まえがき
日曜は雨予報。なら土曜に行くしかないな!と行く岩場を決めずにお誘いを掛けたら何人か仲間が釣れた。
希望を募った結果、蝙蝠谷に行くことに決定。
幸い滋賀から向かう組の同乗者が3人になった。交通費がそこそこ抑えられて嬉しい。往復の高速代とガス代は7500~8000円くらいなので、2人だとちょっと少し懐が厳しいのだ。
この週は天気、というか気温が乱高下して参った。
16~26℃くらいの日があれば、4~18℃の日があったりして自律神経が狂う!
GWで酷使した心身には辛い。風邪を引かなくてよかった。
道中特に問題なく、9時頃に駐車場に到着。
奥の駐車スペースはほぼ埋まりかけていて、駐車場の管理人さんらしき人も「今日は多いですねー」と言っていた。
9時だと少し遅めな方なのかしらん。
かといってこれ以上早く来る気もそれほどない。
コンディションとか
前回岩場を訪問した時はこの日よりも暑く、この日と同じく日曜日が雨予報で、そのためか岩場にかなりの人がいた。
特に正面壁が混み合っていて触ってみたいルートは待ちが入っていたり、そもそも正面壁あたりは暑く蒸しっとした空気が滞留していたりで、人が少なく涼しい子年のエリアなどでずっと遊んでいたり。
この日も同じくらいの込具合だったようだけれど、コンディションだけは違った。
時折谷の上でゴウゴウと風の音が鳴り響くくらい風が強く、時折谷底まで吹き込むことで快適さが保たれていて、湿度も下がっていた。
この時期にこんなに快適に登れるんだな、とちょっぴり感動したくらいだった。
温湿度計をつけるの忘れていたけれど、多分常時20℃くらいかそれ以下だったのだと思う。
日陰で登っていないと体が冷えるのでウィンドブレーカーを羽織ったり。
いつもこれくらいなら最高なのだけれど、まあさすがにそれは望み過ぎな気もする。
体調とか
GWを経て、というかここ最近不摂生が祟って体重がレッドポイントに到達しそうな勢いで伸びている。
というわけで久しぶりに体重と体脂肪を記録し始めた。いわゆるレコーディング・ダイエット。減量の基礎である。
痩せたかって?まだ。全然。
あと、これはかなり変わったものかもだけれど、最近、自分は嗅覚の具合でその日の調子の善し悪しがわかることに気づいた。
元々匂いに敏感なほうだけれど、コロナに掛かってからこの調子の良し悪しに差が出るようになってしまった。
匂いに敏感な日は体の動きが良かったりクライミング中の判断力が良かったり。鈍い日はその逆。
鈍い日は感覚自体が鈍く、保持感やパンプや疲れを自覚しにくかったりするので厄介。
この日は……鈍い方。
というのを行きしの車内で確認した。
まあ調子が鈍いからと言って登らないとかそういう選択肢はない。鈍いなら鈍いなりのやり方を探していく必要がありそう。
我が胸に 5.10b or 5.11a?
とりあえずまだ日が当たっていなく涼しい子年のエリアでアップ。
左右でトップロープが張られている中、あいているルートを選んだ。
この前はこれの左のトラバースする猫の渡り廊下 5.10b/cというルートを登ったけれど、これはをそれを直登するもの。
下部はどうということなく、上部で迷う。クラックに導かれるように進むと右側に使いやすそうな木が出てきて、それを避けるのが悩ましい。
なるほど、これはもっと左から攻めるんだなと左から入っていったら、左のカンテが意外と持ち感が悪く、苔が生えて汚れていたり、あちこち欠けそうで怖い。
どうなっとるじゃこりゃ……?このライン取りであってるのかこれ?と悩んで挙げ句テンション。アップなのに。だらしねえ。
とりあえずビビりながらこなして降りてきた。
あとで聞いたら左カンテを使って直登したら5.11aらしい。ちゃんとトポを読んでおけばよかった。(n敗)
敗退。
マーメイド 5.10b/c
「今度こそ正面壁で登りましょう」という仲間の意見に従い、早めに移動。正面壁の下部、震災エリアなどは混んでいたので梯子の上に行ったら誰もいなかった。
後からめちゃくちゃ混み始めたけれど。
仲間はロンググリーン 5.11cという★★★ルートに目をつけていたみたいだけれど、切り立ったスラブっぽくて明らかに難しそう。
自分はいきなりそんなのやる気がなく、そもそもアップからして完登できていないのでひとまず同じ★★★なマーメイド 5.10b/cをやってみることにした。
これもスラブ、フェースじみたルート。
1ピン目は立って掛けられる。これは1ピン目から難しいからだった。手も悪いし足も悪い。
2~3ピン目がたぶん核心。
おそらくいろんなムーブがあるんだろうけれど、自分は左手を高めにガストンして右足右手プッシュ、そして右足を上げるというジムのスラブでやるようなムーブで安定した。(最初はこれじゃなかった気もする)
この類の動きをすると首筋を痛めがち。
難しい!これを5.10b/cだと思って取り付くと間違いなく痛い目にあう。
上部はところどころ悪いホールドがあったりで気が抜けない。その上長い。
自分的には5.11aはあるんじゃないの?という感じだった。
