ムイ

もはやクライミング日記

2020/08/18 初めての小川山 一日目(KO-WALLフリークライミングスクール)

夏真っ盛り。晴れオブ晴れ。

KO-WALLのクライミングスクールに参加して、小川山の岩場でルートクライミングを楽しんできた。

f:id:kuramiya2:20200822113844p:plain

この記事は恐ろしく長いので注意。

 

前振り

7月、8月のスクール予定に「小川山」の文字が踊っているのを見て、ちょっと気にはなっていた。

f:id:kuramiya2:20200822114528p:plain

小川山というと日本のクライミングを語る上で欠かせない聖地の一つだ。

いつかは行ってみたい。ただ、それを真剣に考えたことはなかった。

遠いし、行く場合は泊まり前提だ。少しハードルが高い。一人で行くのは寂しい。そこまでテンションを上げるのは覚悟がいる。泊まりOKな仲間を集めるのも面倒だ。

 

でも、とりあえずどんな内容なのかちょっと話を聞いてみるかな……参加者はどんな感じなんだろう。いろんな日程、いろんな実力の参加希望者があり、調整に苦労しているようだった。現状はこれ。自分が入ればこれがこうなり、あれがああなる。これなら行ける。なるほどなるほど。こんな感じで何回か尋ね。

スクール5日前に「もうちょっとだけ考えます」と答えた5分後に、「行きます、予約入れておいてください」と伝えた。

 

何でも勢いが大切。

心にファーストペンギンを飼うのだ。

 

キャンプ場で泊まったこともないし、テント泊したこともない。

山荘に泊まる選択肢もある。食事はどうするか?初めてなことが多く戸惑うが、講師や参加者と話すと自然と流れが落ち着いた。

とりあえずテント一式は借りる。食事はこだわらず適当に持っていく。現地でまともな調理はしない。ヨシ!

借りたテントの立て方などをジムで教わったり、食材を買い揃えて準備を整えていき。

当日。朝4時に集まって、一路小川山へ車を走らせた。

 

特に不測の事態もなく、忘れ物のもなく、無事到着。

空気が乾いている。涼しい……。

廻り目平キャンプ場はこうあって欲しいという夏の理想を体現していた。

 

まずはテントを立ててパッキング。

今回のNEWアイテム。

f:id:kuramiya2:20200823180725p:plain

もしかするとマルチピッチをやるかもしれない、と聞いていたので腰紐の少ない、登攀の邪魔にならないリュックを新しく購入した。

実績のあるロングセラーモデル。安いしロープを使った登攀に最適。雑に扱っても気にならなそうなこいつをこれからこき使ってやるのだグヘヘ……。

 

今日の予定を聞いて、9時過ぎに出発した。今日はマラ岩から徐々に下って、リバーサイドで終了とのこと。

f:id:kuramiya2:20200823181301p:plain

スクールの内容はショート(スポート)、トラッド、マルチと希望に応じて自由に選べるようになっている。今回は希望したとおり、2日間ともショートのカリキュラムになった。

 

届け手の平 5.10c

まずはマラ岩へ。アプローチに30分かかると聞いてビビっていたのだけれど、比較的楽に到着。

マラ岩周辺はどのルートも取り付いている人がいるくらいの混み合い具合だった。

2パーティーに分かれて、自分は西面のスラブへ。

f:id:kuramiya2:20200823181339p:plain

「これ5.10cくらいで面白いのでやりましょう」と言われて課題名を知らぬまま挑戦開始。

近所にはないザ・花崗岩なスラブ。面白い!小川山に来たぞ!って感じがした。

1つ目の核心で小さなフレークに無理やり乗って進み、そして次の核心へ。遠いし、足が悪い。

このスクール全般で感じたのは、スラブではレストするにもムーブを起こすにも、スタンスが一番重要ってことだ。ホールドが良くてもスタンスが悪ければすぐにヨレる。逆は落ち着いて立てれば手をいくらでも休めることができる。探すべきは良い保持のできるホールドよりも、良いフットホールドだった。

フットホールド選びに迷いまくって1テンション。

それにしても大きなポケットが遠い……「倒れ込むように手を伸ばせば届きますよ!」とアドバイスを受けて、自分なりのスタンスを決めて足を上げて、倒れ込む!
無事取れた!そのまま上まで抜けて、しばし休憩。

これは次で登れるな!……と思ったのが甘かった。1つ目の核心で2回落ちてやり直し。そのうち日が照り始めて、足がヨレて、結局2つ目の核心でまたテンションをかけてしまった。

イケると確信していたのに、敗退。凄まじく悔いの残るルートになった。

後でしらべて、これが届け手の平 5.10cということを知った。なるほど。ルート名の意味がよく分かる。

 

上小唄 5.8

マラ岩の東面に戻るとまだ人多め。空いている簡単なルートでリフレッシュ。

f:id:kuramiya2:20200823181742p:plain

ビレイ中にメインロープを使ったセルフビレイの取り方や途中の岩でダイニーマスリングで作ったアルパインクイックドローを使って支点を作る方法、スリップノットでの結び方などを教わり、実践。

これは問題なく完登。

f:id:kuramiya2:20200823182131p:plain

調和を感じる景色だ。

 

