物足りないけれど。

 

小規模な岩場の割にルートが多く、まだまだ触ってみたいルートが多数。

花崗岩スラブを楽しむのにちょうどいいかも。

クラックのルートもあるのに触れていないのは心残り。

また行きたい。

 

とはいえここに付き合ってくれる仲間がいるかどうかだな……。

パートナー核心かな。

 

おしまい