おそらくクラシカルなスラブ特有のグレーディングなのだと思う。それなら納得かな……。
なんとか完登。
★★★は納得な面白さがあるのでオススメ。
下にいる仲間から「ついでにその上にある鷲鼻ハング 5.11dも触ってみたらどうです?」と提案されて試しにやってみるかな、と思って進もうとしたけれどクイックドローが足りていないことに気づいた。
その上、左のアパガード 5.10bから鷲鼻ハングの上部をそのまま登ろうとしていた人もいたりで、降りた。
鷲鼻ハング 5.11d
マーメイド 5.10b/cを抜けて、さらにハングを抜けて岸壁の一番上まで行くルート。
仲間がドローを掛けたので便乗してトライする。
1本目
これをやるためには、またマーメイドを登るのかー……とか思いながら取り付いた。
マーメイド、面白いし良いルートなんだけれど1日に何度も登りたいかと言うとそこまででもない。
気を抜くとミスりそうで、集中力を要求されるのだ。疲れる。
ハング部に入ってはムーブを探り探りテンションを掛けながら進んだ。
握ったホールドの奥がパキリと音を立てて欠けて小さな石片が現れたりしてビビったり。
よく見るとハング内はグルー跡だらけである。欠けそうなキーホールドは事前に保護しているというくらいグルーされまくり。まあそういうものなのだろう。それでもまだ欠ける。
そのうち登れなくなりそうだ。
ハングは出だしが少し難しいくらいで、ガバだらけでそんなに難しくない。難しいのはハングから抜けるところだった。
ホールドがツルツルなカチで保持感、保持力を試してくる。
なんとかムーブを作って抜けた。抜けた後もガバだらけ、というわけでもなくうっかりすると落ちそうなわかりにくいホールドだったりで気が抜けない。
最上部、終了点というか岸壁の上には錆びたウィンチのようなものが設置されてあった。
クライミングのために設置されたとは思えない。
つくはら湖はダム湖。このダム工事の建設のために役立ったのかもしれない。
2本目
13時頃になったけれど、まだ昼飯を食べれられていなかった。
タイミングが悪く、空腹を感じながらトライ開始。
下部のマーメイドはほぼほぼ安定したけれど、かといって緊張感が消えるわけじゃない。
ハング内はサクッとクリアして、抜けのカチを触った瞬間「あ、この保持感だと無理だわ」とわかりテンション。
その後、先に完登した仲間から右手をハング内のガバに置いたまま、よりよいガバカチホールドをそのまま取りに行くムーブを教わって試した。確かに届く。悪いカチで粘るよりマシ。しかし最上部でこれかー……わずかにリーチが要求され、そして強度がちょっと高い。
もう一人の未完登の仲間はもうやらないという。
回収するか、終了点でセルフビレイを取ってしばし悩んだ。最上部から望む、新緑からさらに色を増した木々に囲まれたつくはら湖の景色は絶景。
このときの思考はよく覚えていないけれど、とにかくもう一回やろうと思ってドローを残して降りた。
3本目
しっかり休む。しかしパンプしたはずなのにその感覚が乏しい。感覚が鈍い影響だ。こういう時限界がどこなのかわからず困る。
大テラスに生えてた多肉植物を見て癒やされたり。
……こういう多肉植物はどちらかと言うと乾いてよく日差しの当たるところに生えるものなんじゃなかろうか。つまり雨が少ないのか。
あとで調べたけれど、蝙蝠谷のある神戸北区は瀬戸内海式気候、温暖で少雨。
つくはら湖もこの気候が招く水不足のために作られたらしい。
岩場の場所としてはありがたい気候。
閑話休題。
下部のマーメイドをややうんざりしながら登り、その終了点手前で大レスト。
ここで休め、と言わんばかりに手を左右交互にしっかり休めることのできる場所があるのだ。
ハング内はサクッと攻略。ハング内でのレストが鍵っぽいのだけれど狭くてうまく休めない。
抜けでさっき教わったムーブを起こして……ガバカチを左手で握り込む余力がなくて、右手を寄せられなくて落ちた。
ハング上部から落ちたので、復帰に苦労した。初めて自分でロープを引いてしゃくり上がる?方法を使った。意外と上がるもんなんだな、あれ。もがくだけで上がらないものと思っていたよ。
ビレイヤーが自分より3kgくらい重くてよかった。
その後上まで抜けて、ドローを回収して降りた。
敗退。
うーん……ちょっと詰めが甘かったな。
哲学の道 5.10c
気づけば17時半を回って、岩場に残るのは自分達だけになっていた。
最後に仲間がやっていた哲学の道に混ぜてもらった。前回敗退していたやつ。
チョークバッグの中のチョークが切れかかっていて辛かった。しかしジャミングなどなどでなんとか解決。
完登。
帰る
結局18時頃に岩場を後にしたと思う。
まだあたりは明るく、「登るなら登ってくださいよ」と仲間が言っていたのでほんの少し悩んだ。いやいや、この状態で登れるものもうないし。
昼飯を多めに食べたせいか、全然お腹が減っていなくて夜はプロテインとスナック菓子を少しつまんでおしまい。
不健康な減量手法。
それにしても過ごしやすい、素敵な1日だった。
またこんなコンディションの日に来れたらいいのだけれど。
おしまい。