イレギュラー 5.10d

定番と評判なレギュラー 5.10cを触ってみたかったけれど……ちょうど空いたイレギュラー 5.10dに挑むことになった。

f:id:kuramiya2:20200823182313p:plain

先に登った人のクイックドローを使いトライ開始、チョークの目印が途絶える、やや遠いところで数回テンション。とりあえず最後まで抜けた。

しかし、これもイケる気がするぞ。しばらく休んで再挑戦するも、先程迷ったところより下部を雑にこなしたせいでヨレてテンション。もう一度上まで抜けた。

「さっきテンションしてしまったところに気を取られて、細かくムーブを考えずにやや強引にこなしてしまっている小核心でつまずく」

さっき登った届け手の平 5.10cと同じ過ちだ。気分が下がる。昼飯を食べて、しっかり休んで。でももうカチカチに耐える力はないな……と思い空いた隣のレギュラー 5.10cに転戦しようかと思った。

しかし「もう少しで登れそうなので、頑張りましょう」と言われ、再度挑戦。今度はクイックドローも残ってないのでマスターで挑む。

f:id:kuramiya2:20200823182559p:plain

集中。核心だけでなく小核心でのムーブも頭に刻み込んで挑戦。無事核心を抜けて完登!

リードジムで普段登っているときような、振り絞りつつも冷静な登りができたと思う。

ロワーダウンのついでにレギュラー 5.10cに貼ったトップロープ支点を回収……するときに間違って講師の方のカラビナを落としてしまった。

やっちまった……幸い下にいた人に当たるなどの被害はなかったものの、カラビナはダメになった。

(これいつものボルダー仲間にいじられるやつだ……)

この他、ヘルメットを転がすなどやってしまった。

疲れが溜まってきて、やらかしが増えてくる。

 

カサブランカ 5.10a

時刻は15時過ぎ。暑さも盛り。そろそろ下って別の岩に行くか……という中、別の参加者が「空いたので登りたい!」と言ったらしく。

カサブランカ 5.10aトップロープを張ってもらった。

f:id:kuramiya2:20200823183123p:plain

「この環境で登らせるとは……〇〇さんは鬼やな……」と言いつつもスイスイ登り、トップロープを張りに行く奥村さん。

 

まともなクラックルートを登るのはこれが初めて。テーピングする時間がもったいないので、ジャミンググローブを借りて挑む。

先行した人から「ハンドジャムバチ効きしますよ!」と言われ、挑戦開始。

f:id:kuramiya2:20200823183431p:plain

下部はジャミング以外でこなしたほうが楽、踊り場あたりからジャミング開始。

なるほど、よく決まる。リードジムのクラックで練習した甲斐ある。

しかし、とにかく暑い。クラックの中に手を突っ込むと指先のチョークが一瞬で無くなる。1手ごとにチョークアップした。滑る予感が体をこわばらせ、動作がギクシャクに、ハチャメチャになっていく。

トップロープのために終了点間際に挟んであった0.75のカムをビレイヤー側のロープに付け替えるのを忘れて、途中で気づいてつけようとしたところで滑り、テンション。

無念。

しかし、登りきった後は達成感があった。

 

今までジムでジャミングを練習しつつも、「これは本当に楽しいのかな……今後自分のクライミングライフの中でハマるときがあるんだろうか……」と半信半疑なところがあったけれど。

ようやくクラックの楽しさが分かった気がする。

もどかしい中で、時折バッチリ決まるジャミングが爽快感絶大。

もっと練習して、リードで行けるようになりたいと思った。

 

ブラックシープ 5.9+

「これ面白そうなので登ってみたいです」と言っていたルート。

f:id:kuramiya2:20200823184816p:plain

ホールドは甘めながらも様々な形状があり、そして要求されるホールディング、ムーブが色々あって面白かった。

f:id:kuramiya2:20200823184932p:plain

気持ちよく登ることができた。

 

アウト・オブ・バランス 5.9

最後。クールダウンの一本。

f:id:kuramiya2:20200823185145p:plain

シンプルなスラブで癒やされつつ、無事完登。

これで今日は終了となった。

 

下山

暗くなってきていたので、ヘッドランプをつけて下山した。

……いつも自分のヘッドランプの光量が低すぎて恥ずかしくなる。

webshop.montbell.jp

こいつはmont-bellの店員からも「登山にはあんまりオススメしません」と言われていたけど……やっぱりダメだわ。

このツアー帰宅後、周りがよく使っているPETZLのヘッドランプの取り寄せ予約をした。

www.alteria.co.jp

届くのが楽しみだ。

 

キャンプサイトに戻って、まずシャワーを浴びた。

3分間100円は十分な時間だけれど、シャワー室の湿度が高すぎて汗を流しに行ったのか、汗をかきに行ったのかわからない感じになった。

 

そこからはみんなで火を囲んで、各自持参したご飯を食べたりお酒を飲んだり、クライミング談義をして夜を過ごした。

f:id:kuramiya2:20200823190038p:plain

f:id:kuramiya2:20200823190514p:plain

風もなく、フリース一枚羽織ればちょうどよい気温だった。

 

二日目に続く。

kuramiya2.hatenablog.com