真冬の寒波の去り際。晴れ、風あり。
前置き
新年最初の外岩ボルダリングは、熊野ボルダーへのお誘いをいただいた。
熊野市の気温は3~10℃の予想だが……前回の訪問で夕陽の丘エリアの場合、予想気温から-4℃しておく必要がある。つまりは-1~6℃の予想だ。さらに風がある。
前回の初訪問時は寒さでノックダウン気味になったので、最強レベルの防寒着を着込んで出発した。
※後日、記事を振り返ったときに状況を確認するのが面倒なので、課題名に記号をつけることにした。
☓は完投の可能性がまだ低い。
△は完登の可能性あり。バラし済み。
○は完登。
パイソン 初段 △
自分の狙いは前回敗退した木漏れ日 2級や落陽 初段だったのだけれど。
今回の面子は高グレード狙いが多く、それに付き合ってくれそうな人が少なかった。
仲間の一人が「パイソン 初段はパワーを使うマントル系課題で体温まるよ」と言っていたので、便乗してそれに挑戦することにした。
岩場の気温は1℃前後。パイソンの岩の場所は風が通らない一方で冷気が溜まっており、雪が凍って固まっていた。
しかし、万全の防寒状態なので問題なし。足先以外は。
ルーフ部の一手目取りに苦労する。両手アンダースタートでスタンスの選択肢が多く、悩む。
仲間のムーブを参考に、気合を入れて動けば取れるようになった……が、左手をリップの末端の良いところに送るのに非常に苦労した。
送るたびにリップのギザギザしたエッジが手の平を削り、早々に手の平の真ん中の皮がめくれて穴が空いた。
テンション下がるぅ~。
気晴らしに上部のマントル部をやるが、これはまあ問題なさそう。ただ、後半に来るとパワーがいるので気が抜けない。
早々に仲間が完登したあと、一人、氷室のようなルーフにこもり、下部のムーブを色々検討する。
トライのたびに手の皮が削れていき、わずかに寒さが染み入ってくる。マスクでメガネが曇るたびに呼気を整えて曇りを消した。
もう諦めて木漏れ日岩に移動しようかなと思ったけれど、すでに2~3パーティー10人以上が待機しており、諦めた。
冷えた狭いルーフの外からワイワイ楽しそうな声が聞こえてきて、「俺は新年早々、こんな冷えた狭い空間で、特にそれほど思い入れもない、あまり好みでもない課題に対して皮を削りながら悩んでるんだ……温かい家に帰りたい」という思いが何度かよぎった。
その後、なんとかムーブの構築完了。
しかし、繋げるとトゥフックの再現性が悪い。もううんざりだ!と何度か通してもみるも、結局繋がらず。
諦めた。敗退。
新年最初に挑んだ課題は、すこぶる微妙な幕開けとなった。
みかんゼリー 初段 ☓
昼ご飯を食べて行ったことのないアシュラエリア(2018)へ移動。
一口にアシュラエリアと言っても、年度ごとにエリアが違うので少しわかりにくい。
まずは人気課題のみかんゼリー 初段の岩に取り付いてみた。
右のガバから左にトラバースして抜ける課題。途中の遠い山形のガバカチを取るのが核心。
これをみんな左足ヒールのまま指を伸ばしてガストンの形で引っ掛けて保持、攻略していくのだけれど……。
あまりにも負荷が高そうなので早々にその方法は諦めた。別のムーブを模索してみる。
右にある縦ホールドを使ってスタートホールドに乗り込み、左手の負荷を殺して左手カチのマッチを狙うなど。
しかし、いまいちうまくいかず。
諦めた。敗退。
でも、もう少し探ってみたら何かうまく攻略できるムーブが見つかりそうな予感がする。
iMpAC 1級 ○
みかんゼリー 初段を諦めて、日和ってこちらに狙いを変更した。
ガバから直登する課題。
途中にあるスローパー取りが核心だろうか。砂岩のフリクションの良さでマッチする感じ。
このスローパーを右手で取るのだけれど、デッド気味に飛び出すので少し怖い。高度を出して右側を取るほど良く、その後のマッチにつながる。
一回目は右手のスローパー取りでかなり左側を取ってしまい、にっちもさっちも行かなくなってしまった。
フリクションで止めている右手をなんとか右側に送らないと……といったところで、右手がすっぽ抜けた。
一切受け身を取れない形で、背中から落下。メガネが吹っ飛んだ。首が痛い。
幸いマットにジャストフィットするような形で落下したので怪我は一切なかった。
あ~ビビった。
気を取り直してもう一回。
マッチに成功。しかしマスクでメガネが曇る。曇って完登意欲が削がれていく……が、気合を入れて登りきった。
とりあえずボウズは回避できて良かった。
クロックス 初段 ☓
有名な真向鯨 1級をやってみたかったけれど、混み合っていたので別の岩へ。
面白い形状の岩、怖いマントルの課題。
うまく体勢を右にいなして左で上部のスローパーを取り、ヒールを上げていくっぽいのだけれど……体勢がうまく入らなかったり、ビビったりでヒールを上げるところまで進まない。
仲間はそのあとの右リップ取りまで手を進めていたけれど、汚れすぎていたようだった。あまり登られていないらしい。
足を置くたびにジャリジャリと音を立てて岩が削れていく。
敗退。
三手 3級 ○
クロックス 初段と同じスタートで左に抜ける課題。
「三手というからには三手でこなせよ!」と言われて三手で登るのをこだわったり……って、上部のガバスローパー遠い!遠いな!三手と関係なく遠いぞ!
仲間がマットを片付ける中、必死で挑戦。
一手目のガバホールドの持ち方をやや浅めに、なるべく左目にすることで解決、手を届かせることができた。
結果、三手で解決。
完登。
帰宅、振り返り
帰る頃、16時頃の気温は6℃。着込み過ぎのため、やや暑かった。
背中から落ちた影響で明日はむち打ちになるかも……とヒヤヒヤしたけれど、問題なさそう。
幸い大きな怪我はしなかったけれど、手のあちこちに穴が空いた。
大した成果もなく、2021年の初岩はどうにも微妙な滑り出しとなった。
これが今年を象徴するようなものでないといいけど……。