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もはやクライミング日記

2020/11/05 初めての前尾根ルート(KO-WALLマルチピッチ講習)@御在所岳

弱めの寒波到来、晴れるが風が強く冷えた日。

御在所岳の前尾根ルートでマルチピッチ講習を受けてきた。

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前置き、アプローチ

書き始め早々にこんなことを書くのは何だけど、実のところ、マルチピッチに対する熱意はやや下がり気味だった。

ハイシーズンに差し掛かってスポートクライミングへの熱意が高まったということもある。

それに加えて、1ヶ月半ほど前に初めて本格的なマルチピッチ(小川山のセレクション)をやったものの、自分にこれが合っている遊びなのかどうなのか、まだ頭の整理が出来ていなかった。 

kuramiya2.hatenablog.com

整理できていないということは、データ足りないということだな!インプットを増やさないとまともな結論は得られないよ!

そしてまともな結論を出すには質の良いインプットが大切だよ!

……今どき流行りの機械学習の鉄則である。

 

質の良いインプットをするには、中途半端なままにしてある講習を進めるのが一番。

https://ko-wall.jp/school/multi

数週間前に室内のマルチピッチ講習を受けてセカンドでの基礎を教わり、今回が初めての外での講習となった。

受講者は自分を含めて2人。前尾根の経験者。講師の方含めて3人パーティー

 

当日の天気予報は晴れ、最高気温が5℃強のなか、風速は7~8m/sとなっていた。体感気温を考えるとマイナスである。

日差しが当たれば+10℃が期待できるけれど……タイツも履いて、起毛の肌着を着て、冬用のクライミング装備で出かけた。

webshop.montbell.jp

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7時半に現地着。

平日だが、裏登山道の駐車場は概ね埋まっていた。

紅葉は下部~中腹部が見頃。

雲の流れが早く、尾根での風の強さ、寒さを覚悟した。

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御在所岳には登山で何度か来たことがある。なのでアプローチ自体にそれほど不安はなかった。

30分ほどかけて藤内小屋に到着。少し休憩を挟み30分後、藤内壁出合まで到着。

久しぶりの登山のようで楽しい。

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登る峰は右側の岩稜だという。ここからは未知の領域だ。

 

特にトラブルもなく取り付きに到着。

平日のため混み合いもなく、1パーティーがちょうど取り付いたところで、もう1パーティーが準備中だった。

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そもそも1ピッチ目なのになんで7Pなんだ?と聞いたところ、これはピッチではなくピークの番号だという。なるほど。なかなか混乱するな……。

今日の予定は7Pから2P、ヤグラの頂上までとのこと。

 

7P(リード→セカンド)

「じゃあ、リードで行きましょうか」と言われ、ギアを各種受け取って登攀開始。

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……あれ、室内でセカンドは実技でやったけど、リードの手順を実技でやったっけ……?

まあ、今持っている知識でやってみるか……。

プロテクションを決め、木の根でスリングを伸ばし、下からルートの指示を受けながら支点まで到着。

パスで支点にセルフを取り、メインロープで支点にセルフを取り、ビレイ用の支点をクワッドシステムで構築し、ビレイデバイスをセット。ビレイを行った。

……10mmの50mロープが凄まじく重い!全然引き上げられない!ロープが太いのもあるけれど、押し込みと引き込みのタイミングが合っていないのが問題だったらしい。

これには始終悩まされた。

 

講師の方がセカンドで上がってきてチェック。支点は問題なし。ただし、メインロープで取っているセルフをマスターポイントに移し替えていないのが問題だった。

これだとセルフを取っている支点が崩れると落ちる。リスク分散がなっていない。

初っ端からミスがあり、凹んだ。

 

7Pを2ピッチに区切って進み、途中の歩き部分でサイマルクライミングコンティニュアス)でのロープの取り回し方を教わった。

下手な巻き方をすると落ちたときに首が閉まって命を落とすこともあるとか。

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6P(リード)

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これが何番のピークなのか、曖昧になっていく。

登攀自体は全く問題がないのだけれど、システムやマルチピッチ全般について教わること、考えること、注意することなどが多々あり、混乱する。

悩みと失敗がないと成長しない。大失敗以外は積極的にするつもりで進む。

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ピッチの終わりにつくたびに、景色に癒やされる。

晴れていてよかった。山腹の紅葉はもう終わりかけかもしれない。

 

再びサイマルクライミングで歩いて、途中でロープの出し方、簡易的なビレイ方法などを教わる。

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ちょっと屈曲を作る、摩擦点を作るだけで確保ができるとのこと。

覚えること考えることが多くて頭がパンクしそうだ。

 

5P(セカンド)

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もうひとりの参加者の方がリード。今回の講習は自分が教わることばかりで、若干申し訳なかった。

このピーク辺りから猛烈に風が当たり始め、山陰に入ったりして寒くなる。

フリースを着込んだ。タイツを着てきてよかった。

体自体は寒くないのだけれど……冷気はクライミングシューズの底、ソールからやって来る。足が寒い。

 

4P(セカンド→リード)

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左のフェースを行くか、右奥のクラックを行くか、ルートが2種類あるとのこと。

プロテクションを決める経験を積みたかったので、右を希望した。

何ピッチかに区切り下部までリードしてもらい、そこから自分がリード開始。

経験を増やすために多めにカムを挟んだりした。

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ここらへんになって、ようやく支点構築などの手際がスムーズになった。回数を重ねることが大切。

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3P(セカンド)

多くの場所が岩稜のようになっており、ロープの流れ、セカンドが岩稜の左右で落ちた場合などを考慮してプロテクションを取る必要があるという。

講師の方にリードしてもらい、それをセカンドで追って確認していく。

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岩塔を使ったナチュラルプロテクション、カムのみで支点を作る方法と例などを見せてもらう。

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プロテクションの取れるところを探し、今あるギアの中で最適なプロテクションを選び、流れ、角度を考慮しつつ……考えることが多すぎるぞ。

こりゃ一朝一夕ではとても身につきそうにない。

 

2P(リード)

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大きく多数のクラックの通ったフェース。途中にボルトが1つ。

カムを挟む経験を積むためにも、リードでやらせてもらった。

登攀そのものは問題ないけれど、やはりカムを挟む場所、選択、戦略の考慮に時間がかかる。

キャメロットの3番が良さそう……でも、こいつは後々残しておきたい!などなど。

なんという考えることの多い遊びなんだこれは……。

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ヤグラの頂上に到着。

懸垂下降で降りて荷物を整理。すでに15時半になっていた。

 

下山

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たぶん一番危ないポイントだったと思う。谷筋の下降路は浮き石も多く、濡れた場所あり、疲れもあって非常に怖かった。

無事、裏登山道に合流。

 

そこからは登山道を1時間半、ひたすら下った。

ぐぬぅ……岩だらけの登山道が膝に堪える……。

最近スポートルートのアプローチで鍛えられているとはいえ、登山自体は殆どやっていない。10mm、50mのシングルロープが重い。

足腰の弱さが露呈した。

 

17時に登山口に到着。解散となった。

次の講習内容は、千石岩などのシングルピッチでひたすら登攀、下降、ときには落下、登り返しを繰り返して回数を重ねることだという。

 

マルチピッチは登ること高度を上げること自体が目的なところがあり、登山の要素が強いのが自分としては結構好きだ……けど、まだ面白さを十分わかっていない気がする。

システムへの習熟も足りないし、勘所が掴めていない。

まだまだインプットが足りない。

 

なるべく間隔を開けずに講習に参加していかないとなあ。