いきさつ
平日半ばに数年ぶりくらいの大寒波が襲ってきて、滋賀南部でも20cmほど雪が積もるくらいだった。
気温も上がらず、雪は溶けず、天気も悪い。
こんな状態では岩にはいけない。
まあジム行くしかねえなとジムにいたらアルパイン志向なリード仲間が御在所のゲレンデでアイスクライミングをするという。
「必要なものは貸せるので良ければ一緒にどうぞ」と声をかけてもらったものの「ちょっと考えます」と答えて帰った。
前から機会があればやってみたいと思ってた。アイスが自分に合うか合わないかはやってみないとわからない。
時間はいろいろ限られてる。チャンスも。
やれるタイミングがあるなら、躊躇わずに乗ったほうがいいよなと思い連絡、OKをもらって急遽参加させてもらうことになった。
とりあえず準備だ
雪山登山の最低限の装備はあるものの、正直心もとない。
冬に使っている靴は3シーズンも使えるような、後ろコバ付きの靴。(FitwellのBig wall rock)
アイゼンはカジタックスのセミワンタッチの12本爪。前爪はもちろんノーマルな平爪2本。
スパッツはAmazonで安売りのノーブランド品。頻繁にベルクロからゴミが出る。アイゼンを引っ掛けて開けた穴は強力なガムテで補修してある。
……まあゲレンデであればギリギリ許容できる装備だろう。
問題は冬用手袋。
今までは化繊のインナーグローブにテムレス、予備と寒いときはスキースノボ用のグローブを使っていたけれど、これだと厳しい。
アイスクライミングとなると手の防寒性と操作性が命に関わる。
防寒テムレスも少し考えたけれど、テムレスはビレイ時に挟まる、回転体での使用はNGなどの話があって避けることにした。
結局mont-bellのアウトレットに行って、型落ちで安くなってた女性用のMサイズのスタンダードなオーバーグローブ+ウールインナーの冬用手袋を買った。
男性用サイズだと自分の場合親指がちょっと余る。これはカラビナ操作などにゲートに挟まってよろしくない。
実際使ってみたところ、特に不満なく使えた。入れるときに窮屈なくらいか?まあいい。
ついでにワークマンでバラクラバを買った。
バラクラバって初めて使ったけど思った以上に快適だな。ヘルメットとの相性もいい。リードで寒いときはこれを使おうかしらん。
3ルンゼへアプローチ
目的はアイスクライミングの練習ということで、今回は最も初心者向けの3ルンゼへ行くことになっていた。
アプローチの早さ楽さを考えて、下から登るのではなくロープウェイで上からアクセス。
ロープウェイは9時から動くが結構並んでいた。主にスキーやファミリー層など。
この日の天気は基本晴れだが、雲の動きは速かった。
その中にチラホラピッケル装備の人がいて混む気配を早くも感じた。
そう、御在所の3ルンゼは混むのだ。
最近ネットに上がっている写真を見ると常に3本トップロープが張っていて、それをまわりで眺める人達がいる。
早めの準備を心がけてロープウェイ内で準備、表に出てすぐアイゼンを履いてささっとアプローチ。
着いたのは10時前くらいだっただろうか?
すでに1組が右側に取り付いていた。
3ルンゼからの景色。
なんか見覚えのある岩頭があったので聞いたところ、やはり前尾根のヤグラだった。
昔マルチピッチ講習で行ったところだ。位置関係をなんとなく把握。
まずは基本確認から
ピッケルを借りて登り方の基本を3ルンゼの左にあった、小さな氷で教わる。
借りたのはPETZLのクオーク。とても使いやすかった。
自分でも買いたいところだが高価だ……買うとしたら雪山歩きを兼ねたPETZLのガリーあたりにするかもしれない。
前からピッケルとアックスの違いがわからなかったけれど、どうやら同じものらしい。
ピッケルはドイツ語。アックスは英語。
クライミング用語は徐々に英語に置き換わっていってる(ザイルがロープとか)ので、アックス呼びが主流になっていくのかしらん。
もはや地名となったルンゼはドイツ語だし、薄氷を意味するベルグラはフランス語だ。
……もうわかんねえなこれ。カタカナ語は自由自在。
話を戻す。
アックスは想像以上に刺さり、引っかかる。
もっと苦労するものだと思ってた。それよりも力の入れすぎ、振りすぎに注意らしい。
それよりも困ったのは足。
最初はなかなか刺さらなかったが慣れてくると徐々に刺さるようになった。
何度も何度も小さな氷を登り、混んで待つようになって寒くなったらとりあえず動くために登った。たぶん10回以上登ったと思う。
トップロープで
トップロープで3ルンゼの左側を登る。
慣れの問題だけで、繰り返すほど刺さる、引っかかる感覚がわかるようになっていった。
このときの3ルンゼは途中で氷が途切れ単なる雪の坂になっていた。
氷の状態は微妙らしい。よくわからないけれど、過去の写真を見ると終了点近くまで凍っているのもある。
それと比べると確かにまだまだなのかしらん?
登ってる最中に、アイススクリューを氷に入れるのを試させてもらった。
すげえなこのギア。最初に入れるのがやや難しいだけで、あとは回せばガンガン入っていく。
最後は回収のために結び替えで降りた。
残置の安全環付きカラビナは回るかな?と一瞬思ったけどスクリューにサビが見えたので諦めた。
最初は手袋をしてあれこれやるのに違和感があったけれど、慣れたら特に気にならなくなっていった。
混みすぎ
徐々に人が増えていった。
ご飯を食べて様子伺い。
一番人が多かったときで、25人弱ほど3ルンゼの取り付きにいたと思う。
……マジで多いな。
一番右側から上へ抜けるパーティーもいたり、4本もロープが張ってた時があったり。
13時頃になって右側が空いたので登ることに。
最後はリードで
まずはトップロープで確認した後、2本目でリードをやらせてもらった。
アイススクリュー、意外と重いねんな……。
スクリューの回収のときは中で削った氷が溶けて凍ってしまうと再度使うのが難しくなるので、抜いたら必ず軽く叩いて中の氷を出すこと、と教わり登り始め。
幸い立てるレベルの場所が多いので落ち着いて支点を構築して登りきった。
ロワーダウンでスクリューを回収している最中、途中でスクリューの周りの氷が割れた。
……これ、落ちてたら衝撃で割れて抜けてたよな……。
アイススクリューで支点を作ること自体は難しくない。
「安全な支点」を作るのは難しい、というのがよくわかった。
もっと氷の状態に関する知識、経験が必要だな……。
もうちょっと登りたかったけれど、人も多いので14時半頃に撤収した。
……ロープウェイに乗る直前にアックスを1つ紛失していたのに気づいた。
ヤベえ!借り物なのに!
どうやらロープウェイ駅手前でアイゼンを外したり荷物を整えた際、置き忘れたらしい。
慌てて探し回り、落とし物として届けられているのを確認。
遅れて山を降りた。
振り返り
借りたものを危うく忘れかける、という致命的なミスがあったものの、現状の装備で特に不満なく過ごすことができて一安心。
しかし本格的にやるならもっとちゃんとした装備を揃えないとなあ。
手始めにアックスから。
次行くなら3ルンゼ以外のところに行ってみたいな。